2011年7月24日、現在のアナログテレビ放送が終了し、地上デジタル放送に切り替わります。しかし、この地デジへの完全移行は、生活弱者対策や難視聴対策など課題山積であり、なかなか簡単に進みそうにありません。したがって、十分に周知や準備に時間をかけるべきと思っています。しかし、政府は2011年のアナログ放送停波をゆずろうとはしません。
そんな折、8月18日付の日刊ゲンダイに次の記事が掲載されていました。
== 以下、記事の引用 ==
●天下り団体はゴロゴロある
国が旗を振る2011年7月の地上波放送の完全デジタル化まで3年を切った。テレビでは北京五輪と絡めて地デジ移行を繰り返すCMを連日放送。総務省も2000億円以上ともいわれる必要経費の検討に入った。
しかし、世帯普及率はいまだ43.3%(6月)にとどまり、1兆円超とされる民放負担も重い。それなのになぜ「地デジ、地デジ」と煽るのかと思ったら、コッソリと甘い汁を吸おうともくろむ連中がいた。天下り官僚たちだ。
「郵政」などの著書がある元特定郵便局長の世川行介氏の調査によると、地デジ化推進の背景には、総務官僚OBらが天下り理事として名を連ねる複数の財団の存在がある。
例えば、地デジ計画と並行して設立された「電波産業会」は国から2年間で約400億円もの補助金が交付されている。しかも、官僚OBの専務理事の年収は1700万円にも上るのだ。
地デジに関する技術、規格などを一手に握る「デジタル放送推進協会」の官僚OBも月収140万円と破格。ほかにも、出張規定で「鉄道はグリーン車」としていたり、年収2000万円前後の官僚OBがいたりする地デジ関連法人がゴロゴロあるのだ。
世川氏は、こんな地デジ利権に群がる連中を「デジタル・マフィア」と呼んでいるが、彼らは地デジ移行がスムーズにいかないと、計算通りフトコロが潤わないのだ。
総務省は生活保護世帯への地デジ専用チューナーの無償配布などで500億円程度かかるとみているが、こうした天下り団体をなくせば、費用なんてすぐに捻出できる。
(日刊ゲンダイ2008年8月18日掲載)
== 以上、引用終了 ==
日本政府、そして官僚のやり方は、いつもこうなのです。
何か新しいことを始める場合は、常に官の息のかかった団体を設立します。そして、そこが官と民の立場を「官僚に都合の良いように」使い分けて、その新しい仕事に関与するのです。その団体には、多くの場合、官僚からの天下り役人が、高い報酬を得て就任します。
この記事の地デジも全く同じ構図です。
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こうした団体を設立するのは、悪いことばかりではありません。「国民のために」官と民の立場をうまく使い分けるなら、それは良い作用をもたらす場合があります。しかし、そのほとんどが、「官僚のために」官と民の立場を使い分けているのです。本当に困ったことであり、これを何とか打破しなければなりません。
そのためには、こうした団体の設立を厳しく制限すると同時に、官からの仕事の流れを明確にする必要があります。
次の国会では、地デジ利権も、議論の焦点になりそうです。
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政策本来の議論よりも、こんな事ばかりが続く今の政府には、呆れるばかりですが、頑張らなければなりません。