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【本部情報】労働基本権付与明記せず=渡辺行革担当大臣

公務労協は、公務員制度改革について、渡辺行革担当大臣と交渉した。昨年、専門専門調査会が、労働基本権のうち、非現業職員に協約締結権の付与を方向付けたが、政府・自民党が現在検討中の基本法にはその方向が明記されておらず、大きく後退した印象はぬぐえない。


自治労本部情報の全文は以下のとおり。

「国家公務員制度改革基本法案」に関する渡辺行革担当大臣交渉を実施(4月3日)―労働基本権付与を明記していないことに強く抗議―


 公務労協・公務員制度改革対策本部は、3日、渡辺行革担当大臣交渉を実施し、国家公務員制度改革基本法案の検討状況を質した。交渉は、14時45分から金融庁の大臣室で行われ、対策本部側は福田本部長(国公連合委員長)、岡部副本部長(自治労委員長)ほか各構成組織委員長らが参加した。

 冒頭、福田本部長が「大臣には、専門調査会報告後の昨年10月25日に「公務員の労働基本権のあり方に関する申入れ」を行い、その際、大臣からは「能力・実績主義を導入すれば労働基本権は避けて通れない。皆さんとは意志疎通をしっかりやり十分な意見交換をしていく」との回答があった。しかし、2月5日の「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」報告後は、国家公務員制度改革基本法案について、われわれとの交渉・協議を行わないまま、今日を迎えている。近々にも閣議決定がなされると聞いており、本日は、大臣よりこれまでの経過を踏まえた法案の内容について説明をしていただきたい」として、渡辺大臣の見解を求めた。

 これに対し大臣は、次の通り答えた。

(1) 法案は、今週火曜日の閣僚懇談会で、概ね閣内の了承を得たので、与党協議に入っている。本日中にまとまれば明日の閣議で決定する予定だ。
(2) 私としてはできる限りの努力をしたつもりであるが、政府内にはいろいろな意見があり、それを踏まえた法案の内容となったのでご理解願いたい。

 この大臣の説明に対し福田本部長は、「法案の内容は専門調査会や総合懇の報告が指摘した水準には至っておらず、遺憾であると言わざるを得ない。いま、わが国は格差社会からの脱却を求められており、公共サービスの重要性は高まっている。その基盤となる公務員制度の改革は喫緊の課題だ。大臣のご苦労は承知しているが、法案は納得できる内容ではなく、大臣に対し抗議の意を表明せざるを得ない」と遺憾と抗議の意を表明した。また、岡部自治労委員長は「専門調査会報告では、労使関係を改革するために使用者機関として人事管理庁を設けることにしていたが、法案に盛り込まれていないのは問題だ。協約締結権についても、専門調査会報告や総合懇報告の到達点からすれば大変不満である」として大臣を追及した。

 追及に対し渡辺大臣は、「労働基本権に関わる第12条については議論があったが、労働基本権の付与を認めないと言っているわけではないし、『一定の非現業職員について、協約締結権を付与する』という専門調査会報告を念頭に作っているので、報告の延長線上で結論を得た場合には、内閣人事庁の機能もそれを踏まえたものになる。法案はプログラム法であり、具体的な制度設計は入っておらず、来年の通常国会に内閣人事庁設置法案を出すことになっている。その間、労働基本権についてどこまで議論が進むかとの関わりで、人事庁の機能も変わってくる。労働基本権の付与を否定したものではない」との考えを示した。

 最後に福田本部長が「少なくとも専門調査会や総合懇の報告を無視することなく、労働基本権の議論を進めていただきたい。公務員の労使関係は、民間の労使関係に準拠すべきであり、公務において責任ある労使関係を構築するため、非現業職員に協約締結権を付与することを明確にしてほしいし、付与の検討に当たっては、当事者である労働組合が入った議論をさせていただきたい」と強く申し入れたのに対し、大臣は「法案は労働基本権の拡大を否定したものではないことを、国会の場でも説明して参りたい。参院は与野党が逆転しているが、ぜひともこの法案を通したい。抜本的な改革となっているので法案の骨格は守りたいと思っており、国会審議には真摯に対応するのでよろしくお願いしたい」との見解を明らかにした。

 以上のように、法案が労働基本権の付与について明確な方向性を示さず、渡辺大臣も「労働基本権の付与を否定したものではない」という消極的な見解に終始したことから、対策本部側は重ねて強く抗議し、重大な決意を持って今後の取組みを進めていくことを表明し、交渉を締めくくった。

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2008年04月04日 16:52に投稿されたエントリーのページです。

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