自治体財政健全化法の基準値を総務省が公表したが、こんな国のやり方では、地方財政の危機はむしろ拡大するだけで、自治の現場はただただ混乱するだけではなかろうか。
健全化法の特徴は、病院などの一般会計とは別の事業会計も含めた連結決算の赤字額によって新たに再建団体を指定するところにあるのだが、赤字の背景や原因を探らずして、ただ財政指標だけで「健全化」を促しても地域の医療は崩壊するだけではないのか。
いったい、何のための誰のための「健全化」なのか。まったく理解に苦しむ。しかも、夕張市の場合を持ち出すまでもなく、仮に総務省が決めた基準で再生に乗り出したとしても、その赤字の解消はまったくの「自己責任」であって、国は一円たりとも財政面で支援しない。
もともと、今の地方財政の危機は、国が誘導して膨らんだものである。バブル崩壊後の景気対策で、国は公共事業に補助金をつけ、借金をさせ、自治体に実施させた。その借金返済にどこも窮しているのだ。
借金分は交付税に算入という話だったが、2004年の交付税大減額で返済は苦しくなっている。まるで詐欺まがいの事態といっていい。
残念ながら、この健全化法の適用を前に、道内自治体はこの基準値を超えないように人件費をはじめてとしたリストラ策を軒並み打ち出している。
しかし、多くの自治体の場合、人件費を大幅に削減して住民の負担を求めても、財政が好転しないばかりか、悪化しているのが現実なのだ。
国は基礎自治体の集合体の上になりっていることを忘却している。住民に身近な公的なサービスを担う自治体が財政的に悲鳴を上げているのに、国はただ傍観するだけなのだ。
いや、国の財政赤字の対策に「健全化法」という錦の御旗をたてて、再び地方財政を動員しようとしているだけではないのか。
根は深い。
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