戦争をさせない北海道委員会は5月23日、札幌市・ニューオータニイン札幌で「戦争をさせない北海道講演会」を開き、700人が参加し、会場の外まで人があふれるほどの熱気につつまれた。
主催者を代表し、「戦争をさせない北海道委員会」呼びかけ人、結城・小樽商科大学名誉教授は、「第2次安倍政権発足以来、憲法無視し続け、立憲主義を否定している。『平和安全法制整備法案』『国際平和支援法案』は今後米国をはじめとする同盟国が行う戦争への参加であるため、このような暴挙を絶対に見過ごすわけにはいかない」と訴えた。
講演では、「集団的自衛権で国民の命は守れるのか」と題して、柳澤協二・元内閣官房副長官補が講演した。
柳澤さんは「日米新ガイドラインは、日本の安全保障政策の基本である『専守防衛』を大きく転換させたもので、憲法との矛盾がある。また日米同盟の強化と言っているが、米軍の軍事戦略との一体化であり、それ以上のものである」述べた。
また「安倍首相は『自衛隊がアメリカの戦争に巻き込まれることは絶対ない』と言っているが、私は『絶対にある』と言いたい。なぜなら自衛隊が米軍艦船の同盟国の後方支援を行うことは、現場の判断にゆだねられる。過去をみても現場判断で戦争が始まっている。南シナ海で米中海軍が衝突したら、必ず日本は巻き込まれる。安倍首相の発言は『戦争を知らない人』の発言だ」と批判した。
さらに「小泉政権時代にイラク派遣が行われた際、自衛隊員はケガもせず『銃弾を一発も打たなかった』。しかし非戦闘地域でも、ロケット弾などが撃ち込まれ危険と隣り合わせだ。その証拠にイラクから帰還し、PTSDなどの障害を抱え自衛隊員が自殺している。集団的自衛権が容認されれば、確実に自殺者が増加する」と強調した。
最後に「安倍首相の考え方は、心理学的な分析が必要。祖父の岸信介の意思でもある『アメリカへ従属してはいけない』また『中国に負けてはいけない』という『対米対中コンプレックス』を受け継いでいる。こうしたことから『歪んだ大国意識』があり、集団的自衛権も国民に対し説明ができない。安倍首相にとって集団的自衛権容認は自己実現だ」と訴えた。
最後に、「戦争をさせない北海道委員会」呼びかけ人・岩本・北星大学教授が、「柳澤さんは『常識的に考えなければならない』と話している。みなさんは、すでに常識は共有しているが、首相官邸は別だ。人間は合理的に考えて行動するが、戦争と愛国心に合理的な損得勘定はなく、知性と理性を吹き飛ばしてしまう。戦争の特徴は国民の財産を破壊し、貧困に追い込んでしまい、勝ち負けはまったく関係ない。こうした戦争の反省や英知の結晶から憲法9条は成り立っていることを、あらためて確認しなければならない」と呼びかけた。
講演終了後、札幌市内中心部をデモパレードしながら、「集団的自衛権に反対!」「戦争法案の撤回!」のシュプレヒコールを行い市民にアピールした。
【デモパレードのようす】