本部情報
2009年01月27日【本部情報】公務労協が公務員制度改革本部事務局長と交渉・協議
―工程表の給与制度見直し等で立花事務局長を厳しく追及―
公務労協は、1月26日、国家公務員制度改革推進本部事務局長交渉を実施した。公務員制度改革工程表については、27日の顧問会議、30日の閣議決定に向け、人事院の権能を内閣人事局に移す方向で政府部内の最終的な調整が進められつつある。
この間、公務労協も、19日の交渉ルールの再確認に基づき、実務レベルで交渉・協議を進めてきたが、納得できる回答が得られない状況のまま、最終的な局面を迎えていることから実施したもの。
交渉には、公務労協側から吉澤事務局長、各構成組織書記長が参加し、公務員事務局は立花事務局長、淵上審議官らが対応した。
冒頭、吉澤事務局長が「19日に局長と交渉のルール等について再確認し、審議官との間で工程表の内容について交渉を積み上げてきたが、「誠心誠意」との約束に反して、われわれの意見を受け入れる姿勢は一切示されていない。
きょうは、次の点について局長から誠意ある見解を示していただきたい」として、立花局長の見解を求めた。
(1) 幹部職員等の任用の弾力化については、なぜ必要なのか、明確に説明していただきたい。
(2) 定年延長等については、年金と雇用の接続の基本形態をどのように考えているのか明らかにすべきだ。われわれは、段階的定年延長にすべきと考えているがどうか。
(3) 公務員事務局の案では、定年延長について23年中の結論としつつ、高齢者給与の引下げを前提としているが、今の段階で明記する必要はない。
(4) 級別定数は勤務条件であり、重要な代償機能の一つだ。労働基本権の制約のもとで内閣人事局へ移管することは認められない。
(5) ペンディング(P)となっている労働基本権の取扱いについて明らかにしていただきたい。
これに対し、立花局長は、「現段階で考えているところを率直に申し上げたい」として、次の通り答えた。
(1) 幹部職員の任用の弾力化については、幹部職員は国の重要政策の企画立案という重責を担っており、国家の重要な課題に対処するため、より適材適所の人事管理を行うことが大きな課題と考えている。
検討中の弾力化は、同じ職制段階の職員について、人事評価結果、勤務実績、適性を評価して、勤務実績等が低位にある者について特例的に降任させるものである。例えば、国際条約の交渉では交渉に最適任の人が新たに出てきたとき、現在そのポストに就いている人を転任させる必要があるが、相応しい転任ポストがない場合には特例的に降任を考えるということであり、その際、あらかじめその理由を説明することが必要と考えており、人事院、法制局と中身を詰めているところだ。
(2) 一人ひとりの公務員の生涯設計を考えたとき、雇用と年金の接続は大事な課題と認識しており、基本法で「再任用の活用」「定年の段階的延長の検討」が定められている。
民間に対しては定年延長や再雇用の義務化等を求めていることを考えると平成25年度までに再任用の活用を拡大することが課題であり、定年延長の検討も必要だが定年延長は、民間の普及状況が12~13%と低いことから、国民の理解を得ながら段階的に実施することを検討する。
高齢層の人員が増えることや総人件費の増大の抑制を踏まえ、役職定年制、高齢職員の給与の引下げ、高齢職員の処遇のあり方等の全般的な検討を行うことが必要である。
そして、意欲と能力のある希望者については原則再任用することとし、定年延長については23年までに結論を得ることにしている。いつから実施するかは、民間の状況を見て検討したらどうかということにしている。政府内の検討体制を整備して必要な検討を行っていきたい。
(3) 国民の理解を得ながら段階的に延長すべきと考えており、高齢層の人員増加、総人件費の増大に対処するための検討が必要であり、「高齢者給与の引下げ」を検討課題としている。
(4) 級別定数の管理は組織管理と密接に関連する管理運営事項であるが、勤務条件的な要素もあると考えている。級別定数及び指定職の号俸格付けは内閣人事局が行うこととし、人事院の意見の申出や人事行政改善勧告の対象としてはどうかと考えている。
(5) 労働基本権については、甘利大臣の要請を踏まえ、労使関係制度検討委員会で前倒しで検討することにしており、今年中に結論を出し、来年、法制化するよう関係者といろいろ調整をしているところだ。
これに対し、公務労協側はさらに立花事務局長らの見解を追及した。
(1) 任用は欠員補充というのが国公法の原則である。現に上のポストに人がいるとき下位の職制段階にいる者の方が適切であることがどうして分かるのか。
本人に責がないのにどうして降任されるのか。公務員制度の根幹に関わることであり納得できない。一般職の中では限界があり、特別職にすればすっきりするのではないか。
(2) 定年延長については、民間企業に対しては雇用と年金の接続を義務づけているし、週休二日制の例もあることから、民間の状況を踏まえることで先送りするのではなく、公務が率先することを検討してもいいのではないか。
基本法では「抑制」と書いてあったにもかかわらず「高齢者給与の引下げ」と明記する一方、定年延長は先送りというのでは整合性がない。現行の再任用は破綻しており、平成24年まで待つことなく希望者全員の再任用を義務化すべきだ。
(3) 級別定数について、人事院は勤務条件といっており、われわれもそう考えている。いつから、管理運営事項になったのか。代償措置であるから、人事院が所掌しているのではないか。
事務局長は「意見の申出」と言われたが、これは人事院に閣議に対する請議権がなくなったことに対応するもので代償措置とは関係がない。
(4) 先に人事院の機能だけ内閣人事局に移して、労働基本権については空手形をもらうわけにはいかない。到底認められない。
追及に対し、立花事務局等は次の通り答えた。
(1) より適材適所の人事を行うためには成績主義の原則に合致させるとともに抜擢が重要である。その際、現にいる人にどう移ってもらうか。
どう納得してもらうか、公務員制度の原則や権利を保護しつつどうしていくか、人事院や法制局とも相談しながら適材適所の仕組みを検討しているのでご理解願いたい。
(2) 定年延長等については、基本法及び顧問会議の報告も踏まえつつ書かせてもらった。定年延長は十分検討する必要があり、民間の状況や社会経済情勢も踏まえないといけない。国だけ突っ走ることにはならないのではないか。
「高齢者給与の引下げ」は重要な検討課題と思っている。給与の引下げは勧告事項であり、書いたからと行って一方的にできるとは思っていない。
「原則として再任用」については、希望者全員を再任用できるよう、様々な課題について検討するという意味である。
(3) 級別定数については、皆さんの考えは承知しているがすり合わせは難しい部分と考えている。今までは、組織定員管理、級別定数管理、総人件費の管理がバラバラであったが、基本法の趣旨を踏まえ、内閣が国民に対して説明責任を果たすため一体的に扱うことにするものである。
以上のように、実務協議においても、本日の交渉においても、公務員事務局側はわれわれの質問に明確に答えず、工程表を修正する姿勢も一切示さなかった。
このため、吉澤事務局長が「誠心誠意、交渉・協議を行うことを約束し、工程表の修正もありうるということだったが、説明責任も不十分であり、われわれの意見を一切反映しないというのでは納得し、工程表自体を認めるわけにはいかない。
本日の議論を踏まえ、大臣交渉では誠意ある回答をお願いしたい」と強く迫り、本日の交渉を打ち切った。
以上
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