8月26日10時、大阪市・大阪城ホールで自治労第86回定期大会がはじまった。この大会で、今後2年間の主な自治労の運動方針である「持続可能な社会にむけた政治勢力の再構築」「自律的労使関係の確立と労使交渉の強化」「公務職場の格差是正と労働法制の適用」「職場・組合員を起点とした組合運動の再構築」、当面の闘争方針などを決定し、28日に終了する予定。

定期大会は86回目になるが大阪での開催は初めて。出身地・大阪で徳永委員長は退任する予定になっている。

 

徳永委員長が本部を代表して、当面する5つの課題について述べあいさつした。

 第86回定期大会の成功にむけて全国から集まった代議員、傍聴のみなさんに感謝の言葉を述べ、さらに、この間のゲリラ豪雨で、被災された方々にお見舞の言葉を述べた。また、事前会議の途中で災害復旧のために急遽帰られた仲間のみなさんのご奮闘に期待をこめた。

 

 

一点目は、「7.8地公波及阻止」の取り組みについて「この間、産別統一闘争として、粘り強い取り組みいただいた全国の仲間のみなさんに対し、改めて敬意を表したい。多くの単組で産別統一闘争を取り組んだ成果があったのは、各単組の粘り強い交渉のたまものだ」と述べ、引き続き取り組みを呼びかけた。

また、「今回の地公波及阻止の統一闘争を取り組む中で、あらためて、自治労の組織の基盤である単組の組織力、現場力を強化し、単組力量を向上させていかねばならないことを痛感した。そのためには、要求書の作成・提出、粘り強い交渉、そして妥結・書面協定の取り組みを積み重ねていくことでしか成し得ない。加えて、県本部の指導性を発揮することで、私たちのたたかう力を強化していかなければならない。認識の共有化し、取り組みの強化を確認しあおう」と強調した。

また、「自民党・安倍政権の公務員バッシング、公共サービスの切り捨てにさらには労働者を抑圧する政策などの攻撃が激化することは明白。骨太方針2013に地方交付税に切り込むことが掲げられており、地方自治体の固有かつ共通の財源である地方交付税を、国の財政事情や政策目的で、都合よく変更したり、コントロールしようとしていることは、到底認められない」と訴え、「社会情勢、政治状況を見極めながら、自治労が一丸となって、目的意識的に運動を展開していていくことが必要だ」と述べ、「本部としても一体となって全力で取り組みを進める」と強調した。

2つ目は、7月に行われた参議院議員選挙について「参議院選挙は、憲法改正や集団的自衛権、TPP問題、原発再稼働、労働法制の規制緩和、社会保障制度改革など重要な課題が山積する重要な選挙だったにもかかわらず、衆参ともに自公が国会運営の主導権を握る結果となった。一方、歴史的な惨敗となり、連合・自治労は、かつて経験したことのない極めて厳しい選挙戦をだったが比例代表の組織内候補「あいはらくみこ」さんは23万5,636票を獲得し、議席を死守できた。しかし、高知選挙区の「武内則男」さんは、再選を果たすことができなかった」と述べ、民主党への逆風が吹き荒れるなか、自治労が比例選挙において上位当選を果たせたこと、そして3年前の参議院選挙を大きく上回る得票を獲得することができたことは、県本部、単組、組合員が一丸となって、あきらめることなく取り組んだ成果だ」と感謝の言葉を述べた。

3つ目は、公務職場の格差是正について述べた。この課題は、徳永委員長は、徳島大会以降、機関会議のたびに繰り返し訴えてきた、非正規職員の課題だ。

徳永委員長は、「すべての労働者の処遇改善や格差是正を実現するためには、非正規労働者の処遇改善、正規と非正規の均等待遇にむけた取り組みをもう一歩前進させて、具体的な問題解決を図っていく以外に方法はない。そのためには何をしなければならないのか明白で、非正規職員の組織化しかない」と指摘した。

自治労が行った、2012年の実態調査、非正規職員が組合加入している自治体と、していない自治体を比較では、労働組合に加入している自治体は、賃金はもちろん昇給制度や一時金、退職金、夏季休暇・育児休暇・生理休暇などの労働条件、すべてが高い割合で制度化されていることが明らかになっている。

