公明党が強く主張していた、所得税や住民税から一定額を差し引く「定額減税」は2008年度内に実施することで自民と合意していますが、その実施時期や内容が決まらない、「やるやる詐欺減税」になる可能性があります。
そうした懸念がある一方で、定額減税は、公明党にとっては、嫌な罠になる可能性もあります。
公明党は来年6、7月の東京都議会議員選挙を重視していると言います。この選挙に党の力を最大限に傾注するため、最低でもこの前後3ヵ月間は、国政選挙をしたくないと言います。できれば、この都議会議員選挙からなるべる離れた時点での国政選挙が望ましいわけです。
となれば、公明党にしてみると、都議選挙終了後と近い、来年9月の衆院任期満了時の選挙では困るわけです。
つまり遅くとも来年3月には衆院選挙が終了していなければなりません。できれば、もっと早く衆院選挙が終了していることが望ましいのだと思います。
さらに公明党としては、自分たちが強く主張した定額減税を具体的に実現させたことを背景にして選挙を戦いたいはずです。
自民から否定的な雰囲気のあった定額減税の実現させるという言質を、公明党は今回何とか手にしました。公明党にすれば大きな前進かもしれません。
しかしこの定額減税の時期も内容も未定です。
つまり今後、公明が自民に解散を迫る場面では常に、この定額減税問題が、ネックになる可能性があるのです。
公明にとっては、解散のためには、定額減税の具体的実現という新たな条件が付加されたといえるわけです。
逆に言えば自民は、定額減税の具体的実現をちらつかせて解散の時期をコントロールできる可能性が高まったのです。
今回の定額減税は公明の意向に渋々自民も従ったことなっていますが、時期と内容を決めないことで、自民が公明に対する優位性を得たとも言えるのです。
国民に対する定額減税ではなく、定額減税が自公の駆け引きの材料にされる可能性が極めて高くなっています。
ていがくげんぜい