« 【本部情報】総務省の地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会 | メイン | 【本部情報】政令市等人事委員会勧告の状況(その7) »

【本部情報】第3回地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会について

第3回研究会は、9月25日(木)15時から17時まで、総務省8階会議室で開催された。会議の前半は、自治労からの職員団体ヒアリングとそれに関する質疑が行われ、後半は研究会事務局が提出した資料の説明とそれに関する質疑、次回からの議論の進め方についての若干の意見交換が行われた。
職員団体ヒアリング及び意見交換等の概要は、以下のとおりである。
なお、職員団体ヒアリングを含む詳細のやり取りについては、出席委員確認後の議事録が公表された段階で別途、情報提供するので参照されたい。

【職員団体ヒアリング】
冒頭、研究会委員でもある江﨑労働局長が、自治労の組織概要を簡単に紹介、説明した。
続いて、自治労大阪府本部の島村書記長が、提出したレジュメ<資料1-1>「大阪府内における臨時・非常勤等職員制度の実態と課題について」に沿って、臨時・非常勤等職員の制度や処遇の実態と問題点、課題について概ね20分にわたり報告した。
とりわけ、任期付短時間勤務職員と臨時・非常勤職員とはパラレルの関係にある部分もあるとし、現行の臨時・非常勤等職員の任用についての法的根拠のあいまいさや賃金水準の低さ、雇い止め問題などを報告し、実態に沿った処遇や制度の改善が必要であることを訴えるとともに、今回の短期間の研究会で処理できない課題については、第2次の研究会を設定し、引き続き検討するよう要望した。

その後、報告に対する質疑が約40分程度行われた。質疑では、委員から以下のとおりの質問が出された。
(1)臨時・非常勤職員が任期付短時間勤務職員に移行すれば賃金水準が下がるとの危惧を指摘したが、なぜか。手当の支給が可能になるのであるから、水準は上がるというのが制度導入時の考え。下がるのであれば、もともと、支給できないものを支払っていたのではないか。
(2)住民訴訟の内容はどのようなものであったのか。
(3)「法の谷間」というが、民間のパート労働法と比較して、どのような違いがあるのか。
(4)任期付短時間職員の採用にあたって、公募や選考はしているのか。
(5)任期付短時間職員を導入する場合、比較的導入しやすい業務の分野というものはあるのか。
(6)臨時・非常勤職員から任期付短時間に移行する場合にデメリットはあるのか。
(7)雇い止めになった場合、雇用保険の適用はどのようになっているのか。

これらについて島村書記長は、次のように回答した。
(1)生活関連手当(扶養手当、住居手当など)や退職手当など、任期付短時間勤務職員には支給できないものがあり、また、大阪府以外でも、任期付短時間の導入にあたっては、これまでの賃金水準そのものを確保できるのかといった不安があるだろう。いずれにしても、支給できないものを支払っていたのではなく、行政側として勤務実態に即して条例に則って支給してきたものである。
(2)住民訴訟は退職金の支給の是非をめぐるものであり、現在も係争中である。
(3)行政行為か労働契約かという違いもあるが、パート労働法には均等待遇の原則などにより当該パート職員を守るという視点がある。また、民間では一定条件下で、正社員に転換することも可能であったり、育児休業制度の適用も可能である。
(4)選考は当然行っており、クローズではない。
(5)任期付短時間勤務職員は、市民サービスの幅広い業務の第一線を担っているので、業務を限定するのでなく自治体の判断に任せるなど、自治体が活用しやすいようにすべきである。
(6)大阪府内の自治体においては、任期付短時間勤務職員制度の導入にあたり、法的根拠や業務内容を明確にすることによる、職員としての責任・自覚の向上、低位におかれている勤務条件部分の引き上げなど、制度導入のメリットを見い出し、その導入をはかってきたところである。
(7)育児休暇が無いなどのなかで、年休を消化してしまえば自動的に「自己都合」で辞めざるを得ない場合もある。その際には、(しばらくは)雇用保険はきかない。育児は「社会的労働」であるという観点からの議論が大切ではないか。
 
なお、雇用保険の適用については、総務省側から、任期満了で任用が終了になれば「解雇」にはあたらず、雇用保険はすぐには適用されない、との補足説明がされた。
また、質疑のなかで島村書記長が「任期付短時間勤務職員は、服務など公務員としての義務は課せられるが、任期や処遇などを見れば『みなし公務員』的な実態にある」と説明したことに対し、公務員部長からは「制度設計としては公務員以外の何者でもない」などとコメントするやりとりもあった。

【提出資料の説明と意見交換】
職員団体ヒアリングが終了後、研究会事務局より、<資料2>「任期付採用制度の運用状況について」、<資料3>「臨時・非常勤職員に関する調査結果について(都道府県分・暫定版)」について説明が行われ、これらの内容について若干の質疑が行われた。

自治労の江﨑委員からは、<資料1-2>「自治労臨時・非常勤等職員実態調査結果(中間報告・概要)」について説明し、総務省調査資料<資料2>には現れない職種別に見た臨時・非常勤等職員の人員比率、賃金実態などを報告するとともに、次回研究会には自治労の調査結果の最終報告書を提出する旨を伝えた。

また、江﨑委員から、人事院が国家公務員に係る「非常勤職員の給与等に関する指針」を8月26日に通知していることをふまえ、通知の内容について次回研究会で説明することを研究会事務局に要請した。これについて、研究会事務局は、次回、人事院通知の資料を配布し、説明を行うと述べた。
 
最後に、研究会報告(12月予定)の今後のとりまとめに向けて、次回には「論点の枠組み」を研究会事務局が示し、委員間で議論していくことが事務局から提起され、これを研究会として確認した。


<資料1-1> 
ファイルをダウンロード

<資料1-2> 
ファイルをダウンロード


研究会に関する総務省ホームページ資料: http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/tanjikan_kinmu/index.html

About

2008年09月27日 11:05に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「【本部情報】総務省の地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会」です。

次の投稿は「【本部情報】政令市等人事委員会勧告の状況(その7)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36