本部情報
2009年03月10日【本部情報】人事評価の活用に係る研究会報告の取扱いで総務省と交渉
給与への活用は勤務条件を確認、実施に当たっては十分な交渉・協議を要求
(2009春闘情報No.9)
※この交渉情報は、単組ホームページ、機関紙、チラシ等には活用せず、内部意思統一用に止めてください。
公務員連絡会地方公務員部会は、3月6日、「地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究報告」の取扱いに関して幹事クラスによる総務省公務員部給与能率推進室長交渉を行った。総務省給能室からは小池室長、鶴巻調査官、田中課長補佐らが対応した。
この交渉は、総務省公務員部が、国家公務員の評価制度が2009年4月1日から本格的に実施されることに伴い、地方公共団体においても人事評価制度の取組み向上と給与・任用など活用を主眼にした研究会の報告が出されるに当たって行われたものである。
冒頭、地公部会の藤川事務局長から次の7点について総務省の見解を資した。
1.人事評価の活用等に関する研究会の報告書をどう使っていくのか。また、今後のスケジュールは。
2.人事評価結果の活用に当たっては、労使の十分な協議。交渉が必要ではないか。使用者が一方的に導入できるものではないと考えるが、いかがか。
3.人事評価結果を活用することとなる給与制度・運用は勤務条件ではないか。勤務条件であるならば、交渉事項ではないか。
4.「人事評価制度を本実施し、これを積み重ねていく中で─(中略)─人事評価の運用熟度が増していくものと考えられる。このことからも、速やかな本実施が求められる。」(同報告書(案))とされているが、拙速ではないか。本実施とは、具体的に何を指すのか。
5.「点数製の採用も有効:(同報告書(案))とされているが、評価結果は一定の幅を持つと考えられるため、点数制はなじまないのではないか。
6.評価結果の開示は内容について、各項目別の評価結果も開示すべきものではないか。
7.苦情処理について、職員が申し立てを行う際、職員団体の参加も認めるべきものではないか。申立人が希望すれば、立会人を認めるようなことも苦情処理には必要ではないか。
これに対し、小池室長は次のように回答した。
1.報告書を取りまとめた後、4月には地方公共団体に情報提供を行う。報告書を参考としながら、新たな評価制度の導入実施、点検見直し、評価結果の十分な活用に努めてもらいたい。
2.人事評価制度の導入に当たっては、評価の透明性、客観性、納得性を確保するため、地方公共団体において枠組みが適切に構築されることが必要と考えている。人事評価制度の具体的な仕組みは、それぞれの地方公共団体において決めていくべきもの。円滑な導入が図られるよう必要な助言を引き続き行っていく。
3.給与が勤務条件であるという点については考え方に変更はない。
4.報告書(案)の主旨は、漫然と試行を継続するのではなく、しっかりした試行を行い、すみやかに本実施に移行していくべき、という点にあると理解している。総務省も、かねてより公正かつ客観的な人事評価システムの構築に積極的に取り組むよう申し上げてきている。報告書(案)でも、試行、本実施の各段階で生じた問題点などについて、適宜、改善を図りながら完成度を高めていくことを求められていると指摘されているもの。
本実施とは、公正かつ客観的な人事評価のしくみが具体的に整備され、人事管理の基礎として給与、任用、人材育成等の各分野への活用が適切に行われることを指すものと理解している。
5.点数制は、わかりやすさの観点から報告書(案)でも、評価結果の順位付けや能力評価、業績評価のルート配分等の調整等が容易であるとして、その有効性が指摘されている。各地方公共団体において、こうした点も参考にしながら、それぞれの人事評価の仕組みや実情に応じて、点数制の採否や方法を決めていくべきものと考えている。
6.評価結果の開示について、透明性の観点はもとより、職員のやる気をひき出すという観点から、報告書(案)でも、面談を通じて評価結果のフィードバックを行うことが基本として、その重要性が指摘されている。一方で、評価が甘くなりやすいといった懸念から、現時点で評価結果を開示している団体の取り組み状況や国の考え方は様々である。各地方公共団体において、こうしたことも参考にしながら、それぞれの人事評価の仕組みや実情に応じて、具体的な開示内容を決めていくべきものと考えている。
7.苦情処理の基本的な手順としては、まず事実確認が重要なことから、報告書(案)で、申し出者本人、その評価者、関係する上司や同僚等からの聴取を含め、事実調査を行った上で、審査するのが一般的とされている。各地方公共団体において、こうしたことも参考にしながら、それぞれの評価の仕組みや実情に応じて、具体的な苦情処理手順を決めていくべきものと考えている。
これらの冒頭回答に対して、地公部会からは、さらに総務省の見解を資した。
① 報告書はあくまで参考資料であり、押し付けではない。バリエーションがあるのは当然との認識でよいか。
② 人事評価制度は使用者が一方的に導入するものではない。組合との交渉・協議を通じた十分な意思疎通が必要ではないか。
③ 報告書(案)には勤務条件であるところも載っているが、勤務労働条件であるならば交渉事項であるとの認識でよいか。給与に関わっては勤務条件であると、実施に当たって、各自治体に伝えてもらいたい。
④ 人事評価の制度の速やかな本実施とはあまりに拙速ではないか。活用において段階的に熟度を高めていくという理解でよいか。試行をしていないところで本実施はないとの認識でよいか。
⑤ 点数制には大きな抵抗があり、競争をあおり、序列をつけるためだけの制度となってはいけない。安易に点数制に流れないよう手立てをうつようお願いしたい。
⑥ 報告書(案)には、個別開示をしている自治体の事例もあり、評価結果はできるだけ開示したほうが良いとの考えか。透明性と納得性を高めていくために、各自治体でもっとも良い方法を編み出していくということでよいか。
⑦ 各自治体が決めた苦情処理制度で、組合が参加することについて各自治体にそれを否定することは無いと考えてよいか。
これらの追及に対し、総務省側は次の通り答えた。
① 報告書は参考にしながら活用してほしい。バリエーションはあると思うが、人事評価制度の根幹を認識して取り組んでもらいたい。
② 職員の理解と納得が得られるよう努めることは重要。その観点からも制度の仕組みを周知し、意思疎通を図っていくことが重要だと考えている。意思疎通の方法は各自治体の実情による。
③ 勤務条件の考え方については答えたとおり。
④ 漫然と試行を続けていくのではなく、改善を図りながら、熟度を高めながら、速やかに本実施に移していくという計画的な取り組みをお願いしたい。各段階で完成度を高めていくということ。活用については、計画的な取り組みを前提に、熟度に応じた活用も有効と報告書(案)に指摘されているとおりで、柔軟な対応が必要な部分もあるとは思うが、最終的なところに向かって着実に取り組んでもらいたい。試行の実施は各団体の判断だが、大体のところで試行を行っているのではないか。
⑤ 点数制については、こういう手法もあるということで報告書(案)に書かれてあり、順番をつけることだけが目的ではない。
⑥ それぞれの実情に応じて、透明性、納得性を高める方向で開示をやってほしい。
⑦ 苦情処理は本質的には事実確認ではないか。各自治体で、どのような形で事実調査を行っていくのが目的にかなったやり方であるのかしっかりと判断してほしい。
最後に、地公部会側は、①評価制度導入においては、各自治体で組合側としっかり交渉・協議を行うこと、②十分な試行が必要であり、拙速な実施を求めないよう要求し、交渉を終えた。
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