2012年11月12日
アジアとの共存へむけ、対立ではなく、自らの利害を超えて一致しよう=第49回護憲大会
11月9日~11日、山口県・山口市内(スポーツ文化センターほか)で「第49回護憲大会」が開かれ、全国から約2,500人が参加し、北海道から北海道平和運動フォーラム中村代表ほか10人が参加した。
1日目、主催者あいさつで平和フォーラム代表の江橋崇・実行委員長が「東アジアの中で相互に連携し、尊重しあう関係を造り上げること、未来の展望が切り開かれることを期待したい」とあいさつした。
来賓として、山口県実行委員会・纐纈(こうけち)厚委員長、日本労働組合総連合会・高橋 睦子副事務局長、民主党・平岡 秀夫衆議院議員(衆議院法務委員長、山口県2区)、社会民主党・福島 みずほ党首らも駆け付けあいさつした。
その後、実行委員会・藤本 泰成事務局長(平和フォーラム事務局長)が、オスプレイ、『尖閣』、脱原発といった課題について基調提起を行った。
引き続き、シンポジウム「東アジアとの友好~日中韓関係をめぐって」をテーマに討論が行われた。パネリストは平岡 秀夫さん(民主党衆議院議員)、文徳盛さん(中国大使館参事官)、カン・ヘジョンさん(アジアの平和と歴史教育連帯国際協力委員長)の3人と、コーディネーターは江橋崇さん(法政大学教授・平和フォーラム代表)が務めた。
平岡さんは「東アジアの貿易はEUに匹敵する。大きく団結していくことが大事。東アジア共同体に向かう方向に持って行きたい」と述べた。
カンさんは、「『竹島』の件で政府レベルでは対立状態だが、民間交流は悪くなっていない。『尖閣』で政府・民間レベルで悪化。(日本の輸出は激減。中国からの輸入は変化なし)日中韓とも対アメリカ合衆国で様々な問題を抱えている」と述べた
文さんは「対米従属(オスプレイに見られる敵視観)が東アジア内での友好を妨げている。対米従属を掲げている日本の主権者とは。実際には米国と中国は親しい関係(米軍と中国軍が燃料、食料、補給物品から船舶部品に渡る兵站物資を共同作戦のために融通するなど米中両国が協力関係強化中)。朝鮮半島も中国が筆頭になり6者会談で平和的に進行している。中国としては日本政府への不信感強い(友好的なムードが高まると小泉・安倍さんは靖国参拝するなどで友好を結ばない態度に急変するから)。唐使の頃から日本(中国から見て東にあるという国名)は中国に学んできた。近代は日本から中国・韓国は学んできた。互いに尊敬しあうべき」と強調した。
【コーディネーターを務めた、江橋崇さん(法政大学教授・平和フォーラム代表)】
2日目は、「地球環境-脱原発にむけて」、「非核・平和・安全保障」、「歴史認識と戦後補償」、「教育と子どもの権利」、「人権確立」、「地方の自立・市民政治」、「憲法」といった課題に分かれて分科会討論を行った。
「地球環境-脱原発にむけて」では、伴 英幸さん(原子力資料情報室共同代表)は「政策として『原発ゼロ』。再稼働を認めない。原発ゼロの世論は多い。再生可能エネルギー比率の拡充が必要だ」と述べた。
松原 弘直さん(環境エネルギー政策研究所)は「原発に依存しない再生可能エネルギーの目標値について、ヨーロッパ各国に比べて日本は低い。自然エネルギー市場は急成長しており、日本もエネルギー政策の転換が必要だ」と強調した。
「歴史認識と戦後補償」では、田中 宏さん(一橋大学名誉教授)が「日本人の教えられている歴史と世界で教えられている歴史が違う。国際社会では日本の主張は全く通用しない。2007年3月5日の参議院予算委員会で安倍晋三首相は『官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性、狭義の強制性を裏付ける証言はなかった』などと答弁し、河野談話の強制性について修正が必要との考えを示唆したが、米国内で対日非難が大きくなり『近隣アジア諸国にとどまらず、同盟国たる米国の信頼も失った』と報道され、2007年3月9日、米下院で審議中の慰安婦問題をめぐる対日非難決議案に、正面から反論することを控える意向を表明し、参院予算委員会で『(元慰安婦に対し)本当に心から同情し、すでにおわびも申し上げている』という羽目になった」と述べた。また、「何故?世界では通用しない歴史が国内で教えられているのか、対米従属のため(米国以外と友好を結ばない)で戦後補償も進まないし解決しない。ドイツやロシア(シベリア抑留)・米国(日系人の強制収容)は謝罪の意を表明して清算したが、ドイツ主導でEUへむかうことが可能となった。ロシアも米国も国際的地位を維持した」と述べた。
3日目の、閉会総会では特別提起として、①「オスプレイ配備阻止の取り組みについて」沖縄平和運動センター・山城博治事務局長)、②「震災・原発事故被災地からの訴えと取り組み」福島県平和フォーラム・五十嵐史郎代表、③「自衛官(護衛艦「たちかぜ」内のいじめ)人権問題をめぐる取り組み」神奈川平和運動センター・小原慎一事務局長)、④「上関原発反対・岩国基地機能拡充反対の取り組み」山口県平和フォーラム・桝本康仁事務局長)がそれぞれ提起した。
特別提起で、山城博治事務局長は「『対米従属』の国是により、日中対立を進めることで日本の財界も苦しむことになった。アジアとの共存へむけ、対立ではなく、自らの利害を超えて一致していこう」と訴えた。
その後、『遠藤三郎賞表彰』に上関原発・原発を建てさせない祝島島民の会、『平和運動賞表彰』に山口県平和フォーラム、原水爆禁止福岡県民会議がそれぞれ受賞し、賞状が送られた。