8月29日、札幌市・大通西11丁目で「戦争をさせない北海道集会」が開かれ、約3500人もの市民らが集まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小樽商科大学・結城洋一郎名誉教授

はじめに、呼びかけ人を代表して小樽商科大学・結城洋一郎名誉教授は「安倍政権は国民の声を無視した、暴走と瞑想を続け、安倍首相や関係官僚の頭の中は、もはやメルトダウンとも称すべき状態に陥っている」と批判した。また、「保守側の民間人が、『平和安全保障法制の早期実現を求める国民フォーラム』なる団体を結成した。その中で、櫻井よしこさんは、『安保法制に反対している人たちは、いかなる知的基盤に立っているのか』と批判した。しかし、まず櫻井さんらがやるべきことは、安倍首相や中谷大臣の秩序を正すことであり、、こうした内閣を支持する自分たちの知的基盤を正さなければならない」と反論したうえで、「今この時こそ、現政権に対してNOと叫ぶことこそが、人間の知的な基盤に支えられた行為というべきだ。国会議員たちが、いかなる法律を可決しようとも、その法律が憲法違反であるならば、その法律が無効であることに変わりはない。私たちはそれを忘れず、ともに歩み続けよう」と呼びかけた。

 

 

室蘭工業大学大学院・清末愛砂准教授

 

室蘭工業大学大学院・清末愛砂准教授は「私たちの抗議行動は、日本社会の民主主義のあり方を問う運動だ。それは、独裁的な政権に対し、民衆は黙って服従することはないという強い意志を示すということを意味している。私たちは、市民的不服従のさなかにいる」と述べた。また、「日本各地での抗議の動きは『日本版インティファーダー』だ。インティファーダーの本来の語源は『ゆすぶる、振り落す』という意味で、占領者・権力者を振り落すための抵抗運動のことをいう」と説明したうえで、「私たちは安倍独裁政権のみならず、それを支える構造を『ゆすぶり、切り崩し、最後はふるい落とす』ため、国会情勢は極めて厳しいが、自国・他国の民衆の生命と尊厳のため最後までたたかおう」と述べた。

 

 

 

 

北海道生活協同組合連合会・麻田信二会長理事

北海道生活協同組合連合会・麻田信二会長理事は「集団的自衛権をはじめ、安保法制など安倍首相は、閣議決定を私物化している。大統領制とは異なり、最大多数与党のリーダーが首相につく議会制民主主義においては、首相といえども政策・法案の最終決定権はない」と批判した。また、「安倍首相は、絶大な権限を持つ大統領気取りで、閣議決定の乱用がまかり通っている。自民党内には、閣議決定に異を唱える閣僚はまったくいなくなっている。私たちはこうした安倍首相の姿勢を絶対に許してはならない。自民党内や公明党の議員のみなさんに目を覚ましてもらうためにも、今日のような市民集会を開き、正しい方向に導かなければならない」と強調した。

 

 

 

 

 

上田文雄・前札幌市長

上田文雄・前札幌市長は、60年安保闘争時に自らが作成した旗を持ち、「憲法を施行・執行する当事者である内閣・政治家が憲法を尊重しなければならないのに、その当事者が憲法を勝手に変えるのは許されない」と痛烈に批判した。また「憲法は、たくさんの犠牲の上で、人類が勝ち取った最高の約束事だ。憲法破るということは、9条だけの問題ではなく、人類の約束事や文化に対する挑戦であり、人類の歴史を壊す暴挙だ」と批判した。さらに、「70年間守ってきた、大約束の憲法。その根源を失いかけていることに対し、プラカードや旗に自分のメッセージを書き抵抗しよう」と呼びかけた。

『一人でも』と書かれた旗を持ちながら訴える、上田さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高塚愛鳥さん

「戦争したくなくてふるえる」発起人の高塚愛鳥さんは、「今の日本の政治にとても絶望感を覚えている。どうして国民の声をもっと聞いてくれないのか。どうして平和を壊すようなことをするのかと心の底から思う。戦争は、政治家だけの責任ではない。私たち国民にも責任があるからこそ、私は無関心ではいけないと思い行動している。疲れてしまうこともあるが、いま声を上げなければいけない。もし安保法案が決まったとしても、私たちが安倍政権を引きずりおろせばいい。もし戦争になったら、戦場に行く当事者だから私はふるえている。『今まで守ってきた平和』を守っていこう」と述べた。

 

 

 

 

 

 

伊勢谷いづみさん

「安保関連法案に反対するママの会@北海道」の伊勢谷いづみさんは、「8月6日の広島への原爆投下の日のニュースで、『今日は何の日』という世論調査で『7割の人が不正解』だったのを見て驚いた。日本の教育はどうなっているのと思った。教育と平和は両輪。今の日本の教育では平和を願う心が育ちにくく、声を上げるなど思いもしないだろう。私も今までは政治は政治家にお任せで、声を上げる必要はないと思っていた」と述べたうえで、「しかし、今は違う。私たちは安倍さんの道具ではない。反対の声を届けなければならないと思う。子どもは親を選んで生まれてくる。私の子どもたちは、テレビを見ながら戦争にはいきたくないという。この人なら戦争反対の声を上げてくれるに違いないと、私のもとに生まれてきたと思っている。そんな子どもたちに『安心してください私たちは守りますよ』と言ってあげられるように頑張る。大きな声を上げよう」と力強く訴えた。

 

 

 

北星学園大学・岩本一郎教授

最後に、呼びかけ人の北星学園大学・岩本一郎教授は「安倍政権は立憲主義、民主主義の破壊者。それとともに、人権を破壊するその引き金となる危険な政権。私たちが平和を求めるのは人権のため。人権と平和は一体のものだ」と強調した。また「今、安倍首相は人権を口実に戦争をはじめる道を開こうとしている。戦争をはじめる口実に人権を使うということは、人権の価値を著しく損なうことになる。私たちは、人権の理念を根底から覆す、安倍政権と戦争法案に全力をあげて抵抗しなければならない。私たちには人権を守るために不断の努力をする責任がある。子どもたちを戦争の被害者、加害者にしてはならない。そのために、私たちに何ができるのか真剣に考えなければならない」と訴えた。

その後、「戦争法案絶対廃案」「安倍政権は今すぐ退陣」などのプラカードを持った参加者が、札幌市内中心部をデモパレードした。

 

 

 

 

《デモパレードのようす》