朔風プレミアム

2009年03月20日

【朔風プレミアム】不況から恐慌への一歩

タイトル「不況から恐慌への一歩」は3月19日付けの毎日新聞の見出しで、経済評論家内橋克人氏のコメントの一節から拝借した。

同氏は「賃上げがゼロになったことで、内需の拡大や自律的な景気回復を維持するための機会を失った」として内需を軽んじ、外需依存で成長してきた日本の大手企業が業績悪化に陥っているのに、その転換へのチャンスを失い不況から恐慌への第一歩になってしまうと危惧するという分析である。

また、別のエコノミストもこれまで、戦後最大の景気を謳歌していたときにも満足な賃上げを実現できなかった春闘の限界が今春闘の結果を呼び込んだともコメントしている。確かに、トヨタが過去最高の収益を更新していたつい最近も、一時金で解消し、賃上げと呼べるにふさわしい結果は残していない。

それが、この不況期の労使交渉である。「異例の交渉」などというのん気なことを言っている場合ではなかろう。最初から難航することは明らかではあった。

経団連は「定昇凍結でも景気後退せず」と主張しているが、組合員の生活は事実上の賃下げで生活を一層の切り詰め、したがって個人消費は落ち込み、企業の売り上げは伸びずさらに業績が悪化する「負の連鎖」は避けられない。

こうした春闘の結果は今後の中小や公務員賃金にもマイナス影響が及ぶこととなろう。非正規労働者の雇用も賃金も改善されるどころかますます厳しい環境で推移するに違いない。

今年の賃金闘争はかつてない厳しい情勢下でのたたかいとなることを覚悟しなければなならい。

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