今求められているのは現場力=自治体現場力と公共サービスを考える集会
10月12日、東京都・日本教育会館で、2012年現業・公企統一闘争「自治体現場力と公共サービスを考える集会」が開かれ、45県本部396人(北海道本部からは現業公企評議会20人、衛生医療評議会2人が参加)が参加した。
集会では主催者を代表して氏家闘争副本部長(本部書記長)が「自治体確定闘争と退職手当の関係について10月10日には自治労4役と樽床新総務大臣と会談。地公関連法案についてはきちんと臨時国会の中で対応すると言明した。公務労協・連合とも連携してしっかり対応する。長年にわたっての課題だが解決したい。また、技能労務職員と企業職員の給与については労使交渉、労働協約によって決定する権利を尊重し、不当な指導は行わないことを含めて総務大臣には強く申し入れを行っている。たたかいへの引き続きの結集を」と述べた。
基調提起の後、あいはらくみこ参議院議員が「小泉政権下で公共サービスがずたずたにされた。改革プランにより人員が削減され、官から民へという流れの中で多くの公共サービスが民間へ委託された。そして労働法制の規制緩和により非正規の人たちが相当数増えた。3.11を経験して被災を受けたときも当然、大変であったが復旧から復興へと道筋をつくるその中で、各自治体で技術力をもった人があまりにも削減され一向に計画が進まないという状況が生まれている。また、全国の自治体も同様に削減をされている中で十分な支援をできる状況にない。私たちはまずこのことをしっかりと認識しなければならない。私は国政へ送っていただいた自分の役割は現場の声や住民の声をいかに国の政策に反映をさせていくかということ。皆さんは住民に一番密接なところでサービスを提供し、住民の皆さんから多くの声をいただいている。皆さんの声に応えるということは国民の声に応えることと確信をしている。集会の中で出された声をしっかりと受け止め国政の場で頑張っていきたい。来年の参議院選挙は前回と比べものにならないくらい厳しいたたかいになる。自治労としてこの席を何としても確保しなければならない。そんな思いで頑張っていくので是非とも皆さんのご支援の輪を広げていただくことをお願いする」と支援を訴えた。
その後、菅原敏夫地方自治総合研究所研究員をコーディネーターとして「自治体現場力と公共サービスを考える」と題したパネルディスカッションが行われた。
ディスカッションで、中村圭介東京大学教授は「公務員制度改革は欧米など先進諸国とルールを同じにすれば解決する。日本だけが異様に制約をしている。実行をすれば良いだけ。57条に対しても、仕事の内容をちゃんと調べなさいと言いたい。決して単純ではない。経験と知識と知恵が必要。そのことは調べればすぐわかる。そのことを官庁も行政も行わない。また、公務について仕事の領域は増やした方が良いとは思うが、そのとき必ずできない理由を列挙する人たちがいるが、できる戦略を語る必要。そうしなければ前には進めない。そのことを考えて欲しい」と話した。
石田好江愛知淑徳大学教授は「現場で働く公務員を減らしてはいけない。仕事の難易度は管理的な仕事をすることが難しい仕事で、現場の仕事は簡単な仕事、単純な仕事と言われてきた。女性はそうした中で低く位置づけられてきたが、そのことは間違い。とりわけ公務については現場での仕事が求められている。そこでマネージメントをし、市民ニーズをキャッチしつなげていく必要がある。人と人をつなぐ仕事は現場の公務員でなければできない。今求められているのはまさに現場力だ」と強調した。
内山節立教大学教授は「今の地域の課題はどうやって継承性、持続性をつくっていくかということ。本当の意味で地域を継承していく人たちはそこに住んでいる人たち。首長や議員は一定年数で替り、構造として継承性がない。住民と一緒になってやれるのは現場で働く公務員ということになる。だから働いている人たちの目は住民の方を向いている必要がある。組織の中では首長や議員など内向きの対応になっていることが問題。住民と行政がどういう連携を行えば継承性のある地域が作れるか?そこに課題があるのにそのことに光があたっていない。住民と連携できるような行政のあり方を作ったときに地域の継承も一つの方向性が見える」と述べた。
最後に現業評議会、公企評議会、衛生医療評議会、社会福祉評議会のそれぞれの代表者から今、秋季闘争に対する決意表明があり、2012現業・公企闘争をはじめ諸課題の前進にむけ職場・地域からしっかりと実践することを確認し、上谷闘争本部副部長の団結ガンバローで集会を終えた。
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