« 【人勧情報】公務員連絡会人勧期7.23中央行動 | メイン | 【バレー速報】30周年・女子バレー開会式 »

【人勧情報】地方公務員給与決定に関する申し入れ

公務員連絡会地公部会は7月23日10時から、総務省に対し、地方公務員給与決定に関する申し入れを行った。地公部会からは藤川事務局長、江﨑事務局次長をはじめ、幹事クラス7人が参加。総務省からは小池給与能率推進室長、鶴巻調査官、島田課長補佐、大角係長が出席した。
 
藤川事務局長が「地方財政が逼迫するなか、6割以上の自治体が独自の給与削減措置を実施しているが、地方公務員は公共サービスの質は落とさないという思いで必死に働いている。しかし、現場には憤りが渦巻いている。地方公務員全体の思いを重く受け止め、人事院勧告後の総務省の対応について、誠意ある回答を」と求め、別紙の要請内容を説明した。

総務省からは以下のとおり回答があった。
【1.人事委員会の主体性の尊重】
(1)民間給与実態調査の比較対象企業規模については、人事院が50人以上としていることを受け、地方公務員についても同様の取り扱いとする。
(2)一時金については、当面、事業所ごとの比較とする。
(3)人事委員会勧告を尊重するという基本原則については変わらないが、勧告に対する住民の信頼を得るためには、これまで以上に徹底した説明責任が求められる。「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会報告」を参考として、各人事委員会は主体的に能力を発揮していくものと考える。
(4)自治体における給与削減措置は、人事委員会勧告後に首長または議会の判断によって実施される。人事委員会は勧告にあたり、当該自治体の財政状況は考慮するものではなく、人事委員会の役割からすれば、削減前の給与水準にもとづいた勧告とすべきである。

【2.給与決定にあたっての自治体の自己決定の尊重】
地方公務員の給与については、自治体の規模や給与実態などの地域の実情に応じて条例で決定されるものである。なお、昨年10月の通知において、不適切な制度等についての適正化と地域民間賃金への準拠を求めたところ。今後も必要な助言を行っていく。

【3.住居手当の見直し】
上記同様、通知においては、諸手当全体の見直しも求めている。住居手当についても、国に準じたものとなるよう従来から助言をしてきたところである。

【4.現業職員等の給与の見直し】
技能労務職員の給与については、同種の民間企業職員に比べて高いとの批判があり、住民から理解と納得を得るよう、適切に対処することを求めてきた。職務の性格や内容等に沿って、民間との均衡にいっそう留意し、住民の理解と納得が得られる給与制度・運用にすべきとの認識である。

【5.公立学校職員給与】
教員給与については、職務と責任の特殊性に基づき自治体が条例で定めるべきものであり、各団体の人事委員会が必要な勧告等を行うことになる。骨太方針2006や中央教育審議会答申などにおいて、メリハリをつけることが明記され、その主旨は文部科学省から各自治体に周知されているものと承知している。

【6.新たな人事評価制度】
新たな人事評価制度については、個々の職員の能力と業務実績に基づき客観的に評価するためのものであることは、従来の勤務評定と同様、勤務条件にあたるものではない。職員への十分な周知を行った上で、適正に実施されるものと考える。地域での実情を踏まえ、評価制度の構築に資するよう対応を図っていく。

【7.非常勤職員の給与等への対応】
今回人事院が予定している非常勤職員の給与決定にかかる指針については、各省間での取り扱いの不均衡の是正を図るためのものと考える。地方における非常勤職員等は、職種も任用も多様であり、確定した指針を見て、適切に助言を行っていきたい。

総務省からの回答がほぼ従来と変わらないものであったため、地公部会からは、次のように総務省の見解を厳しく追及した。

(1)「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会」の位置づけそのものがあいまいであり、各人事委員会が主体的・積極的に行う検討会であったならば、全人連が事務局となったはずではないか。人事委員会の独立性・中立性に鑑みれば、この検討会は任意のものであり、報告の方向に沿って各人事委員会が対応していくことを総務省が求めることはできないはずだが、いかがか。

(2)給与決定にあたっては自治体の自己決定を尊重することと求めたことに対する回答は、「地域の実情に応じて」というものであったが、住居手当についても、地方公務員の住宅実情や勤務実態を十分踏まえていただきたい。実際に、国家公務員と地方公務員では、持ち家率の違いなど大きな格差がある。

(3)公営企業や技能労務職員の給与決定について、基本は労使交渉であるとの回答がなかったことはまったく納得できない。労使交渉に基づく自主的決定が基本原則であるときちんと回答してもらいたい。

(4)給与財源の削減が、給与削減の勧告をする理由にはならないと考えるが、いかがか。

(5)自治体の非常勤職員等について適正な助言を行うとのことであるが、それには臨時職員も含まれると考えてよいか。

これに対し、総務省は次のとおり回答した。

(1)事務局は(財)自治総合センターが担い、各ブロックの人事委員会からメンバーが選出されており、その意味では、検討会は任意のものと理解している。人事委員会を取り巻く情勢が厳しいなかで、一定の報告を出さざるを得ない状況にあったものと認識している。報告を参考として各人事委員会が主体的に勧告するものと考える。

