翁長雄志沖縄県知事は3月23日、沖縄防衛局がすすめている辺野古新基地建設にかかわる海上作業について、3月30日までに停止するよう指示しました。また、これに従わない場合は、県漁業調整規則にもとづく「岩礁破砕許可」を取り消す可能性も示しました。

しかし、菅義偉官房長官は「現時点で作業を中止する理由は見当たらない。粛々とすすめる」として、沖縄防衛局も「全面停止指示」を無視して埋め立てに向けた海底ボーリング調査を続けています。

こうした「問答無用」の安倍政権の姿勢は断じて容認することはできません。

これに対し、平和フォーラムは「事務局長談話」を発表しました。

※以下、中央フォーラム「事務局長談話」

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2015年3月24日

 翁長沖縄県知事の「辺野古移設関連作業停止指示」に関する事務局長談話

 フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

事務局長 藤本泰成

  沖縄県の翁長雄志知事は、3月23日、米海兵隊普天間基地の移設先とされる辺野古沖新基地建設に関して、移設に関連する作業の1週間以内の停止を沖縄防衛局に指示したことを発表しました。

沖縄県は、立ち入り禁止区域を示す浮き輪を固定するために、防衛局が投下した最大45トンのコンクリートブロックが、埋め立て予定区域外の珊瑚礁を損傷しているのではないかとし、海底調査を実施してきました。しかし、新基地建設反対の運動を阻止するために建設予定地を大きく囲むように設定された立ち入り禁止区域内での調査を米軍が拒否したため、翁長知事は、岩礁破砕許可条件にある「公益上の事由」に基づいて工事の中止を命じたものです。この間、翁長知事は、仲井眞弘多前知事の埋め立て承認手続きの可否を問う第三者委員会の結果が出るまで工事を中止するよう防衛局に求めていましたが、3月12日には半年間中断していたボーリング調査を再開していました。翁長知事の今回の勇気ある決断は、法律に基づいた手続きであり、県民世論を無視した新基地建設工事の強行に反対してきた平和フォーラムは、心から歓迎するものです。

米国務省のハーフ副報道官は、「移設は計画通り進んでいくとわれわれは理解している」と語り、移設は住民の負担軽減と米軍の能力向上につながるという傲慢な見解を示しました。同様に、菅義偉官房長官は「仲井眞前知事に承認を受けた、粛々と工事は進める」として、翁長知事の指示を無視するとの発言を行っています。

2013年12月27日、仲井真弘多前沖縄県知事は、県外移設との主張を突然翻し、唐突に辺野古沖の埋め立て申請を許可し、新基地建設工事に道を開きました。「選挙で『県外移設』を掲げた政治家としての公約違反であり、県議会が重ねて全会一致で求めてきた『県内移設反対、普天間基地は国外・県外移設』とする決議を決定的に踏みにじるものである」とした、2014年1月10日の沖縄県議会の抗議決議が、菅官房長官が主張する「仲井眞前知事の承認」には、県民の支持も含めて民主的手続きを全く欠いたものであることを明白にしています。加えて、2014年11月の県知事選挙での翁長雄志候補の圧倒的勝利が、「普天間基地の国外・県外移設」が県民の意志であることを揺るぎないものにしています。日本政府および米国政府は、直ちに翁長知事の指示に従い、作業を停止するべきです。

辺野古沖やキャンプ・シュワブゲート前では、工事の強行に反対する県民の法に則った整然とした抗議行動が行われていますが、海上保安庁は、反対派女性の一人に馬乗りになって制圧するなど暴力的排除を行い、けが人の出る事態となっています。沖縄県民、そして沖縄県知事の話に耳を貸さない強硬な態度は、民主主義国家と呼べるものではありません。日本政府は、直ちに沖縄県民および沖縄県知事との対話を開始し、沖縄県民の「国外・県外移設」との要求に沿った政策の転換を図るべきです。

平和フォーラムは、政府の傲慢な姿勢を許さず、翁長知事の判断を尊重し、沖縄県民の思いに連帯して、普天間基地即時返還・辺野古新基地建設反対のとりくみに全力を尽くすことを決意します。