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【人勧情報】勤務時間短縮勧告の早期実施を強く要請

人勧取扱いで総務大臣、官房長官、厚生労働大臣に要求提出

公務員連絡会は8月11日に人事院勧告が行われたことを踏まえ、同日、総務大臣に、8月15日に官房長官と厚生労働大臣にそれぞれ要求書(資料参照)を提出した。
 
政府は15日午前中に第1回目の給与関係閣僚会議を開催したが、結論を得るには至らず、今後、各府省間でさらに検討を進め、改めて閣僚会議を開くことにした模様である。

町村官房長官は、閣議後、「今日の会議でもいろいろなご意見が出たところでありまして慎重に且つ幅広く、この問題については閣僚ベースでも議論を重ねていく必要があるテーマであると、そのように受け止めている」との記者発表を行っている。また、公務員連絡会の要請に対し、官房長官は「都道府県の半分以上が給与カットをしているが、国も地方なみに下げるべきという話が出てきたとき、太刀打ちするのが大変だ。まして勤務時間を短縮するということをどうしたらいいのか」と答え、勤務時間見直し勧告の取扱いについて、慎重な姿勢を示している。

今後、給与や勤務時間見直し勧告の取扱いをめぐっては、予断を許さない厳しい情勢となることは間違いなく、組織の総力を挙げた取組みが求められることになる。
 
各大臣との交渉経過は次のとおり。

<総務大臣への要求書提出の経過>
総務省への要求提出は、増田総務大臣に対して、8月11日18時30分から、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。

冒頭福田議長は、次の通り、要求書の趣旨を説明し、大臣の見解を求めた。
(1) 本日行われた人事院の報告・勧告のうち、月例給や一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとはいえ、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えておらず、不満と言わざるを得ない。

(2) 勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであること、政府がワークライフバランスの実現という政策を積極的に進めているという観点からも、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、臨時国会の早い段階に勤務時間法改正法案を提出するよう求めておきたい。

(3) また、人事院の報告では、①非常勤職員の雇用問題の検討②超過勤務縮減の必要性③高齢者雇用の一層の促進、などについて提言しているが、これらはすべて公務員の使用者としての政府自らが取組むべき課題でもあり、政府としても積極的な対応をお願いしたい。

(4) その他、本格実施が目前に迫った新たな人事評価制度を納得性のあるものとしていくことや、公務員制度改革基本法に基づいて検討が本格化する労使関係制度を含む公務員制度の抜本改革など、まさに課題が山積している。これらについても、人事管理全般を所管する総務大臣の特段の努力をこの際要請しておきたい。

(5) この秋の段階においても、公務員を巡る情勢には引き続き厳しいものがあると認識している。公務員の労使関係制度が改革されるまでは労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度が唯一の決定システムであることは言うまでもない。本年の労働時間短縮勧告を実施することは使用者としての政府の最低の責任であり、人勧制度を無視するような議論には毅然として対応してもらいたい。
大臣には、本日提出したわれわれの要求が実現するよう、最大限の努力をお願いするとともに、政府方針決定前には、要求に対する回答を頂くようお願いする。

(6) ところで、増田大臣は地方分権担当大臣でもあるので、この際、地方分権改革に関わる国の出先機関の見直しについて要請しておきたい。
地方分権改革については、国と地方の役割、権限を精査して進めていただきたい。われわれは地方分権の流れに反対しているわけではないが、地方分権改革委員会の議論を見ると、はじめに国の出先機関の統廃合ありきの検討姿勢である。400にわたる国の業務について仕分けを行っているが残る業務がない感じだ。国と地方の業務について十分検討して対応していただきたい。
公務員は、定員削減などの厳しい職場実態の下で業務遂行に励んでいる。加えて仕事そのものを否定されたのではモチベーションが上がらない。
大臣には、①まず地方分権の全体像を示してもらって、国と地方自治体の役割分担を明確にし、国民生活の観点から事務・事業の精査を十分行った上で国の出先機関のあり方を検討すること②見直しに当たっては、政府が雇用と労働条件の確保を明確に保障すること、などについて特段の努力を要請しておきたい。

これに対して増田大臣は、次の通り見解を述べた。
(1) 政府は、本日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。

(2) 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持してきたところである。
国の財政事情をはじめ国家公務員給与等を取り巻く環境には極めて厳しいものがあるが、総務省としては、従来からの基本姿勢の下、国民の理解を得られるような結論を得るべく国政全般との関連を考慮し、誠意をもって検討を進めてまいりたい。

(3) 当然のことながら、皆様方の意見も十分にお聞きしながら、検討を進めてまいりたい。

(4) 地方分権については、地方分権改革推進委員会でも議論がされており、勧告がなされることになるが、皆さんの意見はご要望として承っておきたい。

これらの見解を受けて、福田議長は、「今示された立場で、勤務時間見直し勧告通り実施できるよう、対応していただきたい」と、勤務時間見直しを勧告通り実施することを強く求め、交渉を終えた。

