本部情報
2009年03月16日【本部情報】公務員連絡会が2009春闘中央行動実施
(2009春闘情報No.11)
書記長クラスが総務省・人事院の各局長と交渉し明確な見解を迫る
公務員連絡会は、2009春季生活闘争の回答指定日を10日後に控えた3月13日、春季要求の実現をめざした中央行動を実施した。
午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた3.13中央集会には、会場からあふれる全国の仲間1,000人が結集し、日本経済全体が総崩れとなる中で雇用危機が拡大し、公務員の雇用、労働条件にも大きな圧力がかかってきている現状に対する認識を統一するとともに、民間賃上げ動向を踏まえ、非常勤職員等を含めた公務部門労働者全体の賃金改善やワーク・ライフ・バランスの確保をめざし、23日の回答指定日に向け闘う決意を固めた。
この日行われた書記長クラスと総務省人事・恩給局、人事院の各局長との交渉では、公務員給与引下げを求める政治の圧力に毅然と対応し、民間賃金を反映した給与改善を行うことや臨時・非常勤職員の雇用確保と均等待遇を約束するよう求めたが、日本経済全体を取り巻く情勢の厳しさを反映して総務省、人事院の姿勢はきわめて堅く、要求を満たす明確な見解は示されなかった。
公務員連絡会では、この日、昼に開いた企画・幹事合同会議で総務大臣、人事院総裁回答の獲得目標を設定し、書記長クラスの交渉経過を踏まえつつ、23日に向けて詰めの交渉・折衝に入ることとしている。
午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた中央集会では、冒頭主催者を代表してあいさつに立った福田議長が「09闘争の最大の柱は、連合に結集し、すべての労働者の雇用を確保し、実質賃金の改善を勝ち取ることだ。かつてない厳しい情勢であるが、公務部門は連合方針を支持し、官民一体で全力で取り組む。公務員給与引下げ圧力が強まっており、公務員給与に対する社会的合意がないもとでは一方的な引下げもあり得ると認識して、不退転の決意で取り組まなければならない」と全力で闘うことを訴えた。
続いて激励あいさつに駆けつけた團野連合副事務局長は、「2009年闘争は、第1の山場を前に極めて重要な局面を迎えている。交渉状況は大変厳しい。経済危機のもとであるが、長期を見据え、日本経済を内需中心に転換させないといけない。そのためには物価上昇に見合う賃上げを実現しなければならない。連合は最後まで闘い続ける」と、国営部会の岩﨑労働条件委員長(林野労組書記長)は、構成組織それぞれの取組みを報告した上で、「国営部会は物価上昇見合いの1%以上と非常勤職員の時給30円以上の賃金改善を求めることとし、自主交渉・自主決着を基本に有額回答をめざした取組みを進めている。公務員連絡会と連携し、全国の地域・職場で闘っていきたい」と、それぞれ闘う決意を述べた。
このあと基調提起に立った吉澤事務局長は、「雇用危機について、公務・公共サービスに携わる当事者として取組みを進めることが重要だ。公務員給与については、昨年の人勧閣議決定の際、政府から人事院に対し俸給表水準の見直し要請が行われたが、これは使用者である政府による不当な給与引下げ要請だ。自民党PTでは、議員立法で夏の一時金を引き下げようという動きがある。労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を待たずに議員立法で引き下げることは労使関係の否定であり、断じて認められない。公務員制度改革については、目標に対して妥協せず、現状から後退もしないという方針で取り組む。内閣人事・行政管理局設置の法案は断じて認められず、国会に提出されれば廃案をめざす」と述べ、取組みへの結集を訴えた。
構成組織決意表明には、村上全開発留萌支部副委員長(国公総連)、徳永自治労書記次長、清水日教組書記次長が登壇し、それぞれの組織が取り組んでいる課題を報告するとともに全力で闘い抜く決意を述べた。
集会を終えた参加者は、人事院前に移動し、「公務員の賃金を改善しろ」「ワーク・ライフ・バランスを実現しろ」「非常勤職員の雇用を確保しろ」とシュプレヒコールをあげ、人事院交渉を支援し、交渉終了後その場で交渉報告を受け、この日の公務員連絡会の行動を終えた。
この日行われた総務省人事・恩給局長、人事院職員福祉、給与局長との交渉経過は次の通り。
<総務省人事・恩給局長交渉の経過>
公務員連絡会書記長クラス交渉委員と総務省人事・恩給局村木局長との交渉は、13日午前11時から総務省内で行われた。公務員連絡会側は、本日段階での総務省の見解を求め、局長は「去る2月19日に要求書を受け取り、この間、3月5日には、次長が皆様のご意見を伺い、意見交換を行ったところである。本日は、現段階における当局の考え方を主な事項に沿ってお答えしたい」として、次の通り回答した。
