連合北海道は、2月25日にホテルポールスター札幌で、第4回憲法講座を開き、75人が参加した。
はじめに、主催者あいさつとして岡島連合北海道副事務局長が「首相は、参院予算委で集団的自衛権について米国以外でも行使できる可能性に言及し、衆院予算委における『最高責任者は私』など、現行憲法の解釈を意のままに広げようとする独裁的な発言。首相の発言は、真に国民が願っていることなのか、国際的に信任されるものなのか大いに疑問」と現政権に対する考えを述べた。
その後、「人権と個人の尊重」をテーマに岩本一郎北星学園大学教授が講演した。岩本教授は冒頭、「安倍政権がやろうとしている日本国憲法の破壊ともいうべきことをすべて通してしまえば、30年後の日本は今とは全く違った国の形になっている。私たちが逐一批判してストップさせるように、市民・国民が力を挙げてやらなければいけない」と訴えた。
そして、「日本国憲法は、18世紀におけるアメリカ独立宣言やフランス人権宣言の流れをくむ人間は生来権利を有しているという『自然権思想』に基づいている」とした上で、「19世紀に入り大日本帝国憲法の参考ともなったプロイセン憲法など、権利は君主からの恩恵であり法律の中で認められる・法律で憲法を制限できるという『法実証』に基づく憲法が主流を占め、自然権を否定し国家は何をしてもいいとの考えの下に、日本では治安維持法によって人権をゼロにまでおとしめたり、ナチスドイツのユダヤ人虐殺などにもつながっていった」と世界史の中での憲法や人権の変遷について説明。
さらに、「第二次世界大戦以降はこれらの過ちを痛切に反省し、多くの国で自然権へ回帰した憲法が定めなおされ、日本国憲法も制定された。しかし安倍首相は、自民党憲法草案における天賦人権の否定にも見て取れるように19世紀への逆回帰をはかろうとしており、世界史の流れにおける日本国憲法を破壊しつくそうとしている」と警鐘を鳴らした。
また、2000年以降の最高裁判決の動向について、権利を擁護し違憲判断をする傾向が増えてきていることに触れたうえで、「自民党・安倍政権の改憲のやり口は非常に巧妙。改憲案における政教分離の後退や特定秘密保護法などは、非常に古いかつ人権擁護に消極的な最高裁判決の悪い部分を持ち出して様々な法案や憲法の改正を行おうとしている」とし、「私たちは『人権は大切だ』というだけではなく、これまでの60年間、最高裁判所や憲法の学説がどういうものだったのか、どう人権の中身を豊かにしてきたのかを学び、しっかりと反論できるよう人権について勉強しなければならない」と訴えた。