<官房長官への要求書提出の経過>
村官房長官への要求提出は、8月15日15時40分から総理大臣官邸で行い、福田議長、岡部・井津井副議長、吉澤事務局長が臨んだ。

冒頭、福田議長は、次の通り要求書の趣旨を説明した。
(1) 人事院の報告・勧告のうち、月例給や一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとはいえ、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えておらず、不満である。

(2) 勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであり、政府が進めるワークライフバランス実現の観点からも、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、臨時国会の早い段階に勤務時間法改正法案を提出するよう求めておきたい。

(3) また、公務員制度改革基本法に基づく公務員制度改革の検討が本格化するが、労使関係制度検討委員会において検討される労使関係の抜本改革の課題を含め、十分われわれと意見交換しながら進めていただくよう要請する。

(4) いま、公務員労働者は、総人件費削減政策や公務員バッシングの中でも、懸命に良質な公共サービスを提供すべく、それぞれの職場で奮闘している。これに応えることは、使用者としての政府の責務である。公務員をめぐる情勢はこの秋においても引き続き厳しいものがあると認識しているが、給与関係閣僚会議の座長でもある官房長官には、人勧制度が労働基本権制約の代償措置であり、それを政府として維持・尊重するとの基本姿勢に立って、要求実現に向けて特段のご努力をお願いしたい。

また、岡部・井津井両副議長も、勤務時間見直し勧告の実施を重ねて要請した。
 
これに対して官房長官は、次の通り答えた。
(1) 公務員制度改革の検討委員会については、皆さんからも委員を出していただいて、三者構成でたち立ち上げたらいいのではないかと思っている。まず、顧問会議を立ち上げて、検討委員会は来週あたりから人選の検討に入っていくことになるのではないか。

(2) 都道府県の半分以上が給与カットをしており、それを国民が支持している状況がある。国も地方以上に赤字財政になっており、国は努力しなくていいのかという声が出てくる。その時、政府としてどう考えたらいいのか。今回の勧告は給与を上げるという話はないが、国も地方なみに下げるべきという話が出てきたとき、太刀打ちするのが大変だ。まして勤務時間を短縮するということをどうしたらいいのか。悩ましい問題と認識しており、一生懸命検討していく。

以上のように、官房長官が、勤務時間見直しについて慎重な姿勢を示したことから、公務員連絡会側は「勧告どおり実施されなければ、人事院勧告制度が立ちゆかなくなる。勧告どおり実施するよう強く要請する」と、重ねて勤務時間見直し勧告通りの実施を要請して、申入れを締めくくった。

<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
舛添厚生労働大臣への要求提出は、8月15日の午後2時30分から行い、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。

冒頭、福田議長が「人事院勧告は、労働基本権制約の下で唯一の代償措置であることを踏まえ、勧告通りの閣議決定を行い、勤務時間法改正法案を国会に提出すること」など要求の趣旨を説明し、厚生労働大臣の尽力を求めた。

これに対して舛添大臣は、「きょう、給与関係閣僚会議が開かれたが、人事院勧告は代償措置の砦であるので、勧告をきちんと守ってくださいということを申し上げた。きょうの段階では結論を得るに至っておらず、協議していくことで終わっている。これまで同様、勧告を守っていくよう対応していきたい」として、勧告の実施に向け、努力していく考えを示した。

資料-要求書
                                    2008年8月11日

総務大臣
 増 田 寛 也 殿


                                 公務員労働組合連絡会
                                   議 長  福 田 精 一

  
             本年の人事院報告・勧告に関わる要求書

常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに心から感謝申し上げます。
さて、人事院は11日、月例給及び一時金の改定を据え置く一方、1日の所定勤務時間を7時間45分とすることなどを中心とする本年の報告・勧告を行いました。
 
本年勧告で、月例給と一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとは言え、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えなかったものとして不満と言わざるを得ません。

また、勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであり、人事院勧告が労働基本権制約の代償機能であること、政府が進めるワークライフバランス確保の観点からも、直ちに勧告通り、実施に移されなければなりません。
 いま、公務員をめぐっては、府省間配置転換など雇用確保の課題、来年度からの人事評価の本格実施とその活用、国家公務員制度改革基本法に基づく労働基本権の確立を含む労使関係の改革など、極めて重要な課題への対応が迫られています。
総人件費削減政策の実施や公務員バッシングの中においても、公務員労働者は、日々、国民に良質な公共サービスを提供すべく懸命の努力を続けています。貴職におかれては、以上の点を十分認識し、下記事項の実現に向けて最大限努力されるよう要請します。

                          記

1、本年の勤務時間見直し勧告については、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、早期に勤務時間法改正法案を臨時国会に提出すること。

2、新たな人事評価制度については、リハーサル試行を踏まえ、納得性の高いシステムとなるよう、十分交渉・協議を行い、合意すること。

3、非常勤職員については、人事院の報告を踏まえ、その位置付けや雇用確保について、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組みを開始すること。

4、国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度の検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、抜本的な改革を実現すること。

また、国家公務員制度改革推進本部に設置される労使関係制度検討委員会において、直ちに公務の労使関係の抜本改革に向けた検討に着手すること。

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2008年08月19日 10:09に投稿されたエントリーのページです。

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