1 総人件費改革に伴う実行計画等について
(1) 総人件費改革に伴う国家公務員の配置転換については、3月6日に開催された国家公務員雇用調整本部において、取組みの最終年度となる平成22年度の実施計画を決定し、取組みに向けた作業を開始すると承知している。
総務省としても政府全体としての取組みが円滑に進むよう、今後とも積極的に協力していく所存であるが、配置転換を巡る情勢は非常に厳しいものと認識しており、職員団体においても、この厳しい状況認識を共有していただき、雇用の確保に向け、職員のために総力を挙げて対応していただきたい。
(2) また、国の出先機関改革については、地方分権改革推進本部を中心に出先機関の事務・権限の見直しや改革に伴う人員の移管等の仕組みの検討などを進めていくものと承知しているが、総務省としても、円滑な人員の移管等が実現できるような仕組みとなるよう、必要な協力を行ってまいりたい。
2 2009年度の賃金改善について
(1) 2009年度の給与改定に当たっても、総務省としては、これまで同様、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下で行われる人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、職員団体とも十分に意見交換を行いながら、適正な給与水準を確保してまいりたい。
(2) また、昨年冬の給与改定の取扱方針の閣議決定において、平成21年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表すること等について人事院に要請したところであるが、これは、人事院において、要請を踏まえ、主体的に検討が行われることを期待するものである。
人事院においても、昨年の勧告時の報告において、給与構造改革期間終了後の取組みとして、地域における民間給与の状況等を踏まえ、引き続き地域間の配分の在り方を検討することとしており、今後、人事院において、地域における民間給与等の実態についての調査等が行われるものと思われる。
3 非常勤職員の雇用と処遇の改善について
(1) 非常勤職員の給与に関しては、昨年の8月に人事院から指針が示されており、まずは、各府省において、指針に沿った適切な対応がなされていくものと考えるが、総務省としても、各府省においてこの指針に沿った適切な対応がなされるよう、意を尽くしてまいりたい。
(2) さらに、昨年の人事院からの報告でも「給与に関する指針の策定に加え、休暇及び健康診断の在り方について検討を行うとともに、任用形態・勤務形態の在り方についても問題意識を持って考えていきたい」とされているところである。
こうした状況も踏まえて、人事院などの関係機関と連携しつつ事務的な検討を始めたところであり、必要に応じて各府省の対応状況の把握や問題点の整理などを行いつつ、総務省としても鋭意検討してまいりたい。
いずれにしても、非常勤職員に関する問題については、職員団体のご意見も伺いながら、検討を進めてまいりたい。
4 労働時間等について
国家公務員の労働時間の短縮については、「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成4年人事管理運営協議会決定)を昨年9月に改正するなど、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進を中心に進めている。
特に、超過勤務の縮減については、超過勤務を命ずべき業務について、政府全体として業務量を減らす取組み、厳正な勤務時間管理や現場における時間効率の向上の取組みを行うことが重要であると思われる。
各府省において、労働時間短縮対策に基づいた様々な取組みが的確に行われるよう徹底してまいりたい。
5 人事評価について
各府省において実施規程等を定める際に職員団体と意見交換することは有意義なことであると考えている。制度の運用に当たっては、制度の周知徹底はもとより、評価者の評価能力を高めるための評価者講習等についても引き続き行うとともに、引き続き、職員団体とも十分意見交換し、円滑に制度を運用していきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。
6 新たな高齢者雇用対策について
(1) 今後、公的年金の受給開始年齢の段階的な引上げが行われることにより、60歳定年退職者についていわゆる無年金期間が発生することから、公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが必要であると考えている。
