2009年06月01日

【峰崎参議のニュースレーター号外】目先の景気対策では意味がない

今年1~3月期のGDP(国内総生産)の落ち込みはオイルショック時の過去最悪の数値を大きく上回り史上最悪だった。2期連続しての二桁マイナスも史上初めてで、まさに「100年に1度」という経済の落ち込みを経験中なのだろう。落ち込みは先進国の中では最大で、サブプライムローン問題の発信源となった米国や欧州よりも深刻だ。日銀や民間のエコノミストの予測をみると、4~6月期はプラス成長になると見込んでいるが、雇用など遅行指数である数値が一段と悪化すれば、内需の落ち込みが進み、V字型の回復など到底見込めない。

なぜ、これほどまでに落ち込んだのか。米国の過剰消費に支えられ、日本の円安バブルに助けられ、自動車や電機機器を中心とした輸出が日本経済の牽引(けんいん)役となっていたことに原因があった。内需主導経済への転換は「前川リポート」以来の課題であったが、結局その転換が進まず、自動車産業や電機産業といった成熟産業に依存し続けてきたツケが回ってきたのである。今回の政府の超大型補正予算案も、エコカーやエコポイントを使った白物家電など、エコの名前を使った「成熟産業育成策」になっていることを問題視する向きも多い。このように車や家電製品の消費を促進しても、消費の先食いでしかなく、新しいイノベーションに結びつかないのではないか。

さらに、問題は供給過剰に陥っている企業に対して税金を直接投入する仕組みを設けたことだ。しかも、どの企業に投入するかは第三者ではなく、関係省庁が判断するという仕組みで、市場に対するあからさまな政治介入が進められようとしている。さらには、日銀や銀行等保有株式買取機構の株式買い上げに加え、政府自らが50兆円の予算を用意して直接株式市場に介入する準備が進められている。

銀行という社会的な信用システムを守るがゆえに公的資金の投入が許容されるわけで、民間企業に対してどうして許されるのか。その根拠が「大きすぎてつぶせない」ということにあるとすれば、モラルハザードも極まれり、と言うしかない。

2009年3月期決算で、りそな銀行がメガバンクの中で一番の利益を上げたが、その要因は株式保有を極めて少なくした結果、減損会計の適用がほとんどなかったためだという。こういう改革こそ、今求められているのだと思う。

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