戦争をさせない北海道委員会は6月19日、札幌市・共済ホールで「戦争をさせない北海道委員会」シンポジウムを開き、市民ら約650人が参加した。
集会では「『安保法制』で日本は戦争をするのか」と題して、山口二郎・法政大学教授をコーディネーターに、雨宮処凛・作家兼活動家、半田滋・東京新聞編集委員、清末愛砂・室蘭工業大学大学院准教授によるパネルディスカッションが行われた。ディスカッションでは、安全保障関連法案が引き起こしうる『戦争の現実』、「安保」成立に急ぐ『安倍政権に対する不信感』、『われわれにできることは何か』、それぞれから語られた。
山口二郎さんは、「安倍政権は『安保法制』の成立を無理やりにでも急いでいる。それは私たちの力を脅威だと感じている証拠。来年には参院選がある。疑問を抱き続け、それを国政でぶつけよう」と主張した。
雨宮処凛さんは、「『平和のための戦争』というが、平和と戦争はひとつにはならない。暴力は『モラルインジャリー(良心の傷)』を生み、巻き込まれた人を苦しめるだけ。戦場を知っている者にとっては、安倍首相の発言は机上のもの。現場の感情と政府の法案とはかけ離れており、法案には血が通っていない」と述べ、「自由で民主的な日本を守るための学生による緊急アクション『シールズ』が結成され、デモや座り込みを行うなど、若者も立ちあがっている」と全国の活動を紹介した。
半田滋さんは安倍首相による『安保法制』に関する説明の問題点について、「安倍首相は『存立危機事態』をホルムズ海峡封鎖と結びつけて説明するが、国家備蓄を考えれば『即時』 危機事態に陥ることはない。また、『後方支援』の際、安全な場所を選ぶことは不可能。戦争で食糧を積んだトラックが狙われるのは当然のこと。太平洋戦争でも、民間船舶従事者の4人に1人が亡くなっている」と取り上げ、「このような無知な政権に安保法制を成立させ、憲法を骨抜きにさせるわけにはいかない。平和憲法を築いてきたこれまでの多くの犠牲者に顔向けできるよう、われわれはたたかい抜こう」と呼びかけた。
清末愛砂さんは、「安倍政権は、『安保法制』を語る場合、『○○事態』と並べて複雑にしているが、ひとつひとつの概念はいい加減で、『国』のことしか考えておらず、国民をないがしろにしている。『平和』という言葉に惑わされず、『安保法制』が何を意味しているのか、われわれに何がかえってくるのか、学生にも問いかけながらしっかり考えていきたい」と述べた。