本部情報

2009年03月26日

【本部情報】地公部会が総務省と交渉、「雇い止め」に対する対応を確認

「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」を受けた通知

※この交渉情報は、単組のホームページ、機関紙、チラシ等には活用せず、単組・総支部での意志統一のために止めてください。

公務員連絡会地公部会は、「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」(1月23日)を受けた総務省通知が行われるとされていたことから、その通知内容に関して、3月18日14時30分より、総務省公務員部公務員課から説明を受けるとともに、交渉を行った。総務省からは公務員課の植村理事官、田村課長補佐、永井課長補佐、給与能率推進室の島田課長補佐ほかが出席し、地公部会からは藤川事務局長ほか幹事クラスが交渉に臨んだ。

はじめに、地公部会の藤川事務局長が、通知の検討状況に関して質した。これに対して、総務省の植村理事官が、「報告書」に沿い、研究会発足の背景、報告書のポイント、報告書を受けた総務省としての今後の対応、などについて説明を行った。

この中で、植村理事官は、通知の時期について、「当初は年度内の予定であったが、鳩山総務大臣が3月13日の衆議院総務委員会において答弁したとおり、来年度早々に通知する方向で準備を進めている」ことを明らかにした。また、任期付短時間勤務職員制度の法改正等に関わる部分については、「内閣法制局との調整や、法案の国会上程・審議のタイミングの問題等もあり、現段階ではいつの時期になると確たることは言えない」との考えを示した。

これに対して、藤川事務局長からは、報告書及び通知の内容に関わり、次の点について質した。
(1)この報告書をもとにした通知が出されることによって、各自治体で「雇い止め」が多発する契機になるのではという懸念がある。「雇い止め」が多発しないよう、通知においては、次のことについて徹底をはかられたい。

① 報告書の「おわりに」(報告書32ページ)で明記された、「公務の提供に必要とされる人員体制の確保を一義として適切な対応が求められる」との趣旨が各自治体に十分に理解されるよう努めていただきたい。
② 非常勤職員の任期について、法律上の規定はないが、「原則1年以内である」との考え方が示されているが、一方で、「再度の任用は妨げない」との考え方に報告書は立っている。この再度の任用は妨げるものではないことを、各自治体に理解されるよう、配慮していただきたい。
③ 再度の任用における「新たな職」とは、同じ名前、同じ種類の仕事であっても、再度任用前の職とは別な仕事(ポスト)という整理になるのか。
④ 地公法22条に根拠をおく臨時的任用職員についても、「職」の概念は同様なのか。

(2)再度の任用における報酬についてであるが、例えば、一般事務職の臨時・非常勤について最初の任用では「単純な事務補助」の職務に付き、再度の任用では「複雑な事務補助」の職務に就くといった場合、さらには再々度の任用では「複雑な事務補助に窓口業務も加わる」といった場合、これらのケースでは報酬の変更はあり得ると解して良いか。

(3)任期付短時間勤務職員制度を活用できる要件の在り方について、具体的に次のことについて明らかにされたい。

① 新たな類型の任期付短時間勤務制度導入のための法制度の検討と併せて、現行制度の枠内での柔軟な任用の可能性についても並行して検討をすべきと報告書にあるが、それは運用通知の改正で要件解釈を拡大するものと理解して良いか。
また、新たな類型の任期付短時間勤務制度の導入にむけた法改正について現時点で説明できる点はあるか。
② 「(条例(例)において)3年を超える任期設定に対してかなり限定的に規定している部分を弾力化するなど、制度の普及啓発及び運用の段階で配慮が必要とする」との報告書での指摘を受けて、具体的にどのような取組みを行うのか。

これらについて、植村理事官からは、次の回答があった。
(1)-① 雇い止めをすべきという趣旨で通知を出すのではない。報告書の「おわりに」でのメッセージは、重く受け止めている。表現の仕方は容易ではないが、通知においてどのように趣旨を伝えるか、意識したい。
(1)-② 報告書で任期について、「原則1年以内」と示されたが、同時に「再度の任用があり得る」ともされた。両方の要素を合わせて説明していく必要があると考えている。
(1)-③ 再度の任用において、「新たな職」に就くとは、職の設置がリセットされるという意味である。
(1)-④ 地公法22条に根拠をおく臨時的任用職員の場合、任用期間は最長6ヵ月、1回限りの更新で、最長1年とされているが、1年経過後、「新たな職」に就いたものとしての再度の任用は可能である。

(2)再度の任用における報酬について、ご指摘のケースにおいては、単に事実として職務内容が異なるだけでは十分ではなく、職務の質が異なる別のレベルの職が設定され、それに伴い報酬が変更されることはありうる。

(3)-① 新たな類型の短時間勤務職員制度導入のための法改正も、検討中。報告書28ページに記載している内容(対象を「住民に対し直接提供される行政サービスに係る業務」とするか、「サービスの質的向上を確保する場合」とするか。この場合、「業務の期限性」をどのように位置づけるか。資格や実務経験が担保する専門性の水準をどこまで特定できるか。制度の活用により公務能率の推進が図られるか。任期付短時間勤務職員が制度本来の職責とこれに見合う処遇の下に職務に従事することができるか)についても法制的に検討しているところである。
(3)-② 任期付短時間勤務の3年を超える任用期間(5年以内)の運用の弾力化については、条例(例)の変更も含めて検討している。

また、日教組から、「臨時・非常勤職員は定数管理の外にあることになっているが、非常勤教員の場合、標準法の定数内に置かれている。これとの関係について説明されたい」と質したのに対して、総務省側からは「非常勤教員については、標準法により算定された定数の範囲内で任用される例があることを指摘しているものと考えるが、定数条例でいう「定数」とはその概念は異なるものである。定数条例でいう定数は、その地方公共団体の職員数が、これを超えてはならないものであるが、非常勤教員等、臨時又は非常勤の職は、これには含まれない」との説明がされた。

最後に、藤川事務局長から、「3月14日に地公部会として初めて臨時・非常勤職員の雇用・処遇改善を求める中央集会を実施した。そこでも、今回の研究会報告書とこれを受けた総務省通知に対して、雇い止めを促す効果をもつものになるのではないかと心配する声が相次いだ。是非、雇用の問題については、報告書の「おわりに」での趣旨も十分に踏まえ、通知の書きぶりについては十分に配意していただきたい。また、通知の中身の個々については、別途、意見交換させていただきたい」と要請し、交渉を終えた。


※ 短時間勤務のあり方に関する研究会「報告書」については、総務省ホームページ
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2009/pdf/090123_7_3.pdf を参照下さい。

参考:2009年1月23日【本部情報】総務省「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」

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