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2009年03月08日

不況下の自治体財政=ツケはどこへ

自治体財政の危機が叫ばれて久しいが、この危機を抜け出せないまま、また新たな危機に突入しつつある。

6日夜、NHKの「クローズアップ北海道」では税収減に悲鳴をあげる苫小牧市や生活保護費が嵩む釧路市の財政状況が紹介されていた。道の09年度予算も折からの不況のあおりで多額の道税収入の落ち込みで債務残高が膨れあがっている。

もともと、自治体財政は、90年代、日米構造協議にともなう430兆円の巨額の公共事業とバブル崩壊後の景気対策に動員され、後年度に交付税で配分される地方債を「良質の借金」として発行し事業を展開しその償還に追われ次第に財政は窮屈になってきた。

この償還がピークを迎えようとしていた2004年、自治体財政危機に追い討ちをかけたのが小泉政権下の「三位一体改革」で、配分されるはずの地方交付税が大幅に減額されたことで、さらに借金の返済が苦しくなってきた。

09年度の国の地方財政計画においては地方交付税は総額21兆円で前年比2.7兆円伸びているが、実質的には4000億円程度で、個々の自治体では「振替」とされるこれまた地方債(臨時財政対策債)の発行で必要額を確保しているに過ぎない。国もすでに自治体に配分ずべき財源を調達できずにいるのが実情である。

さらに、今日の自治体財政を危機に陥れているのは、急激な経済不況による地方税の落ち込みである。

北海道は大手製造業が限られているため、愛知や神奈川ほどではないが、道の場合、道税は前年比500億円ものの落ち込みで、警察、教員、一般行政部門の職員給与の削減額約350億円が一気に吹っ飛んでしまうような歳入不足が生じた。

道内市町村は交付税への依存が高いので道や苫小牧など都市部を除けば、地方税収入の影響はさほど大きいとはいえないが、交付税と地方税は一般財源として福祉や人件費そして借金返済にあてられる原資であり、一層窮屈な財政運営に拍車をかけることはにならざるをえない。

さて、自治体の財政は2008年度の決算から新しい財政指標に基づき財政の健全化が求められることになっている。

これまで述べたように、過去の借金返済が今後一層重荷になることは明らかであるが、このことで健全化基準のひとつである「公債償還費比率」が基準値をこえる自治体が洞爺湖町,中頓別町、浜頓別町、江差町、利尻町、歌志内市、由仁町で想定されている(3月6日日経新聞)

この基準は自治体の標準的な財政規模に対する公債費の割合を示すもので基準値を超えると「健全化計画」なるものを策定し、基準値以下になるまでさまざまな収支対策を講じなければならない。

このように、今自治体財政は、交付税の削減、税収の急減、借金の増大、健全化基準という三重、四重の苦しみに遭遇しつつある。

このツケはどこに向かうのか。夕張市の実情が示すように、そこで働く自治体職員と住民にである。職員には払わなければならない給与を削減し、住民には負担増と公共サービスの低下が余儀なくされる。

自治体の財政努力も限界に近いように思えてならない。定員を削減し給与の削減をはじめあらゆる歳出削減に取り組んでいるにもかかわらず、ここにきて税の急減と交付税の削減である。

必要な財源は自治体の自助努力だけで確保できるようなレベルではもはやない。
国と自治体の税財源の配分をはじめ、地方分権改革で残された地方財政制度全般の抜本改革が急務である。


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