2008 男女平等産別統一闘争 内閣府要請報告
男女平等産別統一闘争の一環として、自治労本部は6月4日、内閣府に要請行動を実施しました。概要は以下のとおりです。
【内閣府 6月4日 10:30~】
内閣府:長谷川総務課長、吉野調査課専門官、南推進課課長補佐、金児総務課推進官、宮田推進課長補佐、藤島推進課課長補佐
自治労:植本副委員長、金田書記長、長沢組織局次長
別紙=申入書
冒頭、植本副委員長より申入書(別紙参照)を手渡し、今回の要請の趣旨について説明を行った。それに対し長谷川男女共同参画局総務課長が「日頃から男女共同参画社会の推進にご尽力いただき感謝している。植本副委員長には男女共同参画会議、ワーク・ライフ・バランスに関する専門調査会にもご参加いただき、貴重な提言をいただいている。昨年、『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』が策定され、本年はワーク・ライフ・バランス元年と位置づけている。女性がさらに活躍できる社会を実現するため、「女性参画推進プログラム」を策定した。さらなる推進に向けて、本日は忌憚のない意見を頂きたい。」と述べ、個別の回答に移った。
【要請項目1】
連合・自治労の協力のもと、WLB憲章・行動指針が政労使で合意された。憲章の中に明記されている3つの社会(就業による経済的自立が可能な社会、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、多様な働き方、生き方が選択できる社会)の実現が、男女共同参画につながると考えている。憲章・行動指針に基づく進捗状況の点検・評価を行い、社会へと反映させていくため、官民トップ会議のもと、連携推進評価部会が4月に設置された。関係者一体となり、さらに取り組みを促進していく考えである。現在、上川大臣のリーダシップのもと、「職場を変えよう!キャラバン」を展開し、生活と仕事の調和、子育てにやさしい社会の実現、女性の参画加速を大臣自ら業界や団体トップに要請している。多様な社会のニーズを踏まえ、だれもが能力をいかんなく発揮できるよう、どのようなWLBが必要なのか、今後調査検討する予定でいる。本年をWLB元年とし、あらゆるチャンネルを活用し、積極的な取り組みを行っていきたい。
【要請項目2】
(1)男女共同参画社会基本法が策定されて、来年で10年を迎える。男女共同参画という言葉が広く一般に知られるようになり大きな意義があった。基本法については、各種講演やメールマガジン、パンフレット等を通じて紹介、周知努力しているところである。今後とも様々な機会を通じ情報を発信していきたいと考えているので、協力をお願いしたい。基本法では都道府県に基本計画策定が義務付けられており、すでに全都道府県、政令指定都市で策定されている。市区町村については、基本法上は努力義務となっているが、策定率が51%、検討中15.9%となっている。内閣府としては、これまでも策定の手引きなどを作成した経緯もあるが、今後ともさらなる達成率向上にむけ支援を行って行きたい。
(2)ナショナルマシナーリーの機能発揮については、総理大臣を本部長とし全閣僚を本部員とする男女共同参画推進本部が内閣に設置され、政府一丸となり取り組んでいる。また、女性の参画加速プログラムを設定し、男女共同参画推進本部、各省庁連係のもと政府をあげて取り組んでいる。
(3)2002年、男女共同参画推進会議において、苦情処理システムを構築することが決定されたことをうけ、2003年から、自治体の苦情処理窓口において受け付けられた内容を取りまとめ、男女共同参画会議の下にある監視・影響調査専門調査会へ定期報告している。今年3月に苦情処理ガイドブックを改定した。苦情処理情報についてさらに内容充実させ、苦情処理体制の充実にむけ取り組んでいる。第三者機関(オンブズパーソン)を設けるなど新しい体制については、今後調査検討していきたい。
