経団連、春闘「賃上げ」に積極姿勢
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071202-00000101-yom-bus_all
この話は、まやかしだと思う。経団連は、昨年も同じような「積極姿勢」だったが春闘の賃上げ相場はほとんど横ばい状態だった。
大手の妥結結果(経団連調査)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/048.pdf
中小の妥結結果(経団連調査)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/062.pdf
つまり、1.4~1.9%台の引き上げが行われたというが、これは、旧来の定期昇給つまり「賃金体系維持分」とされるもので、会社の人件費の支払い=賃金の原資の増加を伴う正しい意味での「賃金の引き上げ」ではない。
個々の労働者にとっては増えるのだが会社の支払いは基本的に増えないというトリックなのだ。この賃金体系維持分を相殺するとほとんど0.1前後の引き上げであろう。
旧来の定期昇給は成果主義賃金制度の導入に反比例して減少した。しかし、制度としては廃止したものの、年功的な賃金制度は引き継がれた。
全体としてみると昇任や成果にともなう「賃金体系維持分」が「賃上げ分」として定義されている。それが、上記の経団連の集計した数字の正体である。
しかも、「引き上げ」は昔のように横並びでなくなっているので、賃金の格差が拡がっているが現実である。業種では自動車や食品繊維は上昇率が高いが、鉄鋼、紙・パルプ、化学などは低い。地域間の格差も無視できない。
この格差は、さらに業種内部の格差も拡がる。景気のいい自動車でも、今年はトヨタや日産は、賃金体系維持分含め7000円から8000円の「引き上げ」だが、その他の会社はほとんど1,000前後、ゼロ回答もある。
自動車産業の賃金引上げ状況
http://www.jaw.or.jp/act/act4_2_200706.html
さらに、問題なのは、このような集計の対象は、正規労働者の話であり、派遣、請負、パート等非正規労働者は、賃金体系そのものから除外されているので「賃金の引き上げ」を実体験することはほとんどない。
自治体労働者も地方財政の動向に賃金制度が翻弄され続け「賃金の引き上げ」からはある意味で排除されているといってもいい。
しかし、会社の景気がどうあろうとまた地方財政がどうあろうと、差別され不当に安い賃金を押し付けられている人間自身がまず立ち上がらなければ、何も前に進まないだろう。
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