連合北海道は6月10日、札幌市・かでる2.7で「2015『平和を考える』集い」を開き、市民ら約600人以上が参加した。集会では「教育と平和」と題して、ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが講演した。

出村・連合北海道事務局長は「安倍政権になって平和と民主主義が脅かされている。2013年に特定秘密保護法が強行制定され、反対のたたかいや署名の取り組みを行ってきた。憲法違反という解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能とする閣議決定をし、それに基づく安保法制を国会に提案をした。憲法審査会で自民党が参考人として呼んだ早稲田大学の長谷部先生もこの法案は違憲であると明言した。安倍政権は合憲だと強弁している。連合も引きつづき法案を成立させない取り組みを強めていく」と決意を述べた。

また、「2013年から憲法講座、平和を考える集いの学習会を多く開いてきた。組合の役員たちは戦後生まれで、平和に対する実感や戦後積み上げてきた、民主主義の理解についても不十分であり実感がない。歴史に学び、体験に学び学習を積み上げていこう」と呼びかけた。

 

 

大江さんは、80年の人生を振り返りながら、「幼少期のころは、自分の死や日本が滅びる可能性を考えた。そして、敗戦後には、私を含め学生自らが民主主義を洋服などで体現するようになった」と話し、自ら経験した日本の軍国主義から民主主義への移り変わりを語った。さらに、交流の深かった小説家・劇作家の「井上ひさし」さんと、フランスで10年前に講演会活動を行っていたことにふれ、「同じ世代で同じ時代を生き、共通の問題意識を持っていたと」振り返った。

最後に「80歳になり、今まで読んだ本をすべて読み直したなかで『本が自分を決定づける』ことに気づき、それらの本のなかでもミラン・クンデラの『本質的なモラル』という思想に感銘をうけた」と述べたうえで、「日本人の本質的なモラルとは、子どもたちが住むことのできない場所をつくらないように止めることだ。原子力発電所を廃止し、『世界規模で本質的なモラル』をとりもどそう」と呼びかけた。