(2) こうした問題意識を持って、先般成立した国家公務員制度改革基本法に基づく「公務員制度改革に係る「工程表」について(平成21年2月3日国家公務員制度改革推進本部決定)」では、再任用の原則化に向けた取組みについては平成21年中に結論を得ること、また、定年延長の検討については平成23年中に一定の結論を得ることなど、幅広い観点から検討を行うこととされているところである。
(3) 公務員制度を所管する総務省としても、内閣官房と連携・協力してこれらに取り組んでまいりたい。
以上が現時点における回答である。
局長の回答に対し、公務員連絡会側は次の通り総務省の考えを質した。
(1) 現在分権改革推進本部において議論が進められている国の出先機関改革については、事務事業の見直しや権限移譲の議論が行われることなく、人員の移管によるスリム化だけが先行しており、非常に遺憾である。一方で、府省間配置転換が実施されており、現場は混乱している。昨年12月24日の交渉の際、鳩山大臣は「人を大事にしない政策はだめだ」と大変重い答弁をしている。政府として責任ある対応を強く求める。
(2) 昨年の給与改定の取扱方針の閣議決定において、「地域別官民給与の実態公表と俸給表水準の見直し検討」が政府から人事院に要請されている。地域手当の割合引上げや本府省手当の創設を人件費増と認識し、それを抑制するために俸給表水準を見直せという論理でありおかしい。地域手当等はあくまで配分見直しだ。政治的な要請により総人件費が抑制されるのは、中立第三者機関としての人事院への圧力である。また、自民党には国家公務員の給与等に関するPTが設置されており、議員立法で一時金を引き下げようとしている。総務省としてどう認識しているのか。また、使用者としての公務員給与に対する基本認識に変わりはないか。
(3) 非常勤職員の問題について、「意を尽くす」との回答だが、具体的にどのような検討・対応を、どのようなスケジュールで行うのか。国会のみならず、社会的関心が高まりつつある。対応の具体的内容について、早急に明らかにしてもらいたい。まずは、労使で考えるべきであり、公務員連絡会との協議の場を設けてもらいたい。
(4) 政府は、公務員制度改革の工程表に基づき国家公務員の「定年まで勤務できる環境の整備等に関する検討会議」を新設することにしているが、制度設計は国家公務員制度改革推進本部事務局が行うとしても、制度ができればそれを運用していくのは人事・恩給局であるはずだ。現在の再任用制度などを含め、総務省として、これらについてどのように関わっていくのか、その決意をうかがいたい。
これらに対し、村木局長は次の通り答えた。
(1) 今進めている府省間配置転換は責任をもって一所懸命対応する。地方分権における出先機関改革に対しては、改革による雇用への副作用をなくしていく手法を考える立場として、分権事務局とも協議をしてきた。総務省としても、事務事業の見直しが先と考えており、スリム化、移管ありきとして進めるものではなく、職員が不安にならないよう、分権事務局にお願いをしていきたい。
(2) 労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告を尊重する立場は変わらない。政府・政治からの意見があったからといって、独立機関である人事院の判断がゆがむとは考えていない。また、自民党のPTなどが、国会の立法活動の一環としていろいろなされることに対し、総務省としてものを申す立場にはないし、議論の内容は承知していない。当面、見守るというスタンスである。
(3) 非常勤職員の問題は幅広く、まずは制度官庁として課題の整理をした上で、対応の優先順位をつけていく必要がある。関係機関との協議を行ってきてはいるが、明確なスケジュールを出すことはまだできない。課題整理を行った段階で、公務員連絡会との協議には応じて行きたい。
(4) 国家公務員制度改革推進本部事務局からは、「公務員制度改革に係る「工程表」について」に基づき、定年まで勤務できる環境の整備、再任用制度の原則化に向けた取組み、定年延長の検討など、今後の高齢職員対策に関する諸課題について具体的な方策を検討するための会議の場を設置することにつき、関係府省等による申し合わせを予定しているものと聞いている。諸課題については、工程表に基づき国家公務員制度改革推進本部が中心となって検討を進めるものと考える。総務省としても、制度官庁側の構成員として、同本部と連携・協力して取り組んでまいりたい。
最後に、吉澤事務局長が「本日の回答は納得できるものではない。3月23日の最終回答に向け、更なる検討を重ねてもらいたい」と強く要請し、本日の交渉を終えた。
