朔風プレミアム
2009年04月02日【朔風プレミアム】地検「特別捜査部」は必要か?=ある「市民メディア」サイト
すっかり、マスコミ報道から遠のいた感じの「西松事件」。小沢代表の進退問題はどうなるのか、捜査はどこまで進んでいるのか。二階大臣の秘書への捜査の動きも伝えられるが、依然として今回の捜査の意図や背景は不透明のままである。
そんななか、東京地検特捜部の成り立ちについて、興味深いサイトを発見。時間のある方はお読みください。
以下、日本インターネット新聞 jan.janから
地検「特別捜査部」は必要か?
夏野繁造2009/04/02
http://www.news.janjan.jp/government/0904/0904010643/1.php
一般的な刑事事件は、警察により捜査や被疑者逮捕が行われるが、東京地検特捜部は、 政治家汚職、大型脱税、経済事件などに、独自の捜査、摘発、逮捕に乗り出すことがある。
検察庁には、地検、高検、最高検があるが、なぜ地検にのみ特捜部があり「特別な事件」に限って高検でも最高検でもない地検が出張るのだろうか。
その成り立ちは次のとおりであった。
地検特捜部は敗戦後の翌々年、1947年、旧軍需物資の隠匿を取り締まる「隠退蔵事件捜査部」として発足した。当時、敗戦国の日本は、連合国軍総司令部(GHQ)の管理下にあった。
GHQは、無条件降伏した日本に対するポツダム宣言条項を執行するために1945年から1952年まで日本に設置された連合国の機関である。つまり、占領下において特捜部はつくられた。
また、戦後の東京地検特捜部による政治家に対する主な捜査・立件は次のとおりである。
・田中角栄 逮捕 ロッキード事件
・竹下登 失脚 リクルート事件
・金丸信 失脚逮捕 佐川急便献金・脱税
・中村喜四郎 逮捕 ゼネコン汚職
・鈴木宗男 逮捕 斡旋収賄
・橋本龍太郎 議員辞職 日歯連贈賄事件
摘発されたこのなかには自民党の有力派閥で親米、タカ派の清和会(現在の町村派)メンバーはいない。清和会は品行方正なのか、それとも特捜部の手がゆるいのか。
ロッキード事件では田中角栄が逮捕され失脚、一方のダグラス・グラマン事件では、名前が挙がりながら起訴はおろか事情聴取すらされなかった政治家たちがいたことはたしかである(岸、福田、中曽根等)。
また最近では、CIAのエージェントだったことがアメリカからの情報で判明した岸元首相など、国益を著しく損なったであろう前代未聞な事件であったが、特捜部は知らぬカオをしていたことになる。
西松違法献金事件をみても、怪しい自民党議員は多数いるが、メディアを通じた「小沢つぶし」の動きが顕著に見える(小沢、二階はもともと「経世会」の出身である、今後は国策捜査批判に応えバランスをとるため、特捜部は二階立件に向かうかも知れない)。
小泉元総理はかつては福田の秘書。安倍晋三、福田康夫は、岸>福田>森へ続く清和会系統である。郵政民営化は「貯金の行方」や「簡保の宿」など、大がかりなナニゴトかがありそうだが、「事件」にはなっていない。
今回の「小沢つぶし」には次のことが見られる。
(1)CIAを本家とする「伝統」に基づく動き(ウラをとれないが、複数から得た伝聞である)。
東京地検特捜部の歴代トップは、CIAに留学し教育研修を受ける。この教育を受けた者でなければ、東京地検特捜部、そして日本の警察機構の中で、上層部に位置することはできない、とか。
今回、小沢は、クリントン長官と対談。その直後、在日米軍は第7艦隊で十分、などの発言があった。これは民主党のいう、対等な日米関係、国連中心主義、アジア諸国との信頼関係構築など主体的な外交理念によるものだが、今のままアメリカに依存し続けたい各層からすれば、まったく異なる方針で承服しかねることだろう。
(2)東京地検特捜部の存在のアピールのため。
特捜部の人員構成は、検事38名、副検事3名、検察事務官80名余である。小沢の第1秘書逮捕は次期総理の公算大の小沢と民主党に(計画どおり)大きなダメージを与えた。
予定されている総選挙で民主党が勝つことは民意として既定のものになりつつあった。しかし、その流れを、国民が選んだワケでもない一部の行政官グループが意図的に曲げた(彼らは年度末のこの時期、大きな仕事をしたことになる)。
職権にはそれほど大きな裁量があるのか。いや、行政の優位性など三権分立は認めていないハズだし、民主主義の下では世界中どこの国にもあり得ない。他律性がなく抑制が効かない、何でも出来る行政権力の存在が、この日本の現代に在ること自体まことにオカシイ。
民主党は行財政のムダを徹底的になくす提言をしている。 1、補助金の一括交付等による無駄の排除 2、談合・天下りの根絶 3、特殊法人、独立行政法人、特別会計等の原則廃止 4、国家公務員の総人件費の削減 5、他にも、各省庁への目付監督役の出向張付け、司法捜査の可視化等、
これらの改革に役人が戦々恐々としないはずがない。検察もれっきとした行政の一組織である。
検察機能は、「地検-高検-最高検」の単一組織体で間に合うのではないか。「特捜部」は廃止も含めて行政改革の俎上にあげられなければならない。
単なる権力闘争や、AからBに政権が移行する転換期のゴタゴタならば「ワレ関せず」「庶民には無関係」と眺めているのだが、この度は「国のあり方」にかかわる事態にみえる。国が自立の道を歩めるか、主権在民は実現可能か等、どうやら日本は重要な岐路に立っているようである。
(敬称略)
組合員専用ページのTOPへ