2011年11月の大阪知事・大阪市長ダブル選挙で「大阪維新の会」が勝利して以降、大阪は「劇場型政治」の渦中にある。この「劇場型政治」から脱却し、多様な「民意」に寄る市民の自治を取り戻すことが大阪の課題になっている。
自治労第86回定期大会初日8月26日の終了後、大阪城公園・青屋門で、大阪における橋下・維新の会によるこの間の労働組合攻撃と大阪府・市における民間化・委託化攻撃の現状と、その不当性を自治労全体で共有化し、今後の行政サービスのあるべき姿について訴える、自治の未来を「劇場型政治」から取り戻す大阪集会が自治労大阪府本部が主催し、自治労・連合大阪が後援して開かれた。
主催者を代表して、自治労大阪府本部・石子委員長は「現在の大阪は本当に地方自治の危機である。橋下大阪市長率いる大阪維新の会との対決として大阪府本部としても運動を展開している。慰安婦発言など橋下の政治家としての見識と品格の欠如が世界的に明らかとなっている現在でも、大阪の地においては残念ながらなお一定の勢いを維持している。維新の会による自治と公共サービス解体の攻撃、市場原理主義的ともいえる極端な民営化路線による公共サービスの破壊、不当労働行為をものともしない労働組合に対する攻撃、公務労働者に対する賃金、労働条件の切り下げ・断行、そして地方分権改革の基本理念を踏みにじる大阪都構想と道州制の推進など常軌を逸したものと言わざるを得ない。大阪府本部としてこうした橋下維新の会の攻撃を許さない立場から、今集会を開いた。自治労の仲間の皆さんと『自治と公共サービス、公務労働を破壊する政治勢力と妥協することはできない』という思いを共有し、全国の仲間と連帯し、絶対に負けられないたたかいとして最後の最後までたたかいぬく」と今集会開催の意義とたたかう決意を述べあいさつした。
来賓の連合大阪・多賀事務局長は「 橋下維新の会は社会的な閉塞感の中で安易な敵探しと敵対構造を巧みにつくり出し、自らかそれを正していく役回りを演じ支持を得るという典型的なポピュリズム、劇場型政治の手法を用いている。市民と公務員、市民と労働組合、市民と公務員労働組合との分断が画策されている。そしてそれを容認せざるを得ない、容認されかねない背景として、不安定雇用の非正規労働者が働く人の4割にならんとしていることがある。そして正規労働者にしても、長時間労働、メンタルヘルスなど職場の息苦しさが蔓延している。こんな社会が背景にあり、公務員、組織労働者があたかも不当に恵まれた労働環境にあるという感情を巧みにあおることにより、先に述べた分断が容認されようとしている。我々はそのことを認識しなければならない。加えて団体交渉への条件付きや便宜供与の禁止、政治活動への過剰な制限は民間を含めた労働組合全般への波及や全国への波及が懸念される。連合大阪としても健全な労使関係は安定的な社会を築く上での社会的インフラであり、行政の場における労使関係においても同様である。それがないがしろにされれば結果的に市民の安全・安心かつ良質なサービスの低下につながることを粘り強く訴えていかなければならないと考えている。連合大阪としてもともに頑張る」と訴えた。
自治労本部徳永委員長は「 大阪で起こっている橋下による公務員バッシング、労働組合潰しに対して強い怒りをもっている。今日、お集まりの自治労組合員は大阪で起こっているこの事態を全国に波及をさせてはいけない。そしてわれわれの手で橋下の劇場型政治に終止符を打つんだ!という熱い気持ちで集会参加をいただいていると思う。橋下大阪市長は公務員の人権を否定し、当然の権利である労働組合活動そのものを全面的に攻撃する、労働組合を否定する形で現在、攻撃が行われている。この集会を契機に改めて全国の仲間が一体となってこの大阪で起きている一連の我々に対する攻撃に対して全体で反撃の力を持とうではないか。そしてこの右傾化をしている日本の政治を変えていくことも全国で行っていかなければならない。この大阪の地から劇場型政治を潰し、自治の未来を獲得していくことをお互いに確認しあいたい」と述べた。
基調提起は自治労大阪・高橋書記長が、この間の橋下市長就任以降、行われてきた組合事務所の使用不許可処分や組合費チェックオフの廃止、会議室の使用不許可、事前協議の禁止など不当労働行為を繰り返してきた状況や懲戒・分限処分を安易にする「職員基本条例」、教育行政への首長の介入を正当化する「教育基本条例」、職員の政治活動を不当に制限する「政治活動規制条例」、便宜供与の禁止や職場の組合活動を極端に制限する「労使関係条例」の制定など組合の団結権の破壊と職員への人権侵害を行う攻撃に対して、自治労・市労連弁護団を発足させ、府労委闘争、裁判闘争に取り組んだ経過などについて報告した。
また、「橋下・維新の会により極端な市場原理主義にたった民営化路線により大阪の自治と公共サービスの破壊が進行し、公共サービスの破壊と住民自治の侵害の集大成として「大阪都構想」が目論まれている。大阪の市民と労働者の力を結集し、断固阻止しなければならない。」と述べるとともに、「橋下・維新の会とのたたかいは、大阪の民主主義を取り戻すためのたたかいである。大阪における劇場型政治を終わらせるためにも、自治労大会に結集した全国の仲間の知恵と力を貸していただきたい」と訴えた。
最後に、集会決議で反人権・反平和を貫く橋本維新の会の政治思想の本質を見極め、これを許さない取り組みの展開していくことや、9月29日に投開票が行われる堺市長選で「反大阪都市構想」の鮮明にした竹山おさみ市長の再選にむけた取り組みの展開、また、「大阪都市構想」の是非を問う住民投票が強行された場合否決されるための取り組みを強めていくことを確認した。さらに、劇場型の政治の幻想と振り払い、大阪の自治の未来を取り返すまで、全国の労働者と連帯してたたかくことを宣言し採択した。