連合北海道
2012年03月27日地域が都心を支えている=TPP問題学習会
連合北海道と食・みどり・水を守る道民の会が、3月26日、ホテルさっぽろ芸文館で「TPP問題学習会」を開き約90人が参加した。
はじめに、連合北海道・出村事務局長、食・みどり・水を守る道民の会・中村会長から開催趣旨として、昨年の11月、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議でTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加にむけ事前協議を表明し、関係国との協議が続いている状況を報告。「依然として情報が不十分で、国民的議論がすすんでいない」と指摘した。
講演では北海道総合政策部政策審議会・藪紀洋局長から米韓FTAの状況、北海道で行っている「TPP分野別の影響」について資料を使い説明した。道として「TPPには反対している」ことを述べた。
現在、日本の貿易はEPA(経済連携協定)へ参加をしており、投資の自由化や規制緩和など幅広い分野でルールを定めた協定をおこなっており、「関税」「政府調達」「医師派遣などの医療規制」「協同組合法」「JAS法・食品衛生法による規制」など幅広い分野で日本としての貿易の自主性を一定保っている状況と説明。
その上で、「米韓FTAを考えた場合、EPA以上の分野での海外資本の介入となる上、TPPへの参加となれば物品(農産物・工業製品など)の関税は原則撤廃、サービス貿易、政府調達、投資、環境分野での介入が免れない状況となる」と指摘した。
こうした状況のなか、北海道でTPPが協定された場合、経済の視点から「米・てん菜など海外から安いものが入ることになれば農業だけで2兆円、漁業で500億円以上の赤字が出るなど多くの項目で影響がある。
一方で、北海道で有利になるものとして、車のギアボックス・エンジンクラッチ・印刷用紙などで12億円の黒字が見込まれる」と説明した。
また、食の安全については「日本の厳しい食品表示ルールの撤廃が求められる」と強調。
公示入札については分離分割事業の統合を迫られ、これまでWTO政府調達基準(調達基準額建設工事23億円・コンサルタント業務2億3000万円)で行われていたものがP4協定(建設工事7億6500万円、コンサルタント業務750万円)への基準引下げが行われた場合、「地元優先などの政策的優遇ができなくなる」という弊害もでてくるなど多岐にわたる分野でのTPPの弊害を述べた。
藪局長は、「都心にいると地域が見えていない。北海道の第一次産業が25%以上の地域が8割ある。地域が都心を支えていることを考えてほしい」「(食料価格の上昇・輸入コスト上昇を踏まえ)食料品が買えなくなる時代がくるかもしれない。新自由主義経済に流されて日本がすすむのは本当に危険であり、今だけを考えず10年先を考えた政策を実現してもらいたい」と述べた。
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