朔風プレミアム

2009年03月01日

【朔風プレミアム】国との均衡というアナクロニズム

3月1日付読売新聞トップは「職員手当270億円上乗せ」「165自治体交付税減額」という見出しで、総務省が国を上回る手当てを支給している自治体の特別交付税を減額するいわばペナルティを課したというのだ。

記事にある手当てのほとんどは「地域手当」で05年の地域給与導入に際して、国の支給要件を超えて愛知などが県内自治体のほとんどに支給したもの。

地域給与は「国は配分変更」で「地方は切り下げ」というまったく「均衡」を欠いた公務員制度史上かつてない制度「改悪」だった。公務員給与制度における「国と均衡」論はすでにこの時点で終焉していたとみるべきである。


しかも、自治体は財政危機で給与の独自削減を実施中である。勧告が実施されないということなので給与上の「均衡」は根本から崩壊しているのである。

したがって、個々手当をひとつひとつを取り上げて、国を上回っているとして是正を求めること自体が時代遅れのアナクロニズムなのだ。

給与水準は、前述のように地域給与の導入で自治体の水準は低くなった。

しかも、独自削減でラスパイレス比較も国を大きく下回ってしまった。個々の手当てを問題にするのであれば、諸手当を含む給与全体で比較をしてはどうか。給与に占める諸手当の割合は国の方が明らかに大きいので、自治体が水準は下回ることは明らかである。

それから定員の「均衡」はどうであろうか。

総務省の発表では、08年4月の地方公務員数は、骨太2006の要請(5ヵ年で5.7%これは国家公務員の減員計画でもある)に対し、3ヵ年ですでに▲4.7%の純減となっている。国の要請を上回る速さで減員が進行している。

都道府県の純減目標は平均で▲10.4%に及んでおり、その実績は2007年度までですでに▲4.4%に達している。先日道職員の削減幅が発表されたが、すでに実績で▲13%を超え、さらに▲35%を目標としているという。

市町村の場合も、全国の目標の平均が▲8.5%であり、過去3年の実績は▲6.4%に達し、国の削減幅をすでに大きく超えているのが現実である。道内の実態も大きな乖離はないだろうと思われる。

給与や定員だけではない。休暇や勤務時間にしても広い意味で給与に換算するこができるが、これも個々の休暇を取り上げて、1分1秒国と同じでなければならないというのもまったくの視野狭窄というしかないだろう。

このように考えると国の公務員制度は自治体のそれを構想するうえで「参考」となる内容を示してはいるけれど今日総務省のいう「国との均衡」論は実は何の根拠もなく削減のための削減、是正のための是正に過ぎないことが明らかである。

折りしも大不況下で地方財政は再び危機を迎えている。総務省官僚は、時代遅れの「均衡論」にしがみつき行革に頭を捻るより地方の財源確保に優秀な頭脳を発揮してもらいたい。

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