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2012年10月10日

物事の本質、善し悪しを見抜ける力をつけることが必要=合成洗剤追放第32回全国集会in函館

10月6日~7日、函館市・ロワジールホテル函館で「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放第32回全国集会in函館」が開かれ、約300人が参加した。

はじめに、主催者を代表し、船橋奈穂美・北海道実行委員会委員長のあいさつ、永井雅師・全国実行委員会事務局長の基調報告の後、「汚れちまったマスコミに…」と題し、詩人のアーサー・ビナードさんが記念講演を行った。

アーサー・ビナードさんはアメリカミシガン州に生まれ育ち、来日後精力的に日本語を学び、詩やエッセイ・絵本などで数々の賞を受賞され、翻訳家としても活躍している。
福島第1原発の事故以降の日本の現状とこれからについて、アメリカと日本、両方からの視点で合成洗剤と原発の関連も交えながらの講演となった。

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講演では、「日本での『言葉の汚れ』が気になり、特に『洗脳』という言葉が本当に正しく使われているのか、情報操作によって操られる現象を『洗脳』というのか疑問に感じた。その本質を捕らえることができなくなっている状態を作り上げ、情報操作を繰り返しているのがのが『マスコミ報道』である」と述べ、「マスコミ報道により、合成洗剤に含まれるさまざまな有害性物質には触れることなく、『汚れが落ちる』『除菌ができる』『水の節約』と、安心安全だけで大衆誘導をかけることで、洗剤自体が持つ有害性に目を向けられることなく普及拡大していった流れは、現在の原発が『電力需給』という言葉に惑わされて普及してきた流れと同じである」と強調した。
さらに、「『原子力』という言葉の中に『放射能』という言葉を隠し、『原子炉』で強引な『安全』を、『これがなければ電力逼迫』『節電』で『生活不安』を煽ることで『核保有大国日本』という本質を覆い隠している事実に気がつかなくてはならない」として、「私たちは今、国の思惑をねじ曲げられ、正当化された『マスコミ報道』に脳を汚される『汚脳』の状態に陥り、本質を見抜けなっている。物事の本質、善し悪しを見抜ける力をつけることが必要」と問題提起があった。

その後、大間原発訴訟の会代表、竹田とし子さんによる大間原発の現状と課題について報告を受け、初日を終了した。


2日目は、4つの分科会に分かれて学習を深めた。
第1分科会は「さようなら合成洗剤」~入門編~と題して、洗剤環境科学研究会・長谷川治さんが講演した。

講演では、「テレビのCMやスーパー・薬局の店頭に並ぶ洗浄剤の数々。それがどんな原料でできているか…。原発の放射能が恐ろしいと反原発を叫んだり、数値に目を光らせたりしているのに、私たちの身近にあって一日中暮らしの中で使っている数種類の洗浄剤。その正体を知らなければ大きな間違いを犯すことになる」「自然環境やたくさんの生命体に決して結うわ・分解しない化学物質の恐ろしさを知る。世間で売られているから、国や行政が許可しているから安心していることで、私たちは被害者ではなく、いつの間にか加害者になっている」といった話があった。

この入門編の分科会で洗剤・洗浄剤の正体を知り、今、どうすればよいのか、何を選ぶべきかを学んだ。

第2分科会は、「水・環境を考える」~放射能汚染防止法を求めて~と題して、山本行雄弁護士が講演した。


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【第2分科会の様子】

山本弁護士は、「合成洗剤追放運動はこれまで、『きれいな水といのちを守る』ことを基本に、家庭の排水溝から地球環境を見つめることを実践してきた。21世紀は『環境世紀』と言われ、『循環型社会の構築』が求められてきた。しかし、そうした思いと全く逆行し、3.11東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染は1年半以上を経過した今なお、収束のめどが立っていない。人体への影響はもとより、田畑や山林、自然環境に対しても、取り戻すことのできない最悪の環境破壊をひきおこした」と述べた。さらに、「私たちは、合成洗剤だけでなく、こうした広く環境汚染をもたらす問題について取り組みを進めていく必要がある。しかし、現行の法制度においては、放射性物質を環境汚染物質として規制するものはない」と強調した。また、「放射能汚染防止法(仮称)」のその考え方や内容について説明があった。

その後、合成洗剤追放北海道連絡会活動報告として、高橋 健一さんから報告があった。

今回の開催地、北海道では「合成洗剤追放北海道連絡会」が結成され、1977年からこれまで28回にわたり北海道集会が開かれ、さらに各地でも地域集会が開かれている。今日ではそうした取り組みが少なくなってきていることから、北海道連絡会の報告を受けながら、改めて今後の運動のあり方について検討した。


第3分科会は、「PRTR10年~これまでとこれから~」-有害化学物質を減らすために私たちにできること-と題して、中地重晴・熊本学園大学教授が講演した。

講演では、PRTRの第一人者・中地重晴さんに制度の経過について話があり、これからの展望と課題について学んだ。
また、北海道で化学物質に関する活動をしている黒嶋 惠さんに紙上で子供たちの化学物質、シックスクール問題の取り組み活動報告があった。

第4分科会はフィールドワークで、「津軽海峡越しに大間原発を考え、NPOが管理する熱帯植物園で自然と人間の関わりあいを学ぶ」をテーマに学習を深めた


~PRTR制度とは~
化学物質排出把握管理促進法という法律は1999年に公布され、法で定められたPRTR制度は2001年施行された。制度の概要は、各事業者が事業活動に伴って取り扱う有害物質の環境への排出量、廃棄物としての移動量を事業場ごとに、大気、水質、土壌(廃棄物)という環境媒体ごとに推計する。その年間排出量、移動量を、都道府県を通じて国に報告し、国はそれらのデータをとりまとめて国民に公開することになっている。


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