本部情報

2009年03月06日

【本部情報】全国町村職総決起集会にともなう総務省要請報告(財政政策関連)

(2009春闘情報No.5)

(※この交渉情報は、単組のホームページ・機関紙・チラシ等には活用せず、内部意思統一用に留めてください。)

2009年2月27日、自治労は第30回全国町村職総決起集会を開催しました。参加者人数は、47県本部・531単組(うち未加盟4単組)・833人(女性170人・参加率20.4%)でした。集会に先立ち、26日午後、総務省に対し「町村財政政策に関する要請」および「町村職員の賃金・労働条件に関する要求」を行いました。
 
つきましては、別記のとおり、「町村財政政策に関する要請」についてご報告いたします。なお、「賃金・労働条件」については、追ってご報告いたします。

<別記>
町村財政政策に関する総務省交渉について(報告)

自治労・全国町村評議会は、2月26日13時30分から、総務省交渉を行った。
自治労からは本部より横山組織局次長(町村評事務局長)、全国町村評より川本議長、飯塚副議長ら全国幹事を含め12人が出席し、総務省からは、自治税務局企画課・清水係長、自治財政局財政課・折居係長、交付税課・脇本係長、財務調査課・今道係長が出席した。

はじめに、川本議長が要求書を手渡し、総務省の回答を求めた。

①自主財源に乏しい町村において、厳しい財政運営となっていることは承知している。現状は、国と地方が担う仕事の量は4:6だが、国と地方の税源割合が4:6となっている。地方が担う業務量に見合う税収配分として、当面は5:5の実現をめざす。地方分権改革と合わせて、政府として税制改革の「中期プログラム」が策定された。今後の税制抜本改革の議論にあたって総務省としては、安定性があり偏在性の少ない地方消費税を中心に充実する方向が適切と考えている。税源配分にあたっては、国と地方だけでなく、県、市町村の配分のあり方も含め、留意していきたい。

②2009年度予算について、急速に悪化した経済情勢を勘案し、既存の算定とは別枠分として、地方交付税1兆円を計上した。そのうち、5千億円を厳しい雇用情勢の地域に「地域雇用推進費」として創設した。さらに、残りの5千億円を「地方の元気回復」の財源として、公立病院に対する財政措置の充実などを盛り込んだ。同時に、地方間の財政力格差の是正として、昨年の地方交付税算定から取り入れた「地域再生対策費」4000億円の算定を見込んでいる。結果、税収が急激に落ち込むなかで、地方交付税総額は前年度比で4000億円上回る額を確保し、財政力が特に弱い地域に応える体制が整備できたと考えている。

③自治体財政健全化法については、財政指標の結果だけでなく、公共サービスの水準を考慮し、健全化をはかることが重要である。健全化法の財政措置としては、再生団体に至った場合、「再生振替特例債」を発行し、国がその資金に対して配慮する規定がある。総務省としてもしっかり運用していきたい。また、自治体の財政再建にあたって、国は、財政指標の算定方法や地域住民へ公表の手続きなど、必要最小限のルールの設定にとどめている。健全化法は、自治体が主体的に財政健全化を進めるものであり、国が行財政運営の主導権を奪い、自治体に無理強いする趣旨の法ではない。

④森林や環境などの行政需要に対する地方交付税算定は、2008年度、新たに設けた「地方再生対策費」において、面積や人口比率に加え、林野面積も一部算定基準に加えている。今年については、総額で4千億、市町村分として2500億円を確保している。森林を抱える自治体は一般に都市ではなく、財政力が弱い自治体が多い。地方交付税が持つ財源保障・財政調整機能を発揮し、日常的に森林保全が必要となる自治体においても配慮していきたい。自治体の意見を聞きながら、適切な算定を進めていきたい。

これらの回答に対し、自治労側からはさらに次のとおり質問した。
①今年については、公立病院などを中心に地方交付税措置を充実し、安心した部分もあるが、2010年以降についても、苦しい町村財政は変わらない。今年と変わらない交付税措置をお願いしたい。また、公立病院の財政状況は、医師の偏在や診療報酬と密接に関わっており、特に医師確保は地方にとって困難を極めている。政府全体として医療体制の充実を真剣に考えるべきだ。

②青森大鰐町では、30%、20%といった賃金カットが提案されている。国が進めたリゾート法により、スキー場や温泉施設を開発したことが主な原因だが、最終的にしわ寄せが一職員の賃金にまで及んでいる。こういった現状をどう考えるか。

③国の支給基準を超える地域手当を支給する自治体が、特別交付税算定において減額されている。苦しい財政の中、それぞれの地域の事情を勘案して、なんとかやりくりして捻出している手当であり、これを財政上の余裕とされるのは問題ではないか。また、労使で妥結した内容であり、議会でも承認されおり住民の理解を得ている。制裁的な減額措置は中止すべきだ。

④道州制の議論が着々と進んでおり、その際、町村のような小規模自治体がどの程度維持されるのか不安が残る。「三位一体改革」で地方の財源全体が圧縮しており、財政力が乏しい小規模自治体において地方交付税をはじめ、必要な財政措置が不可欠である。

これに対し総務省から、以下の回答があった。
①病院などについての地方交付税措置は、地域に必要な財政需要だからこそ地方財政計画に上積みしたものであり、2010年度以降も経済状況をみながら、必要なものについては継続していきたい。医師確保の問題なども関係省で協議しており、総務省としても公立病院の維持の観点から協議に参加している。

②大鰐町以外にも、職員の賃金カットへ踏み込んだ自治体も少なくないことは認識している。一方で、行政内部のみならず、税負担や利用料など住民への負担があるのも事実。現在の健全化の取り組みは、将来にむけた公共サービスを維持するための取り組みとして、ご理解いただきたいと思う。

③特別交付税の減額措置については、標準的な財政需要に基づき地方財政計画・地方交付税が算定されるため、標準的な財政需要を超えた部分の算定を想定していない。また、公務員賃金への住民の批判が高まっている中で、標準的な財政需要を超える部分の財源保障を行うことは、全体的な議論として難しい。

最後に、「町村など小規模自治体については、不利な地理的条件など抱えながら、公共サービスの維持に努めている。また、健全化法の運用について国は最小限度の関与にとどめているとの回答があったが、行き過ぎた関与があるのが実態ではないか。過疎地域の公立病院など、採算のとりにくい事業だが維持しなければならない公共サービスを抱えていることを加味し、画一的に取り扱うことのないよう留意すべきだ。過度の関与は慎むべき」と再度要請し、交渉を終えた。

                                          以上
   
<別紙>  
【最終】総務省要請書(財政)をダウンロード

   

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