6月11日、札幌市・北海道自治労会館で「教科書と歴史認識を考える北海道集会」を開き、市民ら約300人が参加した。

藤盛・北海道平和運動フォーラム代表は、村上誠一郎・自民党議員ついて「6月10日の『日弁連主催の安保法制に反対する集会』で学者の違憲判断を無視する自民党執行部の傲慢さを批判し、6月12日の『戦争立法』を了承した自民党総務会で途中退席をして集団的自衛権行使容認に疑問を呈した」と取り上げたうえで、「自民のなかでも私たちと同じ思いの人がいる。マスコミのトーンも今回の件で上がってきた。街頭署名では世論も変わってきていると実感している。自らつくった憲法審査会顧問の判断を無下にするような安倍政権に対して、たたかえるだけの力が私たちにはある」と強く訴えた。

 

 

 

 

集会では、「『つくる会』系教科書に歴史修正主義の本性を見る~教育を改憲の道具に変える安倍政権に痛撃を!~」と題して、高嶋伸欣・琉球大学名誉教授が講演した。

高嶋教授は「現場教員の実践や意見をとりいれながら生徒とともに教科書をつくりあげてきたが、7回目の教科書検定で、戦争責任と情報社会のページを文科省から書き直せといわれた。それに対し教科書裁判を起こした」と現筑波大付属高校での教員時代を振り返った。

また、沖縄・竹富町が育鵬社の教科書採択に反発し、教科書の無償制に打撃を与えて竹富町の単独採択を勝ち取ったことについて述べながら、再任が続く下村文部科学大臣が制度そのものを把握していない実態や、文科省官僚との確執にも言及したうえで「われわれはくじけない。情報交換をしながらタイミングをみはからい、たたおう」と呼びかけた。

 最後に、安倍首相が育鵬社を支持している事実や、育鵬社をはじめとする現在の教科書の問題を取り上げ、「第一に『中学校歴史の総まとめにあたる文章』では日本のことを『世界の大国』というおもいあがりの表現をして、『大東亜時代を正当化させるもの』となっている。第二に『領土問題の記述』では、教科書会社が過剰反応を示したおかげで、米軍保有の戦略ミサイル原子力潜水艦が潜水したままで津軽海峡を通航できるよう中央に公海部分を残すという日本政府の『対米従属と津軽海峡の主権放棄が露見したこと』。第三に『請願権』に関して、年齢・国籍問わず『何人も』かかる請願をしたために、『いかなる差別待遇も受けないということを明確に記述している教科書があまりにも少ない』。選挙権を18歳に引き下げようとしているが、この問題だらけの教科書を使って、従属的な若者を育ててきている」と危機感を示した。