(4)女子差別撤廃条約選択議定書に定められている個人通報制度については、自由権規約、拷問等禁止条約、人種差別撤廃条約を含む人権に関する条約全体の中でどのように取り扱うか、外務省、法務省等において検討中である。
【要求項目3】
政策に国民の目線で多様な視点や新しい発想を導入することが求められている点からも、公務部門における女性参画は重要であり、率先して取り組む必要がある。「女性の参画加速プログラム」においては女性の参画が期待されながらも参画が進んでいない職種や、ワーク・ライフ・バランスが取りにくい職種などに焦点を当て、女性の参画を阻む課題に対し重点的な取り組みを行う。2010年度末までに女性管理職の割合を5%(現107%)とすることを目標に女性職員の登用を進めていく。各省庁ごとに行動計画を策定し、数値目標を盛り込むように要請している。
【要求項目4】
男女の均等な待遇については、男女共同参画社会基本法にも明記されており、改正男女雇用機会均等法や改正パート労働法が実効力をもつことは、男女共同参画をより一層推進させると理解している。男女共同参画ハンドブックや各種研修などを通じ、情報提供、普及に努めていく。
【要求項目5】
配偶者暴力防止法の改正等を踏まえ、内閣府等主務4省庁が関係省庁と協議・連携して本年1月に基本方針を改定。
内閣府においては、施策の着実な履行と環境整備をはかるため自治体、民間団体、関係団体など一同に介した、官民連携の促進のための全国会議の開催、民間団体と連係し事業を委託しながら自立支援に向けたモデル事業の実施、積極的な広報を予定している。今後とも関係省庁と連携の上、DV防止、被害者支援に取り組んでいく。
【要求項目6】
労組など、各種団体のポジティブアクションについて、こちらが把握している事例は限られているが、連合の第3次男女平等推進計画や日弁連が計画を策定していることは承知している。今後、そういった好事例についてはご紹介して参りたい。
これらの回答に対し、自治労側からはさらに次のように質問した。
(1)WLBを実際に行っていく上での弊害をどのように取り除いていくのかが抽象的である。より強い実効性を求める。
(2)男女共同参画基本計画の市区町村での策定率が51%ということであったが、町村レベルでの策定率はもっと低い。とりわけ町村レベルでの実行が、地域社会の意識改革にとって重要と考える。町村へのきめ細かい支援を求める。
(3)地方財政が逼迫し、男女共同参画の政策は優先順位後ろになりがち。女性センターの廃止、DV支援施設への影響など政策の後退を懸念している。財政難を理由とした政策の後退を許さぬように求める。
(4)国家公務員の管理職に占める女性の割合を2020年までに30%とする目標に向け、各省庁ごとの段階的なプログラム策定を求める。
これらに対し、内閣府からは次のような回答があった、
(1)本年はWLB元年であり、非常に大切な1年となる。専門調査会ではWLB取り組みの好事例をまとめ、いかに分かりやすく発信していくかが重要と考えている。自治体と一緒になって取り組んでいきたい。11月は、WLB集中月間となっており、フォーラム等イベントなど開催し、広く国民に身近に感じていただきたい。
(2)町村での参画計画の遅れはご指摘の通り。地域においてどのように男女共同参画、WLBの実現をどのようにすすめていきたいのか議論しなければならない。
(3)現状認識を踏まえ、これまでの学習型メインからから実践型へとシフトしていきたい。実践を通じて、意識改革をしていく第2ステージへと移行し、それを良い形で地方へと発信していきたいと考えている。
(4)国家公務員の管理職に占める女性の割合は、全体では現状17%だが、すでに4~5%の省庁もある。各省庁、現状+3%を目標とし、全体では5%という数値を設定している。
最後に、金田書記長から「世界的にみても、日本の男女共同参画はかなりの遅れをとっている分野。公務のリーダシップが求められる。今、手がけている取り組みの着実な実行を期待する」と述べ、さらに植本副委員長から「男女平等は、政労使がともにスクラムを組み共同で進められる課題。政府の率先した推進を」と述べ交渉を終えた。
以上