本部情報

2012年03月07日

【本部情報】2012公共サービスキャンペーン開始中央集会・シンポジウム

-大震災の復旧・復興から公共サービスの現状と課題を問い直し、公共サービスのあり方について考える-

公務労協は、3月1日、東京・ホテルラングウッドにおいて、「2012公共サービスキャンペーン開始中央集会」(主催:公務労協、後援:連合、早稲田大学メディア文化研究所)を開催した。

この集会は、東日本大震災から1年という時期にあたることから、大震災の復旧・復興の中での公共サービスの現状と課題を問い直し、あるべき公共サービスのあり方について議論を行い、公共サービス基本条例等制定の必要性について理解を深め、今後の取組みを前進させるために実施したもの。集会には、民間労組の仲間も含めて全国から150人が参加した。

集会の冒頭、主催者を代表して挨拶に立った中村公務労協議長は、行政だけでなく、NPOや民間企業などが協働し、市民のニーズを反映した公共サービスを提供し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を図る必要があること、その実現のためには公共サービス基本条例の制定をはかっていく必要があると述べ、取組みの重要性を訴えた。

主催者挨拶に続き、「東日本大震災をとおして見えてきた公共サービスの現状と課題」と題するシンポジウムを行った。シンポジウムでは、コーディネーターを菅沼栄一郎朝日新聞記者が、またパネリストを山中茂樹関西学院大学災害復興制度研究所教授、伊藤久雄公益社団法人東京自治研究センター研究員が務めた。

阪神淡路大震災を機に災害復興についての研究に携わっている山中さんは、災害復興における問題点として、①創造的復興と称した開発指向があり、市民の生活を復旧するためのものにはならない、②中山間地における医療、福祉などの公共サービスの脆弱性が加速すること、などについて指摘した。そのうえで、「復興・復旧の際には近隣自治体や民間との協力など水平の関係の支援が重要であるとともに、3ヵ月、3年といった期間で常に見直していける復興計画をたてていくことが実効性を高める」と語った。

伊藤さんは、公務員の大幅な人員削減やアウトソーシングが進められてきたことが、今回の大震災で大きな課題として見えてきたとしたうえで、復興・復旧について「平常時にやっていることしか、緊急非常時にはできない」、「自治体の人事政策を改めるべき」と問題指摘した。現在、多くの自治体では2~3年に1度の短いローテーションで人事異動を行っているが、こうした人事政策のもとでは専門家が育たず、緊急時の初動体制もとれない場合が多いことを指摘し、危機管理に必要な職群については、10年くらい長期間配置するといった人事政策が必要と述べた。また、支援を行う力を高めるだけでなく、救援や応援を受け止める力である「受援力」も強化し、高めて行く必要があると訴えた。

会場の参加者からも、「公共サービス基本条例」の重要性や防災に配慮した人事政策、国や独法機関の役割について等の発言があった。

これらの意見を踏まえ、コーディネーターを務めた菅沼さんは、「東日本大震災を経て、役所は私たちの命を守るものということを知った。いい首長を選んでおかないと大変なことになる。また、自治体職員がいかに専門性を高めていくことが大切かということも重要であり、こうした専門性をもった職員が役所の同僚だけでなく、NPOや市民をもひっぱる存在でなければならない」とまとめた。

最後に、花村公務労協副事務局長は「災害が起こるまえの平常時からの準備が大切であり、上から目線の復興ではなく水平の視点が大切であると提言いただいた。私たち公務労協は安心して暮らすことのできる社会づくりに責任がある。大震災の復興・復旧の中で公共サービスとそこに携わる者に対する期待が高まっている今、良い社会をつくる公共サービスキャンペーンを積極的に進めていこう」と呼びかけ、集会を終えた。 

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