1. 安倍政権は、2015年5月14日の臨時閣議で、武力攻撃事態法、周辺事態法、自衛隊法等改正10法案をまとめた「平和安全法制整備法案」および新たに制定する「国際平和支援法案」(以下、安全保障関連法案)の安全保障関連2法案を閣議決定した。これらは、2014年7月1日の集団的自衛権の行使容認に関わる閣議決定に基づき、集団的自衛権行使を含む自衛隊の任務を拡大する内容である。日本における集団的自衛権行使は、紛争の当事者に一方的に加担することで国際緊張を高め、他国の戦争に巻きこまれる恐れやテロの標的になる危険性、そして、国内への直接攻撃される可能性が格段に高まり、国民のいのちと暮らしを脅かすものである。日本が、国際社会の中において真の平和を実現するためには、武力による威嚇や攻撃ではなく、対話を基軸とした粘り強い外交努力によって国際紛争を解決する道を選択すべきである。
2. 本法案は、次の2点について見過ごすことのできない重大な問題点を有している。第一に、周辺事態法から名称変更された「重要影響事態安全確保法案」により、これまで米国の後方支援で日本周辺としていた制約を地球規模に拡大し、また、新法の自衛隊海外派兵の恒久法となる「国際平和支援法案」により他国軍の活動の随時支援が可能になるが、これら法案は、そもそも行動範囲を「日本国の施政の下にある領域」と定めている日米安保条約の枠組みすら逸脱するものであること。第二に、4月29日、米国連邦議会上下両院合同会議における安倍首相演説のなかで、国会ですら議論されていない安全保障関連法案について「法案の成立を、この夏までに、必ず成立させる」と述べ、そのことを前提に米軍への最大限の協力を約束したことである。
3. このような重大な問題点を有しているのみならず、そもそも本法案およびその閣議決定は、戦後一貫して堅持してきた専守防衛政策の破棄を意味しており、日本国憲法の平和主義を冒とくするものであることから、断じて容認できるものではない。集団的自衛権行使には慎重あるいは反対の世論が多数を占めており、民意にも反するものである。
4. 自治労北海道本部は、安全保障関連2法案の閣議決定という歴史的暴挙に対して全力をあげて抗議し、撤回を求めるとともに、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に断固として反対し、これに基づく関連法「改正」や立法化を許さず、「戦争をさせない全国署名<2015年版>」などの取り組みを一層強化していく。さらに、連合、平和運動フォーラム、「戦争をさせない1000人委員会」に結集し、引き続き国民・道民世論の喚起をはかる取り組みを進め、安全保障関連法案の成立阻止にむけて組織の総力をあげてたたかいぬく。
2015年5月15日
自治労北海道本部
執行委員長 山上 潔