さようなら原発1000万人アクション北海道実行委員会は、3月8日、札幌市・共済ホールで「フクシマを忘れない!さようなら原発北海道集会」が開かれ、約900人が参加した。
はじめに、呼びかけ人を代表して小野有五・北海道大学名誉教授が「泊原発が事故を起こしたら北海道はすべてを失う。西風が常に吹いている。札幌をはじめ、多くの市町村が泊原発の風下にあるため放射能が拡散する。風船プロジェクトでは、200キロ離れた旭川市で風船が発見された。福島原発事故でも放射能は30キロ圏内では止まらなかったことを証明している。原発がなくても電力も経済も大丈夫。ソーラーと風力だけで原発より1.85倍の電力を確保できる。核のゴミの問題もある。原発は技術の問題ではなく人間の能力を超えている。泊原発再稼働を止めるため、大きな声をあげよう」と述べあいさつした。
福島からの発言として、福島から新ひだか町へ避難した福島原発告訴団の地脇聖孝さんが発言した。
地脇さんは、「原発事故後、福島県民が怒りを表現するために何ができるか、熟慮した末にたどり着いたのが、原子力ムラの刑事責任を追及することだった。2012年6月の第1次告訴には、福島県民1,324人と、日本全国に加え海外からも含めた13,262人が加わった。第1次告訴をした人の約半数に当たる700人が、検察に陳述書を提出した。私たちは検察当局に対し、何度も東京電力の強制捜査(家宅捜索)をするよう要求し、声を上げ続けてきた。しかし、検察は私たちの要求に答えることなく、関係者から何度か任意で事情を聞くだけで、強制捜査さえ行わなかった。しかも事件を福島地検から東京地検に移送し、移送先の東京地検で不起訴の決定を行うという暴挙に出た。陳述書を書いた人はこの十数倍に上り、その陰には、被害を訴えたくても声も上げられないでいる人がさらにその数百倍、数千倍いるという現実を知ってほしい。これでもなお原発再稼働、原発輸出などと言っている人たちは本当に狂っている。彼らを同じ人間と認めることさえできないほどの怒りが、事故から3年過ぎようとしている今なお、心から離れることはない」と述べた。
また、「福島県民健康管理調査検討委員会の最新の発表では、福島の子どもたちの甲状腺がん『確定』は33人、甲状腺がん『疑い』は41人で、合計74人になった。県民健康管理調査を主導してきた県立医大の山下俊一副学長は、これまで『安定ヨウ素剤は飲まなくてよい』と、県民に安全・安心を振りまいてきた。しかし、最近になり県立医大の職員らが自分たちだけ安定ヨウ素剤を飲んでいたことが、市民の情報公開請求によって明らかになった。こういう人たちが日本を支配し、原子力ムラを支配している。政府や原子力ムラがどんなに厳しい安全審査をして、1万回「安全だ」と繰り返そうと、原子力という技術をこのような人々が握り続けている限り、次の事故は避けられない」と述べた。
最後に、「泊原発の再稼働をなんとしても止めてほしい。地震が少ないから安全、経済が回らないから仕方ない、ではない。福島県民にヨウ素剤を飲まなくていいと言いながら、自分たちだけはさっさとヨウ素剤を飲むような連中が推進する「原子力」など、皆さんは信じられるか?世界中に誇れる豊かな自然を持ち、原発事故の被害をほとんど受けなかった北海道には、福島から避難してきた人たちにとって楽園であり続けてほしい。そんな北海道を守り抜くために、これからもとともにたたかう」と決意を述べた。
続いて、大間からの発言として、「あさこはうす」の小笠原厚子さんが「母は30年間電源開発をたたかってきた。脅迫・嫌がらせを受けてきたが、最後まで土地を守った。私は、自然やお金では買えないモノを守りたいだけ。日本・世界の子どもが、のびのびと遊べる環境をつくるには原発は必要ない。どんなことしても原発を動かしてはいけない。これ以上、私たちに不安を与えないでほしい。私たちの命や子どもの将来を何だと思っているのか。一人ひとりがひとつずつやれば大きな力になる。何が大事か私は証明するために頑張っている。それが自分の反原発の意思表示だ。原発を止めるため一緒に頑張ろう。大間・泊を稼働させてはいけない」と発言した。
福島県・伊達市から避難している中学生の大島美和さんは、「自然豊かなマチで父と母と兄、そして愛犬と暮らしていた。家も友達も大好きだった。今は住みやすい団地に住んでいるが、福島のことはずっと気にかかっている。大切な友人や叔父・叔母が福島にいる。考えてほしい。残った人も避難した人も心の傷は一緒だと話し、一日も早い福島第一原発事故の収束を願っている。このような事故が二度と起こらないことを望む。私たちの経験したことを忘れないでほしい」と訴えた。
その後、集会アピールを採択し、「原発のない北海道を求める『100万人』署名」の2月末現在の集約数が657,536筆だったと報告があり、集約した署名を来週高橋知事へ提出すること、原発再稼働のたたかいがヤマ場を迎える今年夏まで、署名を引き続き取り組むことが提起された。
集会後は、札幌市内をデモ行進し原発再稼働反対を訴えた。