ガソリンの暫定税率が3月末に期限切れとなり、25.1円引き下がる。満タンにすると約1000円前後浮く計算だ。外食一回分である。われわれ庶民にとってこれは大いに歓迎すべきことであろう。
福田首相は、口を開けば「混乱」「混乱」と野党を批判するけれども、混乱しているとすれば野党の主張に歩み寄らない、妥協という民主主義の基本を忘れた自民党の責任が大きい。
戦後日本の政治のほとんどの時期を政権政党として君臨してきたこの驕りと惰性、そして強行採決にみられる独善、これこそが混乱の原因といっていい。
60日規定やそして3分の2再議決も強行採決と同義語である。国会で何を議論しても、同じ回答の繰り返しで、なにも歩み寄らない、妥協しないのは、いずれ数の力で自民党の主張が通るとたかをくくっているからではないのか。
こうした態様に成熟した民主主義的な政治の姿を読み取ることは不可能だ。自民党の一党支配体制そのものである。どこかの国の閉鎖的な政治風景とちっともかわらない。国会は単なるお喋りの場ではないのだ。
福田・自民党は、真の意味で「ねじれ国会」という状況を理解していないというしかない。民主党が最後まで暫定税率の引き下げを譲らないとは想像していなかったのではないか。どこかで妥協してくると勘ぐっていたのだ。
55年体制下の「自社」の政治駆け引きとは根本的に異なる政治状況が現出しているのが今日である。
予算案意外のあらゆる法案は野党との妥協なくして成立しない時代に入った。福田自民党内閣にはこの点の認識が異常に希薄であり、旧態依然のその場しのぎの「新提案」ではなにも解決しない。
そんなに「混乱」「混乱」と騒ぐのなら、さっさと野党に妥協して財源不足対策や業界対策をすればよかっただけの話である。下げることが「混乱」というなら、暫定税率は未来永劫下げることができない恒久法となってしまう。なんとも馬鹿げた話である。
解散総選挙こそ「ねじれ」解消の一番の近道である。「大連立」「与野党協議会」などという密室的な手法には賛成しかねる。政権交代こそ成熟した民主政治の姿である。福田内閣は直ちに総辞職・解散総選挙を実施すべきである。
日本の民主主義はまず自民党を下野させるところからはじまる。「混乱」はその序章に過ぎない。
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