第86回全道メーデー大会が5月1日、札幌市・大通西8丁目広場で開かれ、約200団体・約5000人が参加して労働条件の改善や格差の是正、を訴えた。

今年の労働者の祭典メーデー大会は、安倍政権の暴走による「労働法制の改悪」や「戦争のできる国づくり」など、深刻かつ大きな課題が山積しているなかでの開催となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工藤・連合北海道会長は、「2015春闘は、すべての組合が月例賃金の引き上げと、非正規の『底上げ・底支え』にこだわった運動を展開している。4月末現在の道内の妥結状況は、妥結した141組合のうち、昨年同期比を額で467円と0.17%上回る回答となっている。非正規職員についても、昨年を上回る時間平均15円以上の妥結結果と健闘している。現在も5割の組合が交渉を継続している。引き続き、『底上げ・底支えと格差是正』に全力をあげる」と述べた。また、政府が進める労働者保護ルールの改悪について「断じて許すことはできない。いま政府が行うべきことは、実効ある長時間労働抑制策を導入・整備することであり、すべての労働者が安心して働くことができる土台を整え、雇用の復元と国民生活の底上げをはかることだ」としたうえで、「全道キャラバンで、世論喚起と社会的うねりを巻き起こす運動を展開する」と決意を述べた。

さらに、政治課題について、第18回統一自治体選挙に対する支援に感謝を述べ、「札幌市長選は当選を果たすものの、知事選は相手候補に水をあけられることとなり、道議選・市町村議選でも一部で残念な結果となった」と述べた。また、「民主党には、依然として強い向かい風が吹いている。改めて民主党の議員一人ひとりが党を再編する覚悟や緊張感を持って地域で活動してほしい」と強調した。さらに、「投票率の低下は民主主義の危機だ。誰一人として政治と無関係でいることはできない。引き続き、政治意識向上にむけた取り組みを実践していこう」と呼びかけた。

最後に、「今メーデーは戦後70年の節目の年。日米両政府は日米ガイドラインについて18年ぶりに改定に合意した。国会での議論も国民の理解もなく、安全保障関連法案すら国会に提出されていない段階で、米国との取り決めを先行されることは、断じて容認できず強く抗議する」と強調した。さらに、「私たちは、戦争を二度と繰り返してはならないという、平和への誓いを次世代に継承していく責務がある。今後も国民の暮らしを守り平和な社会をつくるため、仲間とともに運動をすすめる」と強調した。

 

上田文雄・札幌市長は「12年間、市民も市役所も何をすべきか考え・悩み、ともに行動することを実践してきた。過日行われた札幌市長選挙では、ともに仕事をしてきた秋元克広さんを圧倒的な力で押し上げていただいたことに心から感謝する」と述べた。さらに「札幌市政を取り巻く状況は、ますます難しいが、市民一人ひとりが、なにが必要なのかを自覚し、行動を起こす勇気を持たなければならない。秋元新市長のもとで、住みやすい、安心・安全で快適なまちにすることを期待する」と強調した。

最後に、「日本国憲法前文・第9条が完全に空洞化されるという危険な社会状況にある。『〇〇事態法』という言葉で、私たちはごまかされている。読めば読むほど、何を言っているか分からない法律がつくられようとしている。私たち市民が理解できないということは、政府は何でもできるということ。そんな政治を許してはいけない。いまこそ労働者が団結し、たたかおう」と呼びかけた。

 

 

秋元克広・新札幌市長は、札幌市長選での支援に感謝を述べたうえで、「これからの札幌市政は多くの課題があり、責任の重さを感じている。必ずみなさんの期待に応えたい」と決意を述べた。また、「選挙戦のなかで、上田市政が実践してきた『人を大事に、大切にする政治』を継承し、発展することを訴えてきた。経済の活性化・雇用拡大・少子高齢化の課題、これからの若い人たちのために、この社会を未来につなげていくため、しっかり取り組む」としたうえで、「みなさんの力を借りながら、一緒に札幌・北海道をよりよい地域にしていくことを誓う」と協力を呼びかけた。

 

 

 

 

 

ささき隆博衆議(民主党北海道代表)は、統一自治体選挙の協力に感謝を述べたうえで、「秋元・新札幌市長を誕生させたが、知事選・道議選では幹部をはじめ仲間が落選した。期待に応えることができなかったが、地域で奮闘していただいたみなさんの思いを受け止めて、自らの旗をしっかりと掲げ、再生のために全力をつくす」と決意を述べた。

安倍政権の成長戦略について「労働法制はもとより、市町村の平均所得で一番高いのは東京港区で1267万円。一番低いところは沖縄200万円を下回り、6.5倍もの差が生じてきていると報道された。これは、小泉時代よりも格差が拡大していることを証明している」と強調したうえで、「労働者派遣法、残業ゼロ、解雇金銭解決などを後半国会でどんどんと進めようとしている。労働法制をすすめるにあたり、『自由な労働を求める人たちのニーズに応えなければならない』としているが、自ら自由な労働を選べるような人たちのために法律は必要ない。そこで被害を受ける人たちのために、政治は取り組まなければならない。アベノミクスは、この国の岩盤が崩れるという危機感をもって取り組む」と述べた。

TPP問題について、「TPPで失われる損失は3.5兆円と言われている。日本全体で受ける利益は2.4兆円。3.5兆円の農業をはじめとする地域がつぶれても、2.4兆円の産業集積地帯だけがこの国に生き残る構造になってしまう」と批判した。

最後に、安全保障の問題について「安倍総理はアメリカで、閣議決定もしていない国会にも提出していない法律について、夏までに成立させるというとんでもない発言を繰り返している。仲間と力をあわせて国会の場で頑張る。後半国会は、この国の形が変わるかもしれない大変な法律がたくさんある。連合のみなさんの後方支援もぜひお願いしたい」と呼びかけた。

 

大会では、スローガンやメーデー宣言をはじめ、「労働者の保護ルール改悪阻止!年金積立は誰のもの?全国統一行動開始宣言」特別決議案が採択された。

 

大会後は、札幌市内をパレードした。

【パレードのようす】※写真でご覧ください。