公務員連絡会地方公務員部会は、5月27日、13時10分から地方公務員災害補償基金に対し、支部審査会の存置を求めて申入れを実施した。申入れには、公務員連絡会地公部会の藤川事務局長はじめ、日教組の四牟田生活局次長、日高教の大出書記長、全水道の岡崎書記次長、自治労から西田労働局次長が臨み、地方公務員災害補償基金からは野上事務局長、稲垣審査課長らが対応した。
冒頭、藤川地公部会事務局長が申入書(別紙)を手交し、地方公共団体の多様な公務職場の実態、請求者の救済という制度の基本的な趣旨を尊重し、現行制度の利点である「支部審査会」の存置について総務省に申し入れるよう地公災基金へ要請した。
これに対し、野上事務局長は「基金としては、総務省の行政不服審査制度検討会の最終報告を反映した改正行政不服審査法に基づき、対応していく方針である。全国統一、専門的に問題の解決を図っていくためには本部審査会での審理の一元化を求める声も多く、支部審査会の廃止とするところである。実際、基金の職員は2~3年は異動がなく専門的業務に従事すること、口頭陳述に審査員が出向くこと、などから審理の一元化による専門性及び利便性については担保できる」と回答した。
日教組は、「職場や家庭での格差を反映し、学校現場においても新たな課題を抱えている。しかし、抱える問題は地域によっても異なるため、公務災害認定についても現場の実態に合わせて審査されるよう、支部審査会の存置を求める」とし、支部審査会廃止に反対の姿勢を示した。
また、自治労は、「これまでの支部審査会の参与制度であれば地域の労働条件が把握できるため、事案の核心に早期に追求できる。働くものの最後の救済措置である公務災害認定の審理が一元化されると、事案内容の詳細の聴取までに多大な時間が費やされ、限定された時間のなかで真実を追求することが困難となる恐れがある」と指摘した。
全水道は、「労働安全衛生は恒常的な予防が必要とされているが、最後の生命線である公務災害補償の縮小を意味するこの審理の一元化に対して危機感を覚える。総務省だけでなく、地公災基金にも責任があり、この問題に対し応分の責任を負うべき」と述べた。
日高教からも、「既存の二審制により、誤審や不当な判断を防いできた経緯からも、審査会の一元化に反対する」とした。
これらに対し、野上事務局長は「行政不服審査法及び行政手続法が可決となった際は、私どもにおいても被災者の不利益にならないよう手続き面で適切な運用を図るよう協議し、対応していく」と回答した。
最後に、藤川地公部会事務局長が、法案の廃案に向けて引き続き取り組むが、今後も協議することを要請し、地公災基金申入れを終えた。
<別紙>
地方公務員災害補償基金
理事長 成 瀬 宣 孝 様
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 佐 藤 幸 雄
地方公務員災害補償基金支部審査会の存置を求める申入れ
平素は、地方公務員の福利厚生事業に並々ならぬご努力を続けておられることに心から敬意を表します。
さて、総務省が行政不服審査法制度の抜本的見直しをめざして設置した、行政不服審査制度検討会(座長:小早川光郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授)の最終報告が、2007年7月17日に取りまとめられました。
同報告にもとづき総務省は、行政不服審査法及び行政手続き法の改正作業をすすめ、4月11日、それらの改正案が閣議決定され、本国会に提出されました。
行政不服審査法は、行政不服審査全体の一般法であり、それにもとづく地方公務員災害補償法も支部審査会の廃止など、大幅に改正される内容となっています。このことは、地方公務員の公務災害認定に極めて大きな影響を与えます。
審理の迅速性を確保すべきとの改正案の趣旨は理解しつつも、請求者の救済という最も基本的な制度の趣旨に鑑み、現行制度の機能と利点については存置すべきであると考えます。その上で審査の迅速性を確保し、これまで以上に職員の立証等が行いやすくなるよう工夫・改善を行うべきです。
ついては、下記事項について、地方公務員災害補償基金として最大限の努力をされるよう申し入れます。
記
地方公共団体の多様な公務職場の実態、請求者の救済という最も基本的な制度の趣旨に鑑み、現行制度の機能と利点である「支部審査会」の廃止は行うべきではない旨、総務省に申し入れること。