(2)住居手当については、昨年の人事院勧告で見直しの方向を出しており、自宅に係る住居手当の趣旨は、地方公務員も国家公務員と同様である。地方公務員の住居手当は、国家公務員の住居手当の制度・運用との均衡を図るべき。制度そのものを国が仮に廃止した場合、地方では存続させられるのか、十分に考える必要がある。

(3)制度については、労使交渉によることはまさしくそのとおりであるが、住民の理解と納得が、厳しく求められている現状にある。

(4)先の回答は給与財源の削減となる背景を回答したところ。その趣旨については文部科学省から各団体に周知されているものと承知している。

(5)国と地方では任用の法体系が異なるため、確定した国の指針を見たうえで判断する。

これに対し、地公部会は、重ねて下記のとおり発言した。

(1)任意であれば、報告書の強要は当然行わず、改めての通知はないものと判断する。また、機能強化が課題であるならば、人材の確保を含め、各人事委員会が財源を必要とすることは承知しているはずである。検討会の立ち上げ等について我々と事前に何ら協議がなかったことは非常に遺憾である。

(2)賃金水準は民間準拠としていながら、制度は国公とすることは、大きな矛盾。国家公務員と同様とするのであれば、職員住宅も同程度整備すべきである。

(3)技能労務職員の給与等が労使交渉によって決定されるという基本原則からはずれることのないよう、改めて強く申し入れる。

(4)自治体における多くの臨時・非常勤等職員を視野に入れてフレキシブルな対応をはかってもらいたい。

最後に、「自治体で働いていてよかった、と思えるような人事委員会勧告と自治体確定となるよう、さらに誠意ある対応を総務省に求める。今後も引き続き協議させていただきたい」と申し入れ、当日の交渉を終了した。


<別紙:要請書>
                                       2008年7月23日

総務大臣
 増 田 寛 也 様


                                 公務員連絡会地方公務員部会
                                       議 長  佐 藤 幸 雄

          2008年地方公務員給与決定に関する申入れ

貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。

地方公務員給与は、厳しい地場民間賃金準拠圧力のもとで、水準の低下や地域間格差が拡大しています。

一方、厳しい財政事情を理由に、独自に給与減額措置を執る自治体が半数を超える状況にあります。これは、職員の士気を低下させると同時に、労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度を空洞化させることであり、放置できない深刻な事態です。

民間の2008春闘における賃金交渉は、中小、大手企業とも概ね昨年と同額もしくは昨年を上回る賃金改善を実現しました。また、パート労働者の均等待遇に基づく格差是正・処遇改善もすすんできました。しかし、ここにきて原油などの原材料高による物価の高騰が次第に生活を直撃しています。

地方公務員においても、引上げ傾向にある民間の賃金水準を反映した賃金改定が求められます。そのため、比較対象企業規模の回復等による公務員給与の社会的合意を再確立し、水準の確保、職務給の原則を踏まえた地方公務員の標準的給与を確立することが必要であると考えます。

これから人事委員会の勧告作業が本格的に進められる状況にありますが、2008年の地方公務員の給与決定に関して下記事項を申し入れますので、貴職におかれましては、その実現に向け最大限のご努力を頂きますようお願いします。

                          記

1.人事委員会の勧告作業に関しては、人事委員会の主体性を尊重すること。その際、以下について留意すること。

(1) 2008年民間給与実態調査において、比較対象企業規模を100人以上とすること。
(2) 一時金の公民比較は、比較対象企業規模を100人以上とするとともに、同種・同等比較とすること。
(3)「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会報告」で示された内容を各人事委員会に対して強要しないこと。
(4) 特例条例等による給与減額措置を行っている自治体においては、減額後の支給額を公民比較の職員給与とするよう対応すること。

2.地方公務員の給与決定について、地公法第24条3項の趣旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるよう対応すること。

3.自宅に係る住居手当及び特地勤務手当の見直しに関しては、地方公務員の住宅の実情や勤務の実態を踏まえた対応を行うよう「助言」をすること。

4.公営企業および技能労務職員の給与については、当該職員に労働協約締結権が保障されていることを踏まえ、労使交渉に基づく自主的・主体的決定を尊重すること。

5.公立学校教員給与について、国の給与財源削減が人事委員会勧告の理由とならない旨、「助言」をすること。

6.国家公務員の新たな人事評価制度の実施に伴う地方公務員の人事評価制度の見直しにあたっては、4原則2要件を具備した制度となるよう組合との十分な交渉・協議と合意と納得を得るよう「助言」をすること。また、「地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会」の検討にあたって、地方公務員部会の意見反映の場を設けること。

7.非常勤職員の給与等については、人事院が給与決定に係る指針を示すこととしており、それを踏まえた対応を行うこと。

About

2008年07月24日 17:07に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「【人勧情報】公務員連絡会人勧期7.23中央行動」です。

次の投稿は「【バレー速報】30周年・女子バレー開会式」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36