<人事院職員福祉局長との交渉経過>
公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、同日14時45分から、川村職員福祉局長と交渉を行った。
冒頭、川村局長が「3月23日に予定している最終回答に向けて、現在検討を行っているところであるが、現段階の検討状況等について、職員福祉局関係の主な2点をお答えする」として次の通り考え方を示した。
1 超過勤務の縮減について
超過勤務の縮減に関しては、政府全体として在庁時間を削減するとともに、超過勤務を命ずべき業務についても、業務量を減らす取組み、現場における時間効率向上の取組みなどを行う必要があると考えている。
現在、政府全体で行っている在庁時間縮減の取組みについては、各府省において在庁時間削減目標やそのための具体的取組み事項を設定して取組みを進めているところであり、本年度の取組み状況については、全体がとりまとまった段階で、職員団体へ説明することとしている。
「超過勤務の縮減に関する指針」を改定し、他律的業務に係る上限の目安時間を設定するなどしたことを踏まえ、一定期間経過後にフォローアップする必要があると考えているが、その方法等については今後検討して参りたい。
2 非常勤の休暇等について
非常職員の休暇については、従来から臨時・緊急の必要に応じて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間等の状況を踏まえて措置してきており、昨年の勧告時報告で述べたとおり、現在、休暇については、民間の状況等も踏まえ、検討を行っているところである。
また、非常勤の健康診断に関しても、一般定期健康診断の対象とする方向について検討を進めているところである。
以上の回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 超過勤務の縮減は長年の課題であり、具体的成果を挙げることが大事だ。国公実態調査によれば、2006年227時間に対し、2007年231時間と増えている。増えた事情を分析し、対策を講じるべきだ。各府省のみならず、国会の問題を含めて、人事院としての役割を果たしていただきたい。成果を挙げるためには、報告を求めるなど繰り返し圧力を掛けるべきだ。各府省の具体的な取組み状況をわれわれに報告してもらって、十分交渉・協議をさせていただきたい。
(2) 本府省の超勤は国公実態調査では2007年357時間であり、新たに設けることとなった上限目安時間720時間に何の意味があるのか。調査結果は手当を支払った分であり、相当の未払い分があるのではないか。また、国土交通省では、組合としては720時間の上限目安を適用するのは限定的と考えているが、当局はすべての職員に720時間を適用しようとしている。そうなると意味がないので、人事院として圧力をかけていただきたい。
(3) 非常勤職員の休暇については、民間の状況を踏まえるとの回答であるが、身分が違うだけで同じように仕事をしているので、常勤職員と均衡するように改善していただきたい。
(4) 一般定期健康診断の対象とすることについては評価したい。ぜひそういう方向で進めてもらいたい。
これらの質問に対し、局長は以下の通り答えた。
(1) 超勤縮減は喫緊の課題であり、本府省では本年度から在庁時間の縮減に取り組んでいる。具体的な方策を講じていくことが大事であり、一つひとつの努力を積み上げることが効果を生み出すと思う。在庁縮減の取組み状況については、本年度が終わってから、状況を把握し、皆さんにお知らせしたい。
(2) 在庁時間縮減の取組みの中で、超勤命令を受けずに残っている場合があることを捉えた上で、どうするかを考えなければならないと思っている。720時間はあくまで目安時間であり、各府省の長が具体的な縮減策に取り組む中で、前進していくことになる。人事院としては、そうした取組みの中核として各府省を引っ張って参りたい。
(3) 非常勤職員の休暇については、勤務条件として民間の状況を踏まえる必要があるが、自動的に民間と同じにするというわけではない。雇用形態ごとにどうなっているかを調べた上で、色々な観点、要素から誠実に検討していきたい。
(4) 一般定期健康診断は人事院規則で措置する事項であり、非常勤職員を対象としていく方向で検討している。
最後に、吉澤事務局長から「23日には、十分検討し、明確で前向きな回答をいただきたい」と申入れ、職員福祉局長交渉を締めくくった。
<人事院給与局長との交渉経過>
公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、15時15分から、吉田給与局長と交渉を行った。
