本部情報
2009年03月31日【本部情報】工程表に基づく法案で甘利公務員制度改革担当大臣と交渉
公務労協は法案に対して反対姿勢で臨むことを表明
公務労協公務員制度改革対策本部は、3月30日、甘利公務員制度改革担当大臣交渉を実施し、目前に迫った工程表に基づいて内閣人事局を設置することなどを内容とする法案の検討状況を質した。
交渉は、15時から行われ、対策本部側から岡部・中村・河田各副本部長、各構成組織委員長らが参加した。
冒頭、岡部副本部長が、「内閣人事局の設置等を定める法案に関わっては、近々にも閣議決定される予定と聞く。この間、ILOからの数次にわたる勧告において、政府に対し指摘された「全面的で率直かつ有意義な協議を行うこと」、さらにこれを踏まえた国会における総理及び担当大臣が答弁された「関係者との率直な意見交換」に基づき、事務レベルの交渉・協議を行ってきたが、関係者・当事者として、わたしどもが現行公務員制度の根幹に関わる問題として意見を申し上げた点が一切反映されていない。「誠意を持って交渉・協議に対応する」と約束されてきたが極めて残念だ。そこで大臣に、再度、以下の点について誠意ある見解を求めたい」と述べ、甘利大臣の見解を質した。
①政治からの中立・公正性を損なうこととなる採用・任用・研修の企画・立案機能の内閣人事局への移管は行わないこと。
②勤務条件そのものである級別定数の内閣人事局への移管は行わないこと。
③身分保障に抵触する幹部職員の任用の特例は行わないこと。
④組織管理を含む内閣人事局の設置は、一方的に使用者機関のみを強化するもの。直ちに労働基本権を付与し、団体交渉制度を確立すること。
これに対し、甘利大臣は「基本法に基づき、顧問会議報告も尊重して法案を作る責任を負う立場で作業をしてきた。基本法は、現行の労働基本権制約の下でできることと、基本権に決着を付けてから行うことの二段階となっており、今回は前者について、代償措置は損なわないこと、人事行政の公正性が確保されることのいずれにも抵触しないことを法制局に確認してきた」とした上で次の通り答えた。
①採用・任用・研修の企画立案機能の移管について
人事行政の公正性については、戦前のような情実人事が行われないようにするということであり、公正性を確保するための基準を作ることで情実人事ができないようにする。
②級別定数の人事局への移管について
級別定数は、今までは府省をまたいだ課題に迅速に対応できなかったので内閣に一元化することでできるようにするものであり、経営判断でもあるが、結果として昇進に可能性の変化が出てくるので、それは人事院の意見の申し出と改善勧告をできるようにする。
③幹部職員の任用の特例について
まず、幹部職員の範囲で降任するものであり、もっと大胆にやれという指摘もあるが、能力はあるがより能力のある人が来たときの話だ。
④使用者機関が一方的に強化されるので直ちに労働基本権を付与すべきという指摘について
基本権については、基本権の問題が処理された後と前を分けて対応してきた。定数移管は基本法に書いてあり、一段階目の話であるが、慎重に進めてきたところである。
この回答に対し岡部副本部長は「ただいまの大臣の見解は、1月27日に連合古賀事務局長名で提出した最小限要求に照らしても、実質的にゼロ回答と受け止めざるを得ない。それでは到底今回の法案を認めるわけにはいかない。再度大臣の見解を伺う」と重ねて甘利大臣の見解を求めたのに対し、大臣は次の通り答えた。
(1) 工程表で内閣人事局は一年以内の課題であり、こういう機能を移管せよということで、定数(機構・定員、級別定数)を移管せよと法律に書いてある。基本権はその後に成案を得て措置せよと書いてある。
(2) 担当大臣としては、そうした基本法を無視するわけにはいかない。私は三年目、五年目を前倒しし、加速させており、縛られている中でタイムラグがないよう努めている。
大臣の再度の回答に対し岡部副本部長は「われわれは公務員制度を抜本的に改革すべきと一貫して主張し、国民のニーズに応えるための改革を求めてきた。しかし、現行公務員制度の根幹を揺るがしかねない制度見直しが、当事者であるわれわれの意見が踏まえられることなく、専門家の検証も、国民的な議論もなく、一方的に閣議決定されるのは認められない。また、労働基本権問題の先行きが見通せないまま、使用者の権限だけが拡大されることも、労働組合として到底容認できない。もし、このままの内容で閣議決定されるのであれば、法案には反対の意思を表明させていただく。ILOに対しても追加情報として然るべく報告をしたい」と述べ、法案がこのまま閣議決定されるとすれば、反対の姿勢で対応していくことを表明し、交渉を打ち切った。
なお、公務労協の公務員制度対策本部では、法案の閣議決定が強行された場合には、抗議打電の取組みを展開するとともに、連合と連携しながら国会対策等に取り組むこととしている。
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