2008年08月22日
【峰崎参議のニュースレター】教育と福祉の国フィンランド
■「森と湖の国」から「教育と福祉の国」フィンランドへ
フィンランドから18日に帰国した。ちょうど1週間の滞在であったが、ツルネンマルティ参議院議員の取り計らいで、内容の濃いフィンランド視察ができたことをこの場を借りてお礼申し上げたい。
ご存知のようにツルネン参議院議員は、フィンランドで生まれ日本に帰化されて、神奈川県湯河原町議会議員となられ、その後参議院議員に4度挑戦され、前回は堂々と民主党比例上位で当選されている。
フィンランドといえば、かつては北欧の小国で、森と湖の国といわれ、国土に占める森林面積が世界一の70%で、次いで日本が2位であったと記憶している。湖の数も数え方にもよるが40万とも60万ともいうほどの多さを誇っている。
音楽でもシベリウスの交響詩フィンランディアは、日本で多くのファンを持っている。ところが、最近では携帯電話会社のノキアが世界最大の会社として有名であり、またOECDの学力到達調査(PISA)では2000年から3回つづけて世界で一番高い到達度となり、全世界の注目を集めている。
日本からもここ2~3年、教育関係者の視察が相次ぎ、最近では世界から来る視察団に対して有料で対処せざるを得なくなり、われわれの視察団についても有料であったことにはちょっと驚かされた。
■機会の平等を実現する「教育を受ける権利」
フィンランドの教育で特徴的な事は、国民は等しく公平に教育を受ける権利があり、それゆえ教育費用に関しては無料であり、何よりも教師の地位が極めて高く、競争率が10倍にもなるという。
また、教師の学歴は最低でも修士課程を卒業していなければなれないとの事で、日本の大分県の教員採用の贈収賄事件を思い出しながら、その違いに感心せざるを得なかった次第である。
教育時間は年間5500時間で、日本の6000時間よりも少ないとの事、それでも子供たちに対する教育のやり方の違いで、PISAの結果に現れるのだ。詰め込み教育に戻ろうとしている日本の教育に対し、警告を発しているように思えてならない。
国民に対して「等しく公平さ」を求めていかなければならないのだ。所得の多寡に応じて教育の程度が決まってしまい、格差が固定されるような日本になっていることに警鐘が乱打されているのだ。
前鳥取県知事の片山善博さんは道路やダムなどの予算を削って図書館の充実に努力されたと言う。おそらく、10~20年後にはその効果が現れてくるに違いない。日本全体が取り組むべき課題であろう。
(一部、省略)