資料

2009年02月03日

春闘アンケート組合員のコメント(その1)

春闘アンケートに寄せられた組合員の声に対する道本部コメント

自治労北海道本部は、毎年春闘方針作成にあたって「国民春闘アンケート」を実施しています。
毎年、アンケート結果は各項目の集計・分析をおこない冊子にし、道本部の春闘討論集会で参加者に配布し、その後、各単組・総支部に配布してきました。
今年度は、この道本部ホームページ【総合研究室】のページに掲載しています。

そこで今年は、アンケートQ12の自由記載欄に寄せられた多くのコメントに対して、道本部のコメントをお返しすることを取り組んでみました。
出されたコメントに対して道本部で回答している部分もありますが、考え方を示しているコメントもあります。

多くの組合員の皆さまにご覧いただいて、職場での議論などの参考としていただき、さらに道本部にご意見などいただければと思います。

コメントは、まとめられた順番に数回に分けてアップしますのでよろしくお願いします。

すべてを掲載したのち、総合研究室のページにまとめて掲載する予定です。

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1.非正規問題に関するコメント
【特徴的な意見】
非正規問題に関するコメントとしては119件寄せられました。「非正規職員の均等待遇への改善や、積極的に組織化すべき」とのコメントは全体の70%を超え、現在の「派遣切り」等に象徴される社会情勢や自治体現場が非正規抜きには仕事が回らない現実を反映してのものと推測されます。逆に、「正規職員の運動に集中すべき!」「組合費を払っていない方々のために、どうして?」という否定派は25%近く存在しています。これは、自治体財政危機に伴う賃金合理化攻撃や国公準拠による相次ぐ権利剥奪によって、まずは自分たちの「賃金・労働条件を何とかしてくれ!」という悲痛な叫びの裏返しと考えられます。
 
コメントの中に、自分は非正規と断って書き込んだ方々の多くの意見は、「正規と同様の業務をしているのに、任用の違いだけで極端に低い待遇」「同じ人間として200万円に満たない賃金でギリギリの生活をしている」「雇用継続への不安」「均等待遇を求める」等々、切実な訴えが述べられています。
 
非正規の組織化や均等待遇への取り組み強化を訴える理由として、「非正規(弱者)を救う取り組みなくして、労働組合の存在価値は向上しない」「非正規の処遇改善を急がないと、正規へ波及する」などの労働組合の在り方や、予想される危機感からのものです。
 
また、「正規職員化」についても多くの方から意見をいただきました。現実問題として定数との関係で困難性は指摘されているが、正規の後補充を非正規で補完することへの不満や、職場によっては構成職員の79%が非正規という事実から「仕事の責任」という観点で、自治体現場の将来展望を危惧した意見として受け止められます。
 
一方で、非正規の組織化や取り組みに対する否定的意見の中には、「恒常的に雇用されている非正規への処遇改善とパート的な非正規を切り離して考えるべき」「非正規職員側の働き方の都合も考慮して、待遇は低いが時間的には融通は利くなどのやり方があってもよい」「正規の補填ではなく、非正規の業務を精査して、その業務に見合った処遇を」等々の提案型意見も見られました。

【道本部のコメント】
道本部は、同じ自治体現場に働く仲間としての臨時・非常勤職員等の組織化を方針化しています。
しかし、現場単組段階では、吹き荒れる合理化攻撃への対応にエネルギーを奪われ、なかなか踏み込めない現状があります。また、組織化しなくとも一定の賃金・労働条件を確保しており、非正規職員自体が組合員化に対しての必要性が見いだせない単組などが存在し、組織化は遅々として進まない現状にあります。
 
今回の春闘アンケートには、多くの方々が非正規職員の「均等待遇」や「組織化」を必要とコメントしています。これは、単組段階で遅々として進まない組織化への取り組みへの意見と受け止めるべきです。また、反対としている意見は正規職員(組合員)の賃金・労働条件を守り、向上させるたたかいや、執行部の頑張りが、なかなか組合員個々に見えてこない中で、その矛先が非正規組織化に反対という形で現れている部分も読み取れます。
 
