自治労は7月16日、公立病院改革ガイドラインと地方財政措置などについて地域医療を確保する観点から総務省に対する交渉をおこなった。
交渉には、自治労公立病院改革対策本部から加藤本部長、金田事務局長、中島・松井副事務局長他が参加し、久保信保総務省自治財政局長に要請を行った。
【要請書】
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【交渉報告】
冒頭、加藤本部長(中央本部副委員長)より、地域医療が医師不足や診療科目の閉鎖、さらには公立病院の統廃合など危機的状況にある。そうした状況は医療崩壊として広くマスコミや有識者からも取り上げられていて地域住民の関心も高い。昨年、公立病院改革ガイドラインが出され来年3月末に向けて改革プランの策定が求められているが、財政効率化ありきでは地域医療は守れない。総務省として、地域医療の基幹的役割を担っている公立病院に対しその役割と機能が十分に果たせるよう財政措置等を含め格段の支援策の実現に向けてお願いしたい、と要請趣旨を述べた。
続いて、金田事務局長(中央本部書記長)より具体的な重点事項を説明した。
第1に、公立病院における「不採算地区・部門」などにおける支援措置について、第2に、指定管理者制度を奨励しないこと、第3に、市町村合併後の不採算地区病院への財政措置について、第4に、公立病院勤務医の過重労働解消のための財政措置について、第5に、「公立病院の財政に関わるあり方等検討会」における関係者ヒアリングを的確に行うこと、などについて要請した。
これに対し、久保局長は以下のような回答を行った。
「公立病院改革に取り組んでいる背景は2つある。第1に、公立病院会計は公営企業特別会計のひとコマであり、自治体財政健全化法において連結して財政をみていこうという中で病院の財政をどのように考え運営するのか。第2に、地域医療確保の観点で医師不足など深刻化している地域医療の崩壊をどう食い止めていくか、公立病院の果たす役割は大きく、これをどう確保するかである。公立病院改革ガイドラインは第1の背景が強調されているが、最大の目的は第2の背景に重点がある。病院事業の採算性について診療報酬で考えるべきところも大きいが、公立病院は公営企業において独立採算といいながらその事業目的から医業収益のみで黒字とはなりにくい。民間病院ではできない部分を改めて整理し、一般会計からの繰り出しについてもあいまいにせず、ルールを明確にすることが必要だ。効率化や再編ネットワークは手段であって、どう地方の公立病院が特色を出してやっていくかである。経営形態についても、住民のためにどのような形で病院を維持していくのか、そのためにはどのような経営形態が良いのか。指定管理者制度についても地域のなかでひとつの形態として判断してもらうということだ。このままいくと地域で病院が全部なくなってしまうという危機感ももっている。住民の命が危機に陥ることがないようにすること、地域医療を守ることが前提で、そのためには財政健全化も効率化も必要であるし、財政のルール化や経営感覚も必要である。公立病院があるが皆赤字であるというところもある。連携して再編ネットワーク化することや市町村合併が行われたことにより今まで難しかった議論が進むのではないかと期待もある。加えて、民間病院との連携なども検討する必要がある。「あり方等検討会」で多方面からのご意見を伺いたいと思っている。」
こうした回答を受けて、意見交換し、今後とも自治労として地域医療や公立病院の実態について改革の要請や提言を行っていくので積極的に取り上げて欲しい旨要請し、終了した。