冒頭、吉澤事務局長が回答を求めたのに対し、吉田局長は「3月23日に予定している最終回答に向けて現在検討を行っているところであるが、現段階の検討状況等についてお答えする」として、次の通り考え方を示した。
1 本年の民間春闘等の状況について
(1) バブル崩壊時よりも激しいとされている経済情勢の悪化が続いているなかで、雇用調整の動きも進んでおり、非正規労働者の失業が急速に拡大している。また、この経済状況の悪化は、正規労働者の賃金や雇用にまで波及する兆しをも見せており、まさに「戦後最大の経済危機」、「100年に1度の危機」という様相を示してきている。
(2) 今年の春闘において、労働側は8年ぶりのベア要求を行っているが、それに対する経営側の対応は厳しいものとなることが予測されている。このような情勢の中で、民間賃金等の状況はこれまで経験したことがないような極めて厳しいものとなるのではないかと危惧している。
(3) いずれにしても当面は、18日の大手の集中回答日以降、順次出される回答・妥結の状況を注視していきたい。
2 本年の勧告に向けての基本姿勢について
(1) 人事院としては、情勢適応の原則に基づき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較をして、較差を解消することを基本に給与勧告を行うという基本姿勢に変わりはない。
(2) 俸給表水準の見直しに関しては、人事院としては、まずは現在進めている給与構造改革の着実な実施が肝要であると認識している。一方、昨今の経済情勢の激変という状況もあり、適正な公務員給与の在り方については、使用者としての政府からの検討の要請を含め、広く各方面の意見を聴きながら、中立第三者機関としての人事院の使命に鑑み、情勢適応の原則に基づき検討を続けて参りたい。
なお、地域別官民給与の実態の公表については、国民に対する説明責任の観点から公表を行う方向で検討していきたいと考えている。
(3) また、幹部職員の特別給の傾斜配分に関する検討要請については、人事院としても、給与構造改革を打ち出した平成16年の勧告時報告において、指定職の期末特別手当への勤務実績の反映について言及し、検討を進めてきたところであり、今般の要請に対しても第三者機関、専門機関としてしっかりと検討し、判断して参りたい。
(4) 配分については、例年職員団体と議論をしつつ、判断・決定しており、本年の較差がある程度見えてきた段階でご意見を聴いて参りたい。
(5) 自宅に係る住居手当については、昨年の勧告時報告で言及したように、今年の勧告に向けて廃止の検討を進めることとしている。借家・借間に係る手当については、高額家賃を負担している職員の実情を踏まえた手当の在り方について引き続き検討していく。
(6) 特地勤務手当については、来年4月実施を目途に新たな基準に基づく制度を整備する方向で検討を進めていきたい。スケジュールの詳細は未定であるが、然るべき時期に案を提示し、職員団体を含む関係者のご意見を聴いて参りたい。
3 非常勤職員の処遇改善について
(1) 非常勤職員の給与については、まずは昨年8月に発出した指針の内容を定着させることが肝要であると考えている。
(2) 昨年の勧告時報告で言及したように、非常勤職員の問題は、政府全体として検討される必要があると考えており、人事院としてもその取組みに対して協力するとともに、任用形態、勤務形態の在り方についても問題意識を持って考えていきたい。
4 新たな人事評価の活用について
人事評価の活用については、別途の場でご意見を承ることとしたい。
5 新たな高齢雇用施策について
高齢期の雇用問題については、昨年の勧告時報告において、平成25年度から段階的に定年年齢を延長することを中心に検討を進める旨を言及したところであり、この問題に対処するに当たっては、60歳代前半のみならず60歳前も含めた給与水準及び給与体系の在り方について、人事施策の見直しと一体になった検討を行うことが必要となると考えている。
今夏に予定されている研究会の報告を踏まえ、職員団体を含め関係者と意見交換しながら、これらの課題について検討して参りたい。
回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 今年は代償機関としての人事院の意義が問われている。昨年の人勧取扱い閣議決定の際の政府からの要請に加えて、自民党PTの動きがある。毅然と対応していただきたい。また、水準、配分等については、できるだけ前広に協議できるよう誠意ある対応をお願いしたい。
(2) 政府からの幹部職員の一時金傾斜配分の勧告要請については、人事院としてもこれまでに検討してきたとのことであるが、一昨年値切られたまま推移している問題や幹部職員のあり方とパッケージで議論する必要もあることから、十分交渉・協議をさせていただきたい。
