6月27日に、「戦争をさせない北海道委員会」主催の、日本は戦争をするのか-憲法解釈変更による『集団的自衛権』行使容認の問題点-と題したシンポジュウムを、札幌市・かでる2・7ホールで開き、約600人が参加し満員となり、熱気があふれていた。

 

 

 

 

 

 

 

はじめに、委員会を代表して、結城洋一郎・小樽商科大学名誉教授は、「日本各地で地方版委員化が結成してきている。今後も活動していく。政府は7月1日に集団的自衛権行使容認を閣議決定しようとしている。平和国家の道を捨て戦争へ突き進む国へなろうとしている。憲法に対してそれぞれの考えを持つ人々が共通の目的を実現するために、連帯し協力することが平和を求めることである。これが憲法の精神である。解釈による憲法変更は無血クーデターだ。積極的平和主義なる交戦的暴力主義と集団的自衛権行使と称する殺人行為を阻止すべく力を合わせて行こう」とあいさつした。

 

 

 

司会の山口二郎・法政大学教授は、「政府与党が進めている憲法解釈変更の議論が、『憲法9条の縛りを取り払って海外で武力行使したい』という結論ありきだ」と批判した。

その後、柳沢協二・元内閣官房長補は、「日米同盟を基礎にした米国からの要請と、平和憲法の9条との間で生じる矛盾をどう調整するかが日本の政権にとっての長年の問題だった。イラクに自衛隊を派遣したときが限界だったと思う」と述べ、「その後インド洋での給油などを米国が要求してきて、いつまでもこんなことが続くのかと、自民党にも私たち官僚に『同盟疲れ』があった。当時の自民党幹部は戦争を知っていたから、解釈を変えようとはならなかった」と述べ、「政府が示した15事例は、本当に成り立ちうるのか。しっかり議論せずに憲法解釈を変えようとしている」と指摘した。

岩本一郎・北海学園大教授は、「法はもめごとが起きた時にルールに従って解決するためにある。だから、その一つである憲法もはっきり定められていなければならない。武力で平和は成り立たないという憲法の精神を示す9条は、明確でシンプルだ。だからこそ、多くの国民に訴える力を持ち、支持され続けてきた」と述べ、「解釈についても、個別的自衛権は認め、集団的自衛権は認めないという明確な線引きがあった。そこをあいまいにし、何でもできるようにするのは憲法の役割を否定することになる。憲法に無理解な政府に、中核である9条を好き勝手にさせてはならない」と呼びかけた。

作家・活動家の雨宮処凛さんは、「『戦争をさせない』というこのシンポジュウムのテーマ自体、恐ろしくて少し前には考えられなかった。ネットカフェ難民があふれていた2008年ごろから、若者に対する自衛隊への勧誘が盛んになった。貧しい人たちを大量に必要とするのが戦争で、究極の貧困ビジネスだ」と述べ、「若者は、集団的自衛権の議論にリアリティーを感じていない。『死ぬ』といえば説得力に欠ける。だが、『戦争が始まると服が汚れる、好きな音楽が聞けない』となると若者の反応がよい。これも戦争の事実。意外とそこが、議論の入り口になるのではないか」と訴えた。

最後に山口教授は、「民意を侮るなというメッセージを伝え続けることが必要。安倍政権はむかうところ敵なしみたいな感じだが脆い。公明党も日よった感じだ。支持率が高いのは権力基盤だ。支持率を下げることは人々の思い、評価だ。『おかしいんじゃないの』という意見を友達やいろんな仲間と議論し、『おかしい』という確信を広げて、一人一人の掘り起しが世論を作る」と述べた。また、「国政選挙はないが地方選挙がある。選挙とは我々の思い、メッセージを伝える貴重な機会だ。地方レベルでも憲法・平和を守る候補者を応援する積み重ねが、政治の雰囲気を変える。使える手段を全部使っていくことが、安倍政権のやりかたを追っていくことになる。今日の議論をもとに、閣議決定にひるまず、反対運動を続けていく第1歩としてほしい。ともに頑張ろう」と呼び掛けた