自治労は地域手当等に係る特別交付税減額の問題で総務省自治財政局交渉を実施-2/22(2008春闘情報No.6)
自治労は、人件費に係る特別交付税減額措置の課題について、2月2日の地公部会による総務省公務員部給与能率推進室交渉に続き、2月26日10時40分から総務省自治財政局交渉を行った。総務省からは、御園官房審議官(財政制度・財務担当)が対応し、前田給与能率推進室長、川崎財政課課長補佐、岡田給与能率推進室課長補佐が同席した。自治労からは、金田書記長、友利政治政策局長、江﨑労働局長、松本労働局次長ほかが出席した。
はじめに、金田書記長より、自治労の次の考え方について改めて説明し、自治財政局の見解を質した。
労使合意を踏まえ、議会の条例改正等の手続きを経て支給されている地域手当、寒冷地手当について減額措置の対象にしたことは、結果的に財政ペナルティ的なものとなっており、大変許しがたく、このような措置を執るべきではない。
とりわけ地域手当は基本給的な性格を持つものであることから、給与のさらなる引き下げを意味することになる。
そもそも、地域手当は、人口5万人未満の地域は対象にならない一方で、パーソントリップは町村でも対象になるなど、矛盾を多く含んだ制度である。
人材確保の観点や、人事委員会勧告制度などの給与決定システムに則り、各自治体で決めたことにペナルティをかけることは、各自治体の人事政策や給与決定システムを否定することではないか。
昨年の措置を撤回していただくのがわれわれの要求であるが、仮に、昨年の措置を踏まえざるを得ないとしても、附則で0.1とされた減額率を引き上げないでいただきたい。
これに対して、御園官房審議官からは、次の回答を受けた。
現在、特別交付税の配分作業を行っているが、昨年災害等が多かったので、とくに多くの要望を頂いている。
特別交付税の枠は、地方交付税全体の6%、本年度では9,000億円程度と地方財政全体から見れば小さいが、それでも各自治体では予算の一部を構成し、貴重な財源となっている。本当に必要なところに本当に必要な額を、さらに細心の注意を払って交付していく必要がある。
特別交付税減額がペナルティではないかとの指摘であるが、これは認識に違いがある。地域手当について労使や議会の決定などいろんな事情があったかもしれないが、全国を見ると地域手当をそれだけ支給できるということはやはり余裕があると見ざるを得ず、減額措置はペナルティとしてではなく交付税の公平配分の観点からの措置であるということを理解していただきたい。
昨年の地域手当に係る特別交付税減額は、経過措置として国基準から見た超過額の10%を減額することとした。これは、本来は、超過額の100%を減額すべきところを、給与構造改革の制度が平成22年度をもって完成する予定であり、また、急激な削減により当該自治体に予測範囲外の財政運営を強いてはいけない等の理由から経過措置をとったものである。
これに対して、金田書記長は、次のことを主張した。
特別交付税を必要なところに必要な配分という認識は、われわれも全く違いはない。しかし、人事委員会勧告制度など自治体の給与決定システムの枠内で決定されていること、地域手当だけを取り出して財源的余裕があると判断できないことなどから、減額措置にすることは問題だと主張してきている。
これに対して、御園官房審議官からは、次の回答があった。
給与関係費の超過額は国家公務員の給与を基準に正確に算定できる。地域手当に係る超過額の減額率のあるべき姿は、本来100%である。平成22年の完成形にもっていくために減額率の引上げをしていかなければならないことや、本年が10%であったことを考慮し、よく検討してまいりたい。
最後に金田書記長から「特別交付税の減額措置それ自体が容認できないものであるが、本年について減額率を引き上げなければならないとするならば、自治体財政にも配慮し、極力小さな幅での引上げに留めるよう、十分に検討していただきたい」と強く要請し、交渉を終了した。