連合ニュースレター

2011年07月23日

医師会委員の医療・介護報酬の同時改定全面見送りに反論

連合政策ニュースレター第319号です。

医師会委員の医療・介護報酬の同時改定全面見送りに反論
第20回社会保障審議会医療部会報告

「第20回社会保障審議会医療部会」が7月20日午前、中央合同庁舎5号館で開催され、連合からは小島総合政策局長の代理として伊藤生活福祉局次長が出席した。


【医療提供体制のあり方について】
事務局より、①病院、診療所の目指すべき外来機能、②有床診療所の特性を活かした位置づけ・機能強化、③診療所数の地域差、④地域の診療所における位置づけや機能等に相違を設ける必要性、⑤病院、診療所の役割分担のあり方等、―診療所・外来機能に関する論点が示された。
 
時間外診療への対応や救急体制への参画など、地域の医療提供体制の関わりとして診療所の果たす役割は大きいとの認識のもと、委員からは以下のような指摘があった。
 
「地域密着型として、病院の役割を補完する機能や在宅、介護施設への受け渡し機能など有床診療所の果たす役割は大きい」、「地域において診療所の役割を発揮するには、市町村など行政の後押しがいる」、「高齢化が進むと在宅支援の強化が求められる。医療計画に具体的に盛り込むべき」、「専門医、総合医としてどこまで機能を有しているか明らかにする必要がある」、「生活習慣の改善等、日常生活の指導を行う機能が求められる。看護外来による健康管理や栄養の問題を解決するシステムがいる」、「かかりつけ医の登録制度を検討してはどうか」等々。

 
伊藤参考人は、「かかりつけ医や時間外対応など、身近で安心の拠りどころとなる診療所に期待している。診療所の状況にバラツキがみられることから、適正配分という観点で医療機関の開設に一定の基準を設けてもいいのではないか」と今後の論点を指摘した。

【次回の診療報酬改定に向けた検討について】
 
日本医師会の委員から、「省内業務と被災地対応の両立は不可能。全面的に復旧対応にあたるべき」と診療報酬と介護報酬の全面改定を見送る要請があった。
 
これに対し、中医協支払い側の委員は、「調査を実施し、実情を掴む必要がある。今ある課題を先送りにしてはいけない」、「高齢化は待ったなしで進んでいる。必要な在宅医療の強化や介護との連携、地域包括ケアシステムの構築を図るためにも6年に1度の同時改定による医療・介護の改革は必須だ。改定を前提に進めるべき」と反論した。

伊藤参考人は、「診療報酬改定の検討にあたっては、平成22年度に答申書が出ており、16項目の申し送りがある。この中では医療提供体制に関わることも指摘されており、必要な議論を要する。同時改定に向けては、24時間定期巡回・随時サービスなども注目されており、訪問看護も重要である。医療や介護人材の確保も大きな課題となっており、十分な検討を要する。また、被災地対応では、福島の医療人材が流出しており、人材が確保されるためには、報酬面での対策を講じる必要がある」と全面改定見送りに対する連合の見解を主張した。
  
最後に、齋藤部会長は、「全面改定するかしないかは別として、改定に向けた準備は進める」と取りまとめ、委員からは反対する意見はなかった。

次回会議は9月に開催される予定。


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