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【賃金労働局】 8月8日
06年度の人事院勧告に関わる自治労声明
1 人事院は、8月8日、官民の月例給(較差0.00%、18円)および特別給の支給割合(国家公務員4.45月に対して民間4.43月)が均衡していることから月例給、一時金ともに改定を見送った。
また、2007年度から、①広域異動手当を新設する、②子等にかかる扶養手当のうち第3子以後の分を1,000円引き上げる、とする給与勧告を行った。
本年の勧告の前提となる官民比較方法の見直しは、月例給については、同種・同等の原則を維持しながら、比較対象企業規模を50人以上に改めるとともに、比較対象従業員の範囲、役職対応関係などを見直した。一時金についても、事業所単位での比較方法を維持する一方、比較対象企業規模を50人以上に見直した。
なお、給与に関する報告においては、①2007年度から俸給の特別調整額を段階的に定額化する、②地域手当の経過措置として2007度分を引き上げる、③勤務成績の判定措置の活用を、2007年度から一般職員への拡大に向けて準備を進める、などとしている。
さらに、育児のための短時間勤務制度および自己啓発等休業制度に関する意見の申出を行った。
2 自治労・公務員連絡会は、本年の給与勧告について「官民比較に関わる比較対象企業規模等については、拙速な見直しを行わないこと」を最重要課題とし、これを前提に「公務員労働者の給与水準を維持・改善すること」を求め、3次にわたる中央行動、ブロック別上京行動、人事院への署名方式による要請書提出(公務員連絡会1,368,477筆、自治労627,141筆)、対人事委員会交渉など、中央・地方が一体となった行動を展開してきた。
また、総務省・全国人事委員会連合会対策を強化し、中央交渉・中央行動および総務大臣への署名方式による要請書提出(公務員連絡会953,695筆、自治労590,544筆)に取り組んできた。
3 しかし、最後まで納得のいく説明もなく一方的に比較企業規模の見直しを強行したことは、労働基本権制約の代償・中立機関たる人事院がその立場を自ら軽視し、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」が指摘した「経済成長に伴う民間賃金の上昇により増加が見込まれる公務員人件費について、人事院において比較対象企業規模を見直すことを要請する等更なる改革を断行し、公務員人件費を削減する」との使用者たる政府の要請を承引したものとして、看過することのできない重要な問題である。
また、従前の比較方法により官民較差を算出した場合、景気回復を背景とした民間における2006年春闘結果を踏まえ、月例給で1.12%、4,252円、特別給で0.05月の引上げが措置されていたものである。一方、公務員人件費に対する政治的な削減圧力が強まるもと、少なくとも給与の引下げ勧告を阻止することができたのは、この間の運動の結果として確認できる。
4 公務員人件費に対する政治的な削減圧力は、地方公務員に関して、比較対象企業規模の見直し、地域の民間給与の更なる反映、ボーナスの支給月数の地域格差の反映を求めている。
自治労は、引き続き、公務員連絡会に結集し、今後の対総務省、全国人事委員会連合会および各人事委員会交渉を産別の総力をあげて強化する。さらに、官民比較企業規模を50人以上に拡大した人事院勧告に基づく給与改定見送り措置は容認できないという立場から、政府に対する取り組みを推進する。
そして、自治体労働者の生活の維持・改善をめざして、自治体確定闘争をはじめとする2006秋季闘争に、単組・県本部・本部が一体となって取り組み、さらには「公務、公務員及び労使関係に関する専門調査会」対策と労働基本権の確立を柱とする民主的な公務員制度改革の実現、「質の高い公共サービス」の実現を求める公正社会キャンペーン、第16回統一自治体選挙闘争、第21回参議院議員選挙闘争に組織の総力をあげて取り組む。
2006年8月8日
全日本自治団体労働組合