連合ニュースレター

2012年06月26日

介護従事者処遇状況等調査内容及び認知症施策=政策ニュースレター第183号

連合政策ニュースレターより、標記内容についての報告がありましたので、通知いたします。

社会保障審議会介護給付費分科会(第91回)が6月22日午前、都内で開催され、介護給付費分科会「介護事業経営調査委員会」の検討内容に含まれている介護従事者処遇状況等調査の内容や今後の認知症施策の方向性について議論した。連合からは伊藤彰久生活福祉局長が出席した。

<介護従事者処遇状況等調査の実施について>
(伊藤局長)介護施設サービスにおける職員数の状況に関する質問項目について、前回と変わり、常勤換算の職員数の定点観測となっているが、これでは労働力の需給状況しか把握できない。職員の定着状況を把握するためには、従来通り「採用数・離職数」を問うべき。

(事務局)採用数・離職数については別途、他の調査で訊くことにしている。

(木間委員、伊藤局長)職員の社会保険の適用状況を問うべき。

(事務局)本調査は賃金への反映状況に限ることとしたい。担当局に伝える。
 
 なお、同調査について調査時期は2012年10月とし、介護事業経営調査委員会における結果の公表は2013年3月の予定である。その後、介護給付費分科会に報告されることになる。


<今後の認知症施策の方向性について>
 介護等の支援を受けながら地域で生活を継続していくための認知症支援のあり方を明確にし、より実効性ある施策を講ずることをめざす目的で厚労省は認知症施策検討プロジェクトチーム(PT)を設置。藤田政務官を主査に関係部局からのメンバーで構成され、6月18日に「今後の認知症施策の方向性について」(以下、「方向性」)をまとめた。

(村上委員)困難な認知症のケースが出てきたときにグループホームや高齢者住宅で対応し切ることができるのか。特養ホームが積み上げてきた実績を考慮してもらいたい。

(勝田委員)厚労省による横断的なPTでの取り組みを評価し、今後も期待したい。まとめられた方向性は歓迎する。これが「絵に描いた餅」とならないよう、当事者やその家族も関わって考えていくべきだろう。また、現在のグループホームに認知症支援の拠点となる体力があるかどうかに加え、地域ごとの格差や(その解消のための)公平性の担保や地域を支える人材確保など課題はたくさんある。

(高智委員)「標準的な認知症ケアパスを構築することを基本目標とする」としているが、基本目標であるとともに優先目標としていただきたい。

(大西委員)示された「方向性」に市町村の記載がないが、市町村に任せるような権限・財源を付けてもらいたい。防災についてはコミュニティ協議会単位で行っており、地域包括支援センターのアドバイスを受けながら協議会で関わっていければと考えている。

(村川委員)地域包括ケアでは、家族が大きな役割を担うためケアラーへの支援も必要。また、特養や市町村が現場で認知症ケアに尽力してきたことを否定するのではなく、現場が活性化するメッセージを発信してもらいたい。

(伊藤局長)局横断的な取り組みに敬意を表する。この「方向性」で示されたことをどう実行していくかが重要だ。「医療計画(都道府県)で、『身近型認知症疾患医療センター』を含めた『認知症疾患医療センター』等の専門医療機関を具体的に記載し、地域住民にもわかりやすく情報提供する」とあるが、都道府県に対して医療計画の作成指針が3月に通知されており、漏れのないように周知いただきたい。精神科病院に入院が必要な状態像の明確化は大切なことだが、医療従事者や介護関係者等によるコンセンサスの形成をどうやって行うのか。「なんでも取りあえず精神科病院に入院させる」ということにならないよう、コンセンサス以上の、なにか担保できるものを求めたい。また、「認知症サポーターキャラバン」の活用は重要だと考える。連合の組合員の反応として「在宅介護=家族介護」との捉え方が多く、家族介護は無理だとの意見も聞かれる。在宅介護は多様なものでそこから認知症ケアが始まるという認識には至っていないのが現状だ。家族が認知症になる前からの介護に関する周知活動も必要である。

(池田委員)認知症疾患医療センターは精神病院であり、ここが支援のメインになるのではなくかかりつけ医が認知症への正確な認識を持つべきである。また、特養などの施設を活用しながら、家に戻していくということをしなくてはならない。「認知症サポーターキャラバン」を行政の手先とすべきではない。「社会の厚み」を増すため広めていく運動である。

(田中委員)認知症の早期診断、早期対応というが認知症を認めたくないと思う家族は多い。その点も留意しておくべきだ。

(村上委員)高齢者の尊厳の保持は必ずしも在宅だけでできるとは限らない。特養も「終の住処」としてだけではなく、症状が緩和すれば家に戻すという循環型サービスもやるべきだと考えているが、在宅サービスがあまりにも貧弱であると感じる。

(高杉委員)尊厳保持に関して在宅だけあるいは施設だけというのではなく、それぞれを活用することが肝要。地域のまちづくりが大切であり、それが人づくりにもつながる。

(清水委員)認知症についての医師への教育を充実させることも大切であると考える。

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