朔風プレミアム
2009年05月28日【投稿・朔風プレミアム】官僚主導と政治主導
昨日の党首討論、皆さんはどう聞いただろう。民主党の渡部恒三最高顧問はテレビで「6:4で鳩山代表」といっていた。山口二郎北大教授も今朝の朝日新聞で問題設定力、説得力は鳩山代表、柔軟性は麻生首相と評している。
テレビで一部始終を観たが、どちらかが一方的に相手を圧倒した討論ではなかったわけで概ねそんなところかと思う。
主観をいえば、鳩山代表には迫力と新鮮みがあった。「古い自民党さようなら」はいいフレーズだった。続けて「民主党、こんにちわ」といえばなお良かったのに。スーツ姿も決まっていたし。
それに対して麻生首相は弱々しく感じられた。国会答弁で憔悴しきっていて精気がない。言葉に気迫が感じられない。没落する権力の末期を見ているようでさえある。
いい切り返しだと思ったのは、麻生首相が「政権交代は手段であり目的ではないのではないか」と問いただしたのに対し、鳩山代表は「政権交代は目的ではない」と肯定した上で「スタートラインだ」としたことだった。
だいたい、自民党にいわれたくない話ではないか。自民党こそ選挙を先延ばし、政権維持を自己目的化しているのであって、よく言えたものである。
それから、気になった点は「官僚主導」政権批判が随所に出てきたことだ。この指摘はそのとおりなのだが、なにか単なる官僚批判に聞こえてしまった。
確かに自民党政権下で官僚機構がマンネリ化してしまっているのは否めないが、悪いのは官僚を使い切れない政治家なのだ。だからこそ政権交代じゃないのか。民主党政権となっても官僚の協力なしに政権は運営できない。
小泉内閣時代は基本的にはどちらかというと官僚の抵抗を押し切って政治主導で新自由主義的な制度改悪を断行したのであって、官僚主導と批判されるべきはその後の福田内閣あたりからであろう。
本来、立法、行政、司法の三権はそれぞれ牽制しあい独立していなければならないが日本は大統領制ではないのでどうしても立法が行政主導つまり官僚主導となりやすい構造なのである。
政権の交代があっても官僚の交代はない。むしろ民主党が上手く官僚集団と向き合えるか、官僚の蓄積した知恵と能力をどう引き出すか、民主党が官僚を主導できるかどうか試される時がきているといわなければならない。
さて、昨日の読売新聞。この党首討論を意識したかのごとく「鳩山代表に質問です」の大見出しで自民党の全面広告。「政策に財源はあるか」「憲法、安全保障に党内で一致しているか」というような内容で民主党を批判。
そのなかで留意すべきは「自治労、日教組の支持受けて人件費削減できますか・・・」とのくだり。このフレーズ、前回の郵政選挙でも当時の武部幹事長が「自治労が日本を潰す」と国会で代表質問していたことを思い出す。
選挙時期の自民党の常套手段だといってしまえばそれまでだが、不況下では特に公務員批判が世論に融解しやすい。全農林の「ヤミ専従」キャンペーン、行革に名を借りた全開発への攻撃、夏の一時金調査など公務員労働者を分断させ選挙闘争から遠ざけようと躍起である。
したたかに、そしてしっかりと前進したいものである。
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