11月15日午前、安倍内閣は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊の部隊に、安全保障関連法に基づく新任務「駆けつけ警護」を付与することなどを盛り込んだ実施計画を閣議決定した。

戦争をさせない北海道委員会は、大通西3丁目にて緊急行動を開催し、約250名の参加者とともに、「駆けつけ警護」の閣議決定に抗議した。集会では、北海道平和運動フォーラムの長田代表、北海道憲法共同センターの黒澤代表をはじめとするスピーカーが、閣議決定の撤回を求め、その後は雪降る寒空の中、札幌駅周辺まで「駆けつけ警護、いますぐ撤回」「自衛隊の命を守れ」と訴えながらデモ行進をおこなった。

北海道平和運動フォーラム長田代表
「緊急の行動にも関わらず、雪降る寒い中、お集まりいただきありがとうございます。政府は本日、南スーダンに派遣している自衛隊に対して、今月20日から派遣される、青森を中心とした部隊から、昨年に強行成立した安保関連法制に基づく駆けつけ警護・宿営地の共同防衛の新任務を付与して、来月12日から実施することを決定しました。このことに対して、強く抗議して、即時撤回を求めます。活動範囲をジュバと周辺地域に限定しているが、南スーダンの状況はPKO参加5原則が崩壊している。今すぐ撤退しなければならない。」
北海道憲法共同センター黒澤代表
「今日の安倍内閣の閣議決定に、慢心の怒りをもって抗議する。南スーダンで起きていることは、まさに戦闘状態であり、紛争が起きていることは誰の目にも明らかなこと。なのにもかかわらず、これは衝突であって紛争ではない、こんな言葉遊びに私たちは付き合うわけにはいきません。私たちが持っている憲法は二度と武器はもたない、戦争には参加をしない。これが私たちの憲法です。そもそも戦争法は憲法違反。誰も殺さず誰にも殺されず、自衛隊員の皆さん、必ず日本に帰ってきて下さい。」
北星学園大学岩本教授
「最悪のタイミングでの閣議決定だ。今月1日、国連は国際社会に大きな衝撃をあたえる1つの調査報告書を公表した。7月8日から11日にジュバで起こった武力衝突に関する報告書です。武力衝突において、国連南スーダン派遣団は、多くの民間人を保護することに失敗し、また食糧等の物資の略奪を防ぐことができなった。そのことに対して国連は、派遣団のケニア人リーダーを非難して、ケニア軍が撤退する事態となった。さらに、自衛隊が首都ジュバで対峙するのは、反政府勢力であるより、反政府側の民族を虐殺しようとしている政府側の兵士である可能性も極めて高い。この混乱の中、自衛隊に駆けつけ警護の新任務が付与され、安保関連法の歯車の一つがまわりはじめた。これは日本が持つ平和憲法を根底から覆す意味を持つ。なんとしても、この歯車を止めなければなりません。」
室蘭工業大学大学院清末准教授
「沈黙は次なる暴走を生む。沈黙すればするほど、独裁政権をすすめる者たちを利することになる。だからこそ、沈黙を破り続けるために、みなさんが集まったと確信している。閣議決定により、いま私たちは厳しい現実が突きつけられている。日本国憲法は9条1項で、戦争・武力の行使、武力による威嚇を明確に放棄している。この9条1項は、海外に派遣された自衛隊から戦死者が出ることを予定していない。しかし、日本国憲法の平和主義に反して、このような現実が目に見えるようになっている時に、沈黙は現実をより一層現実にすることになる。この蓄積が戦時体制を確固たるものとしていくのです。その芽をひとつひとつ摘み取っていくために私たちは反対の声を上げ続けていく必要がある」