非正規職員の組織化や均等待遇を求めるたたかいを立ち上げる際には、単組基本組織に結集する組合員の賃金・労働条件改善のたたかいも同時・平行的に行うことは言うまでもありません。
 
最後に、公務員制度改革による「労働協約権付与」という新しい労使関係が生まれる情勢の中にあって、職場の過半数以上を組織して職場の代表者たる労働組合を造り上げるためには、非正規職員の組織化は、働く者の賃金・労働条件を守り、向上させるためには避けては通れない取り組みであることを認識し、強力に運動展開を図ることが求められています。


2.民営化問題に関するコメント
【特徴的な意見】
業務の民営化問題に関して74件のコメントが寄せられました。半数の37件(50%)が断固反対と意思表示し、とりわけ現在、北海道において提案されている試験研究機関の独立行政法人化問題に関して第一次産業の衰退への不安、病院の民間委譲による地域医療崩壊への不安を理由として掲げています。この傾向は、当該の全道庁労連組合員はもちろん、施設周辺自治体組合員からの意見でも現れており、単に「合理化反対」という理由ではなく、産業育成や住民の生命の危機感からのものと推測されます。
 
積極的に推進すべきは、8件(10.8%)でアンケートQ8での分布(9.5%)と、ほぼ同じ傾向です。その主な理由としては、相次ぐ合理化の影響で正規・非正規を問わず人が減らされている中で、「民営化できる部門を解放し、公務直営部門の仕事量を平準化させる」という考え方や、「時代の流れなのだから、仕方ない」という現状追認思考、「反対!反対!だけでは組合が孤立し、国民の支持は得られない」というものです。

残りの29件(39.2%)は、民営化はある程度仕方ないが、「住民サービス低下への不安解消のために業務評価の導入」「民営化後に働く労働者の賃金・待遇面に行政が関わることの必要性」「民間開放が行政の責任放棄にならないようなシステム構築」など、条件付きでの容認派と受け止められます。

【道本部のコメント】
道本部は、安易な自治体業務の民間への開放は、住民サービスの低下や格差を招き、地方自治の崩壊につながるという観点から「反対」姿勢を堅持しています。しかし、現実には多くの単組で民間委託化が進み、地方財政危機と相まって、さらなる進行が想定されています。結果として、自治体固有の業務でありながら、低賃金や労働条件の悪い労働者の存在する行政職場となり、非委託職場への波及も危惧されます。

民間委託化の流れを止めることは難しい課題ですが、住民への行政サービスの低下や、そこに働く労働者の待遇についてのセーフティーネットの構築など、多くの課題を運動によって克服していかなければなりません。

3.民間労働者の組織化に関するコメント
【特徴的な意見】
民間労働者の待遇改善・組織化に関して14件のコメントが寄せられました。アンケートQ9では、「積極的に取り組むべき」31.8%、「ある程度は取り組むべき」40.7%と取り組み肯定派が70%を超えています。しかし、肯定的コメントを寄せた方は、6件(42.8%)で、その主な理由は「組織された労働組合の存在意義を問われる課題だ!」、「劣悪な労働環境を組織化して改善しなければ、公務職場にも及ぶ」という意見に集約されます。
 
否定的な意見は8件(57.2%)で、「組合員のための活動を主体に!」「組合費は払っている人のために!」「自治労傘下に組織化しなくても連帯で運動展開が図れる」というものです。

【道本部のコメント】
自治労が「地域公共サービス産別建設」方針を打ち立てて早17年が経過しました。組合員の意識の中には、その必要性が認識されつつありますが、寄せられたコメントだけを見ると、自治体現場に吹き荒れる合理化攻撃の影響で、「理念はわかるが、今の現状をなんとかしてほしい」という傾向が強く現れたものと言えます。

このことを踏まえた時に、単組段階で公共サービスに関わる関連労働者の組織化や、公契約条例制定の取り組みに象徴されるように、民間労働者の賃金・労働条件に一定の基準を設けるなどの取り組みを積極的に進めることの必要性は組合員の意識(アンケート結果)にも現れています。同時に、組合員の賃金・労働条件向上や維持のたたかいを積極的に取り組む姿勢が重要と言えます。

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