(3) 昨年の人勧取扱い閣議決定時の政府からの要請は、地域手当、本府省手当等が増えるので、その分人件費を抑制するため、俸給表水準を見直せという論理になっているが、人事院はどう受け止めているのか。われわれとしては、公表すること自体、慎重に扱うべきと考えている。
(4) 特地勤務手当は3年ごとの見直しというルールで進めてきたので、それにのっとり、人勧期を含めじっくりと議論をさせていただきたい。自宅に係る住居手当は廃止ありきではなく、国と地方の住宅政策の違いを含めて十分議論させていただきたい。また、超勤割増率を引き上げるなどの労基法改正にはどう対応するのか。
(5) 非常勤職員の給与決定指針の実施状況の把握とフォローアップはどのようにしていくのか。
(6) 非常勤職員の雇用や勤務形態等の問題について、人事・恩給局長は人事院と連携し検討を始めたと回答しているが、いつまで検討するつもりか。また、誰が責任を持って進めるのか。政府が本気になるよう、人事院は強い姿勢を示すべきではないか。
(7) 定年まで勤務できる環境整備等検討会議と人事院の研究会はどういう関係になるのか。
(8) 「60歳前も含めた給与水準及び給与体系の在り方」を検討するという回答だが、そこまでやるのは行き過ぎではないか。また、組合員は将来について不安に思っており、ライフプランが立てられるよう、高齢期の雇用を確保する観点で、きちんと対応していただきたい。
これに対し局長は次の通り答えた。
(1) 労働基本権制約の下、第三者機関の勧告に基づいて、勤務条件が改定されることが基本であり、それが実現するよう努力する。
(2) 幹部職員の一時金の傾斜配分は人事院としても検討し先送りにした経緯があるが、どの程度差を付けたらいいのかなど、民間企業ヒアリングも行いながら、調査、作業し、迅速に対応したい。
(3) 人件費が増えたから、地域別官民給与の実態を格差を公表し、俸給表水準を見直してほしいという要請とは受け止めていない。給与構造改革の途中の実態がどうなっているかはフォローしていく必要があるが、それについてあれこれ言われてもしょうがない。ただし、出発点の格差5%程度が全然変わっていないなど想定外の事態が起きたときは、原因を追究して、対処することの端緒となるリスクはある。
(4) 改正労基法の施行は来年4月であり、多岐の内容を含んでいるので、勤務時間、給与、これらのコンビネーションで対応する部分があることを踏まえて検討していく。公務でも超勤の問題がクローズアップされていることを含めて検討する。
(5) 予算との関わりで厳しいとの声もないわけではないが、非常勤職員給与決定指針が守られているかどうかについて、きちんとフォローしていく。各府省に対しては、いろいろな機会に遵守するよう申し上げている。
(6) 非常勤職員の給与については昨年指針を示したところであり、雇用や勤務のあり方についても考えないといけないと思うが、そこは人事院のみならず、政府全体の課題である。例えば、定員管理なども一緒にやらないと先へ進まない。人事院としてはやれる範囲のことは引き続き努力していきたい。
(7) 高齢雇用施策の研究会の昨年の中間報告では政府横断的に検討していく必要があることを指摘しており、過去にもそうした体制を設けたことがある。人事院としては、定年延長を基本としているのに対し、工程表では「民間の状況にならって「再雇用」という思想で作られており、そこは認識が異なっている。方向性が工程表と一致していない部分がありそうだと認識しているが、政府が人事院の意見を聞いたり、勧告要請をする仕組みがあるので、その議論を経て最終的にどうなるかだ。
(8) 60歳前はいずれにしても官民比較の中で検討していく課題であるが、民間では役職定年や昇給しないなどの仕組みがあり、公務員に対してもそういう指摘があるので、60歳前についても検討することは言っておく必要がある、しかし、最大の課題は60歳代をどうするかだと思っている。長期雇用の最後のところで、士気を持って仕事ができるようにするためにはどうしたらいいか、全体として整合性のある制度にしていきたいし、賃金については皆さんと十分話し合っていきたい。
最後に吉澤事務局長が「労働基本権制約の下で人事院勧告は唯一の勤務条件改善手段であるが、今日の回答には納得できず不満なところがあるので、さらに十分検討をしていただき、23日には総裁から踏み込んだ具体的な回答をお願いしたい」と強く要望し、給与局長交渉を締めくくった。
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