それをふまえた上で「非正規職員の組織化は大変困難な取り組みになると認識しているが、先行事例などを活用しながら、全国で単組・県本部が協力し合いながら組織化の努力をお願いしたい」と訴え、2003年の『連合評価委員会報告』の、『人間を対立させようとするよこしまな意図を拒否し、人間が人間としての尊厳を実現できる社会を、働く者達の共同意思のもとに築く』という指摘を紹介した上で「改めてこれを確認し、実行に結び付け自治労が主体的に非正規職員の組織化の運動を展開していかなければならない。公共サービスを担う私たちが、まず公務職場において非正規職員の処遇改善の取り組みをさらに一歩前進させることが何より重要だ」と強調し、「地方連合会の一員として、地域でのけん引役となるべく、地域における非正規労働者の処遇改善に取り組み、労働者の格差是正、そして格差のない社会が実現できる」と呼びかけた。

 

4つ目は政治について述べた。

「巨大化した自民党は、大企業中心の成長戦略をさらに推し進め、社会保障制度の改悪や公共サービスの縮小、労働者保護法制の緩和、弱者切り捨ての政治に拍車をかけ、働く者や国民の利益を損ねる政策を一方的に進めているようとすることは明らかだ。世論を無視した、原発の海外への売り込みや、原発の再稼働を推し進めようとすることは、被災地で苦しむ人をないがしろにし、脱原発=再生エネルギーへの転換を逆流させることになる。あらためて、地域公共サービスの発展と強化、分権・自治の推進など、自治労のめざす「共生と連帯に基づく持続可能な社会」への転換にむけて、民主党などの協力政党を中心に、自民党などへの対抗軸となる政治勢力の早急な再構築を行わねばならない時にきている。その立場で、主体的に取り組みを強化することを全体で認識しあいたい。同時に、政策実現にむけた運動スタイルの転換も図っていかなければならい。より多くの国民に理解がされ、大きなうねりとなるような大衆闘争を組み立てていくことが必要だ。政治状況にあった運動スタイルを確立するために、大衆闘争の具体的なあり方について、議論を積み重ね、より豊富化していかなければならないと考えています。引き続き連合との連携を強化し、取り組みを進めてまいく」と述べた。

 

 

今後は、自民党・安倍内閣のもと、これまで以上に厳しいたたかいを余儀なくされる。公務員制度改革、人員確保闘争、自治・分権の推進、脱原発・再生可能エネルギー政策、男女平等参画社会の実現など、自治労がかかえるたくさんの課題について、本大会での積極的な議論で大会方針の豊富化を呼びかけた。

 

 

 

徳永委員長は最後に、「私の出身でもある大阪の地で初めて開かれた自治労大会を最後に退任する。2009年の熊本大会で、思いもよらず委員長に就任し、就任直後に、民主党が政権交代を勝ち取り、政権与党を支持する労働組合としての激動の幕開けだった。社会保険庁職員の分限免職問題、公務員制度改革・自律的労使関係制度の確立、消防職員の団結権問題、東日本大震災のボランティア活動を始めとする復旧・復興対策、都市交との組織統合、そして衆議院・参議院の選挙闘争、自治労共済と全労済との統合など、取り組むべき課題は本当にたくさんあった。皆さんのお支えもあり、何とか課題の解決や取り組みの前進をはかることができた。自治労委員長として、また政権与党を支える連合の会長代行として、非常に厳しい選択を迫られる場面も多くあった。また、この巨大な自治労丸の舵取りは想像を絶する力技がいることもありました。しかし、それは充実感や達成感との裏腹に私自身の活力の源でもあった。改めて、委員長としてこの4年間、私をはじめ執行部を支えてくださった県本部・単組・組合員そして関係団体のみなさんに、心から感謝申し上げます。立場は変わっても、自治労の『ひとりの力』として挑戦し続け、頑張る」と決意を述べ、全国の仲間「ひとりひとりに」に自治労へのご結集を呼びかけあいさつした。

 

 

来賓には、連合・古賀会長、民主党・海江田代表、社民党・又市党首代行、連合大阪・川口会長、大阪府市長会・森山摂津市長、大阪府町村会・松本千早赤阪村長、全労済・田原理事長、7月の参議院議員選挙で再選を果たした自治労協力国会議員団のあいはらくみこ参議院議員らが駆けつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【連合・古賀会長】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【民主党・海江田代表】